クリスマスについてのあれこれ

1、村上春樹の「風の歌を聴け」のもう一つの題名は「ハッピーバースデイはホワイトクリスマス」である。単行本のカバーの絵には「HAPPY BIRTHDAY AND WHITE CHRISTMAS」と描いてあるし、カバーめくって表紙を見ても「風の歌を聴け」ではなく「HAPPY BIRTHDAY AND WHITE CHRISTMAS」と書かれている。主人公「僕」の誕生日が12月24日なので、友人の「鼠」が毎年クリスマスに「僕」に送ってよこす小説の一枚目に必ず「ハッピーバースデイ そして ホワイトクリスマス」と書いてあるという。「風の歌を聴け」という小説は「僕」が「鼠」のことを書いた体裁になっているが、「裏題名」が暗示するのはこの小説が「鼠」が「僕」に書いて送ったものであるということだ。

2、クリスマスというのはどうもキリストの誕生日というわけではないらしい。キリストの誕生日というのははっきりわかっているわけではなく、キリスト生誕のお祝いが北欧の冬至のお祭りに結び付いたのがクリスマスというものの起源であるようだ。冬至というのは一年で一番昼の短い日だから、この日を境にだんだん昼が長くなっていくわけである。それを祝うというのは良く判るが、12月24日は冬至とは微妙に違う。ところで、太陽暦の元日は冬至であるべきだ。シーザーが太陽暦を採用する時に意味もなく新月の日を1月1日にしただけなのだ。太陽暦元日を冬至にすると、メリークリスマスはハッピーニューイヤーになる。

3、クリスマスソングというものがある。12月になるとラジオから流れてきたり、自分の持っているのをひっぱり出して聴いたりするわけだが、我が家の定番は"Reggae Christmas from Jamaica"というアルバムである。いろんなレゲエミュージシャンがスタンダードなクリスマスソングなんかを歌っているのだが、バックはリズムボックスのみというチープで気楽な雰囲気が気に入っている。特に一曲目の「Christmas Shopping」という曲が楽しい。もっと一般的なものではジョン・レノンの"Happy Xmas (War Is Over)"が好きだが、この曲を聴くと彼が死んだのが12月だということもあってしんみりしてしまう。

4、ポップのクリスマスソングは「売るための企画」という感じがする。そもそもクリスマスプレゼントという習慣はアメリカの百貨店が広めたものらしいし、サンタクロースの紅白の衣装デザインはコカ・コーラの広告から生まれた(トナカイとかソリのイメージは北欧由来なんだろうけど)。また日本にクリスマスケーキというものを広めたのは不二家である。クリスマスは最大の商業イベントなのだ。僕も子どものためにプレゼントを買う。もちろんそれを24日の夜にサンタが枕元に置いて行くのである。今年は「快獣ブースカの目覚まし時計」を買った。