- 高島トレイル南半分の縦走も中盤になった。三日目の後半、駒ヶ岳から与助谷山へと歩いて行った。与助谷山付近の稜線は北風が冷たかった。時々若狭湾や琵琶湖が見えた。
- 桜谷山へは、南側に展望が開ける場所があった。二重山稜が一部に有った。桜谷山への登りになると急坂になった。周囲は石灰岩が多かった。桜谷山に登り着くと少し風が弱まった。
- 桜谷山からの下りは急だった。下りが終わると木地山(きじやま)峠に着いた。峠の福井県側は風が強かった。滋賀県側は植林帯だった。滋賀県側に数分の水場で水を汲んだ。峠に戻って風を避けながら休んでいると、鈴の音が聞こえてきた。同じ方向に進むスルーハイクの男性だった。今回の山行で初めて会った登山者だった。背が高くてほっそりした感じの男性は「ああ、人に会えて良かった」と我々を見て言った。男性に「水を汲んできたところで、水場はこっちです」と教えてあげた。
- 木地山峠からは滋賀県側に植林があった。やがて両側が植林になり、百里ヶ岳が近づくとブナ林になった。
- 広々とした百里ヶ岳山頂には誰もいなかった。小浜方面の眺めが良かった。休んでいると木地山峠で会った男性が追いついてきた。「おにゅう峠まで行けると良いんですけれど、途中で泊まるかも知れません」と話していた。
- 「お先に」と男性に伝えて百里ヶ岳を出発した。ブナ林で岩場が少し有った。上り下りが少しあった。根来坂(ねごりざか)峠への途中で先ほどの男性が足早に追い抜いていった。根来坂峠には鯖街道が通っていた。
- 狭い稜線を進んでいくと「おにゅう峠」に着いた。雨が降り出した。おにゅう峠の2-3分手前の車道に出たところに広場が有り、風を避けられる場所が有ったので三日目のテントを張った。男性は雨の中、先へ進んだ様子だった。「この雨の中を歩いているのかしら。気の毒に」と思いながらテントを打つ雨音を聞いた。この日、山中で会った登山者は一人だけだった。