1997年の旅順(1)


1996年6月に対外開放された後、旅順観光はどのように変わったか。これを見るために、1997年5月末に、また旅順を訪れました。

前回と同じ大連の旅行社に電話したところ、次のことがわかりました;
●対外開放は要塞部分のみであり、市街はだめ。したがって白玉山塔などもだめ。
●要塞部分を見るにも、外国人は通行証が必要。
●通行証の申し込み費用は一人約1万円。
ということで、以前からもぐりで(観光資源調査団として)見学していた人にとっては、あまり変わらないようにも思えます。この旅行社に妻と2人の見学を申し込んで、旅順へでかけました。

それでは以下、各スポットの現状についてご紹介して行きます。


東鶏冠山北堡塁

まず東鶏冠山北堡塁で、すさまじい観光化にびっくり。全面的に「公園化」されてしまいました。外壕の底には砂利と縁石で散歩道のようなものが作られています。以前はむきだしの地面で、いかにも当時のままという感じがしたのですが、なんともちぐはぐな姿になってしまいました。また、石で築いた、「日軍塹壕」などができていました。以前はなかったのに。


外壕底の散歩道


記念碑の裏側に「日軍爆破口」と表示されたところがあります。10月27日の日付は最後の大爆破ではなく、坑道戦の過程で日本軍が最初に行った爆破と思われます。このとき、胸檣を貫通するのに成功しましたが、ロシヤ軍も内部に障害物を設けて防いだので、突入はできませんでした。下の立て札には「堡塁側防小屋」とあります。


コンドラチェンコ少将の記念碑です。「露国コンドラテンコ少将戦死の所」と書かれていますが、何故か碑面がかなり傷つけられています。


日露戦争陳列館

堡塁の西側を切り開いて、本当の公園ができており、その横手に「旅順日露戦争陳列館」ができていました。 内容は写真パネル主体の展示で、その他にさびついた武器、弾丸などが少しあります。日露両国から展示品を送って上げるとよいと思います。なおここの観覧料は無料です。


日露戦争陳列館の建物


陳列してあった28センチ砲の不発弾。内部は写真撮影禁止なので窓の外から撮ったら、黙認してくれました。


望台砲台

望台の頂上は以前はむきだしの地面で、ぽんと大砲が置いてある感じでしたが、全面的に石畳になり、まわりに手すりもできました。ここでも「記念碑化」が進んでいます。


石畳になった望台頂上。砲のまわりの人たちは中国人観光客。


鉄柵越しに北西方向、二竜山堡塁を望む。道路の両側が白く見えるのはアカシヤの花と思われます。ちょうど大連のアカシヤ祭りのときでした。


二竜山堡塁

以前に行ったときは、旅順ガイドさんが「二竜山は見せていません」というのを無理にたのみこんで、南側の部分だけ見せてもらったのでした。今回も二竜山堡塁の入り口には車止めのような横木がしてありましたが、 それをまたいで入っても旅順ガイド小姐はなにも言いません。今回お目当ての北側正面の交通トンネルについても、彼女は知らないので、二竜山堡塁の構造図をたよりに一緒になって探したら、ありました。ちゃんと「暗道入口」と看板がかかっていましたから、昔は見せていたのでしょう。トンネルに入りましたが、うかつにも懐中電灯を用意してこなかったので、ライターをたよりにしばらく進んだが、ついにあきらめました。


北側正面のトンネルの入り口。このトンネルは外壕の北東偶角の銃座に通じています。見学の際は懐中電灯を忘れないように。


外壕の北西偶角部の底に覗く銃眼。この部分の壕は非常に深く、10mくらいあります。


北側外壕の爆破跡。壕を埋める砕けた岩には木も生えず、生々しい感じです。


二百三高地

二百三高地の頂上も、芝生や石畳を作って整備されました。記念碑の下の建物(兵舎?)は骨董品売場になっていました。ここに展示してあった錆びた銃剣は、桜と軍旗の刻印がしてあり、明治の日本軍のものらしかったです。頂上の広場の、登り口とは反対の側に作り物の「露軍塹壕」ができていましたが、それに沿ってすこし下ったところに、これは本物の塹壕跡がありました。また、このあたりに「乃木保典戦死の場所→」という看板があり、石畳の細道が北側斜面へ下っていました。これも新たにできたものです。ただし看板の英語は「Yasunori Nogi」と、まちがっていました。


記念碑の下の骨董品やさんの建物。「集古軒」とあります。この日も旅順港はよく見えました。


塹壕の跡。写真でではわかりにくいですが、中央で一旦右へ折れて「⊃」字状になり、さらに奥へ続いています。


ひとこと

旅順の対外開放とは、要塞部分だけ、通行証を発行した上で見せる、というものでした。形式的には従来とあまり変わらないように思えますが、実際には大きな変化があり、遺跡の観光化が進む一方で、旅順ガイドさんの態度などから日本人観光客への規制がゆるくなったのが感じられました。二竜山堡塁など、これまで放置されていて現在まだ観光化されていないスポットを、時間をかけてじっくり見るのは今がまたとないチャンスかもしれません。私は今年10月か11月に、今度は懐中電灯とロープ(壕底に降りるため)を用意して、もう一度でかけるつもりです。


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