- 高島トレイル縦走の一日目、マキノ駅には十数人の登山者がバスを待っていた。賑わっていると思ったら、ほとんどの人が一本前の「マキノ高原」行きに乗ってしまい、我々の乗る「国境(くにざかい)」行きのバスに乗ったのは、他には日帰り装備の男性単独行一人だけだった。
- 国境バス停で下車して少し車道を登るとスキー場に着いた。ここが高島トレイルの出発点だった。良い天気だった。スキー場の駐車場では催し物をやっていて少し騒々しかった。乗鞍岳への登山路は二つのリフトの間に有った。バスの男性は道が分からなかったのか、駐車場の方に行ってしまい見えなくなってしまった。代わりに車で来たらしき初老の小柄な男性が近くを登っていた。地元の人で毎日のようにどこかの山に登っているとの事だった。「熊がいるかも知れない」と音量を上げたラジオを持っていた。
- ゲレンデを登り切った所で暑くなったのでシャツ1枚になった。休んでいる間に重い荷物の我々を残してラジオの男性は先に行ってしまった。
- 山道に入るとブナ林になった。細い木が多かった。紅葉がきれいだった。789m峰はピークより少し手前の方が眺めが良かった。琵琶湖と竹生島が見えた。休んでいるとバスの男性が追いついて来た。「ここが山頂ですか」と聞かれたので、「まだ先です」と教えてあげた。男性は先へ進んで行った。
- 789m峰からの登りで日帰りの登山者3人とすれ違った。乗鞍岳山頂手前の展望地で、バスの男性が写真を撮っていた。挨拶して先へ進むと、すぐ乗鞍岳山頂に着いた。あいにく展望はバスの男性がいた所の方が良かったので戻って休む事にした。戻る途中で写真を撮り終わった男性とすれ違った。展望地で琵琶湖を眺めながらゆっくり休んだ。
- 少し曇り空になってきた。やがてバスの男性が戻ってきた。姫路から来たそうで、高島トレイルは部分的に歩いているとの事だった。「武奈ヶ嶽は道が少し分かりにくいんだけれど日本海と琵琶湖の両方が見えて眺めが良いですよ」と教えてくれた。「二日後に通る予定です」と伝えると「頑張ってください」と言われた。男性は「15時20分のバスに乗らなければならない」と言いながら急いでいる様子で下って行った。
- 乗鞍岳山頂を出発するとすぐにアンテナの横を2回通った。2回目の方のアンテナでは作業をしているらしい人の声がした。手すりの間隔が狭くて少し通りにい階段を下ると作業道の終点に着いた。曇り空になり少し寒くなってきた。
- 再び山道に入り、ブナの森を登り下りして進んだ。送電鉄塔を通り更に樹林帯を進むと芦原岳への分岐に着いた。分岐から2分ほどで送電鉄塔の立つ芦原岳山頂に着いた。眺めが良かった。
- 分岐に戻り樹林帯を進むともう一度送電鉄塔を通った。この送電鉄塔からは急な階段の下りになった。風が冷たくなった。やがて緩い下りになり、少し登り返しも混ざった後、林道の通る黒河(くろこ)峠に着いた。峠に着いた所が一番広かったのでテントを張った。風も無く快適だった。水場は福井県側に林道を2分程下った所に有った。翌日の高島トレイル縦走に備え早めに寝た。