第11話 「いただきます」




 先日、文化庁の国語に関する調査が行われ、敬語の使い方などについて報告されたのをTVや新聞でご覧になった方も多いかと思う。

 敬語の調査では、尊敬語と謙譲語の混乱について、統計が発表されていた。
 例にあったのは、「(先生などに対して)明日父がまいりますので、お目に掛かっていただけませんか」とか、「○○さんがお話されたように」などの文。
これらの言い方に、違和感を覚えない人もたくさんいるらしい。

 これらは、いちおう「誤用」ということになっている(笑)
しかし、唐突に突きつけられると、あれ、「父にお目に掛かる」じゃなければ、「会っていただけませんか」かな、「お会いして」になるのかな、とか、「○○さんがお話になる」だと思うけど、「話された」はどうなのかな、と、けっこう、私も心許なかったりするかも(^^;)

 しかし、学生たちと話をしていると、明らかな誤用に出っくわすことがある(笑)

 ある日のこと、とある大学の廊下で、偶然、前年度担当した学生の一人と会った。

「あれ〜、先生、まだ来てんの〜?」

「そうだよ〜」
(余計なお世話とも言う(^^;))

「あ、そうだ〜」
(手にしていたチラシを差し出し、)

「俺、今度学校祭で、こういう店やるんで、チラシ作ったんですけど・・先生、これ、いただきます〜?」

「・・(^^;)」

 いただきます、というのは、もらう側の言うことじゃないか、とは思ったのだが、相手は、一生懸命、敬語を使っているつもりなのである(笑)
無下にするのも悪い気がしたので(爆)ありがたくいただくことにした。

ま、こういうことをいちいち気にしていたのでは、身が持たないのである(笑)


(1998/04/01)