第10話 世間話




 当地は、北国で、豪雪地帯と言うほどではないけれどもけっこうな積雪量がある。
 首都圏で雪がちょっと(笑)降っただけで、交通がマヒしてしまったりするほどではないにせよ、やはり大雪の影響はあるのである。

 とあるクラスで、やっぱり私語に熱心な学生がいた。
 いつも回りの学生たちと楽しそうにしゃべっているので、私はなんとなく名前を覚えていたのだが(笑)ある日の授業が終わったあとで、ふと話しかけて来た。

「先生、もしかして、××のバス停で降りるの〜?あの、コンビニのとこ」

 教室以外のところで、学生と会う、と言うのか、見られているのは、かなりぎょっとするのである。仕事以外では気が緩んでいる時が多いので、地下鉄やバスの中でぼーっとしているところを見られたか、と思うと、不意打ちもいいところなのだ(^^ゞ

「そうだよ・・あれ、家がその辺なの?」
「いや、おれ、次のバス停で降りるの。で、こないだ見かけたもんだから〜」
「そっかあ・・。でも、冬は、○○線は、なかなか来なかったりするよねえ?通学、不便じゃない?」
「そおですよねえ・・。もし、試験の時、雪降ったらどうしたらいいんすかあ?困るっすっよお」
「いや・・、その時は、私も遅刻してると思うから(おいおい(^^;))」
「あはは、そっかあ(爆)」

 まあなんて言うのか、私語が多いとか礼儀がどうとか言われているイマドキの学生でも、悪気のかけらもないらしいことは、実感できるのである。


(1998/02/27)