- 良い天気だった。垂水までは海沿いの気持ち良い道だった。「しまなみ海道」のサイクリングコースになっていて、ツーリングの人達にたくさん会った。高校生4人グループからは「こんにちは」とすれ違いざまに爽やかに挨拶をされた。小学校跡のきれいなトイレには、天井にツバメの巣が有った。
- 垂水の集落で海岸を離れてからは、鈴なりのレモンや蜜柑の木を見ながらの登りになった。民家の庭先で遊んでいた小学生達には、「小学校で採ったんだ」とアマガエルを2匹見せてもらった。途中で道脇に落ちていたハッサクの実を拾って食べてたらおいしかった。
- ウグイスの声を聞き、車道に散ったサクラの花びらを見ながら登ると、地元の年配男性が足早に下ってきた。「上まで行くのか?」と声をかけられた。「上に役場の人がいて猿がいたと話していた。イノシシはよく見るけれど猿は初めてだ」と言われた。橋が架かって猿も渡ってくるのかと思った。
- 登山口からは斜面を横切って進む山道になった。岩場が所々に有った。ヤマザクラがあちこちで咲いていた。小鳥がさえずり風が少し冷たかった。次第に曇り空になった。
- 枯れた水場を過ぎ、斜面を更に進んで行くと、あずまやと鐘楼が有った。周囲は桜が満開だった。鐘楼のすぐ先が山頂だった。あいにくの黄砂の影響で景色は霞んでいた。あずまやのベンチに座り、スープを飲みながらゆっくりと休んだ。
- 山頂からは縦走路を進んだ。照葉樹の森だった。背の高い木は落葉樹だった。伊豆里(いずり)峠手前には、太いヤマザクラの古木が有った。峠付近は満開の桜で桃源郷の雰囲気がした。
- 峠は見晴らしが良く南側に「しまなみ海道」のハイウェイが見えた。峠には日が当たりワラビがたくさん生えていた。やがて女性3人組が登ってきた。手にはワラビを入れたビニル袋を持っていた。「車ですぐ下まで来た」との事だった。そのうちの一人から「主人が今朝会いましたね」と言われたので、登りですれ違った男性とは夫婦らしい事が分った。
- 峠から再び稜線に出るまでは林道跡の登りになった。道が柔らかくて少し荒れていた。稜線に出ると所々階段の設置されたしっかりした山道になった。あちこちにミツバツツジが咲いていた。最後に舗装路を少し下ると中野ダムに着いた。
- 中野ダムからは蜜柑畑を見ながらの車道の下りになった。天気は再び晴れてきた。バス停まで歩き、ベンチに座って休んだ。横のスーパーで買った「アイスもなか」を食べながら、この日の楽しかった山行を振り返った。この日、山中で会ったハイカーは4人だけだった。