- 蒜場山との最低鞍部を過ぎ、稜線に出たところからは雪面を踏んでの登りになった。平坦地の続く稲葉ノ平付近はブナ林だった。次の1160mのピークは南側の雪の有るところをピッケルを使って巻いた。
- 丸子カルまでは、なだらかな山容が続き、雪面が続いていた。次第に雪解け水が靴の中にしみこんで来た。
- 丸子カル先の鞍部を過ぎ烏帽子山への登りになるとヤブがひどくなってきた。木の枝が進行方向とは逆に茂っていた。手にしていたストックをザックにくくりつけ、両手で枝をかき分けながら進んだ。枝がズボンに引っかかった時に無理に引っ張ったら1cmくらいの鉤裂きを作ってしまった。30分程ヤブと格闘した後、標高1330m付近でやっと雪面に出た。
- わずかのヤブ漕ぎをした後、烏帽子のコルに着いた。草地が雪面から出ていて快適なテント場になっていた。テントを設営した。
- テントに荷物を置いて烏帽子山山頂へ向かった。少しのヤブ漕ぎで山頂に着いた。山頂は絨毯のように小さい木で覆われていた。風が少し吹いていた。展望を楽しんだ後テントに戻った。
- ふわふわなテントの床はマットが要らないくらいだった。コンロが不安定なのでポリタンを台にした。
- 翌朝、草の上のテントは暖かく、室温は17℃だった。すっかり乾いたテントは軽かった。
- 烏帽子山北峰まではわずかのヤブ漕ぎだった。北峰からは雪面を快適に下った。1457m標高点まではヤブはわずかだった。1457mからマグソ穴峰への登りは厳しいヤブ漕ぎが30分ほど続いた。行程がはかどらなかった。ウグイスが鳴いていた。
- マグソ穴峰からはヤブと雪面の繰り返しになった。マグソ穴峰からの下りではクレバスに胸まで落ちてしまった。同じ所を歩いたからと言って二人目が大丈夫とは限らなかった。いったんザックを外してからクレバスからはい上がった。キンカ穴峰への登りでは今度は先頭を歩いていたI氏が深いクレバスに腰まで落ちてザックが引っかかって止まった。ザックを背にして仰向けになりながらクレバスからはい上がった。
- キンカ穴峰を過ぎるとヤブも無くなり雪面が続くようなった。実川山には先行4人組のテント跡が有った。
- 実川山から薬師岳までは硬めの雪面が続き快適な登りだった。薬師岳は風が少しあったシャツを1枚プラスした。この日の出発点が烏帽子山が遠くに見えた。