- 浜益岳山頂からの広い斜面を1100m地点まで思う存分スキーで滑った後、再びシールを付けて歩き始めた。小雨が降ってきた。稜線は思いの外狭く、上り下りが多かった。稜線通しがヤブになっているところがあり右側のやや急な斜面を巻いた。最低鞍部手前の三角点峰も右から巻いた。
- 広い最低鞍部は西風が少し強かった。幕営場所を探すため鞍部の東寄りに向かった。途中の少し低くなったところには熊の足跡が有った。本州で見るツキノワグマの足跡より一回り大きかった。爪の形もはっきりしていて数時間前に通ったものと思われた。風は無かったが熊の足跡の横にテントを張る気にはなれなかった。更に100mほど進んだ小高い場所にテントを張った。雨はテントを張ってしばらくしてからやんだ。
- 翌日は曇り空だった。雪面は夜の間に少し硬くなっていた。シールを付けて登り始めた。群別岳が近づくと急坂になった。標高1220m地点で稜線がヤブになったので、スキーをザックに付けた。ハイマツとダケカンバが交互に現れる尾根だった。ダケカンバの枝に長いスキーが引っかかり苦労した。雪が少し積もったハイマツの方が踏みつけて歩けるので楽だった。標高1290m付近に少し平ら雪面が有ったので先頭を交代した。
- ハイマツやダケカンバのヤブに苦労しながら登ると勾配がゆるくなって来た。山頂の一角かと思ったら、まだ前衛峰で先にはヤブが続いていた。小休止の後、先頭を交代して登った。2本有ったダケカンバのところだけ通るのに難儀したが、幸い他は問題なく、無事山頂に着いた。狭い山頂には誰も来た形跡が無かった。
- 群別岳山頂からは登りとは反対側の尾根を下った。急なのでスキーはザックに付けたままにした。ヤブはすぐに終わり、雪の稜線になった。左側は雪庇、右側はそのまま谷に落ちていた。足跡がないので少し恐怖を感じた。幸い雪も適度な柔らかさで無事雪庇の切れているところまで下りられた。スキーを履き、北側斜面に飛び込んだ。30度以上の斜面だった。最初の急な部分は横滑りで、以降はターンを決めながら下った。真っ平らで広い斜面は思いの外滑りやすかった。最後は斜滑降で左手へ進み、鞍部に降り立った。鞍部から振り返って今回の滑降の感慨にふけった。
- 鞍部から次の1329m峰までは思いの外きつい登りだった。1329m峰からはしばらく狭い稜線を上り下りした。やがて稜線は広くなった。1240m峰からの50mほどの下りはシールをつけたまま下った。暑寒別岳への登りになるまで広い平坦部が続いていた。平坦地を滑ると向こうずねが靴に当たり痛かった。小股で歩いたので時間がかかってしまった。平坦地が終わると、いよいよ暑寒別岳への登りになった。