- Zermartt のホテルに余分な荷物を置いて岡田さんと二人で出発した。登山電車を Rotenboden で降りた。日本人の観光客が大勢いた。マッターホルンがよく見えた。
- しばらく斜面をトラバースした後、氷河に向かって下って行った。最初の Gorner 氷河は砂利や岩で汚れていた。氷河の上を水が流れていた。やがて少し高くなったモレーンに出た。モレーンを越えると Grenz 氷河になった。比較的きれいな氷河だった。クレバスが至るところにあり、右に左にクレバスの細くなったところを探しながら進んだ。氷河を渡りきり、急な岩の斜面を登ると、モンテローザ小屋に着いた。
- モンテローザ小屋の宿泊者は40人位だった。朝食は1:30からだった。暗闇の中、ガイド連れの登山者が次々出発して行った。みんな予想外に裏山の方へ向かっていた。裏山方面はよく分からなかったのでモレーン沿いに登ることにした。ところどころケルンがあったが、次第にはっきりしなくなり、かなり迷った。最後は雪渓を登って行きようやく Monte Rosa 氷河に出た。1時間くらいロスしたようだった。アイゼンとロープを着けた。
- 氷河上のトレースを快適に登った。途中、少しクレバスがあった。Nordend へのトレースを左に見送り、やがて4359mのザッテルに着いた。ここまで高度障害もなく順調な登山だった。
- 4359mのザッテルからはアイゼンをきかして急な雪面を登った。今朝一番の登山者とすれ違った。最初のピークの岩場を三点確保でやや苦労して通過した。いったん雪面を進んだ後、再び岩場。ルート表示が全くなく、行きつ戻りつして三点確保の連続で通過。途中、進めなくなって仲間に置いて行かれた登山者を二人抜かした。左右とも100m以上落ちていて高度感があった。緊張の連続で深呼吸がおろそかになり、少し頭が痛くなった。最後の8mの岩場は手がかりが少なく岡田さんもなかなか登れなかった。頂上直前であきらめかと一瞬思った。山頂にいたアベックが下りようとして我々に気がつき「Come on !」と言った。その言葉につられ、岡田さんが無理矢理よじ登り、山頂から私をロープで引き上げてくれた。「登頂しただけで満足」と感じた初めての山だった。
- 下りもお互いに確保しあいながら苦労して4359mのザッテルまで着いた。緊張感から解放されほっとした。ようやく終わったと思ったが、実は、そこからが長かった。延々と続く暑い Monte Rosa 氷河を下り、小屋を過ぎ、Grenz 氷河と Gorner 氷河を横断し、登山電車の駅に着いたのは最終の直前だった。
- ホテルに着いてからは風呂に入る気力も出ず、ベットに倒れ込んで泥のように寝た。