- 初日は七倉山荘から歩き出した。急登だった。針葉樹の森になるとメボソムシクイが鳴いていた。
- 「七鞍の森」で休んでいるとサングラスをかけた青い服の女性単独行が登ってきた。我々と同じ烏帽子岳への縦走をするとの事だった。
- 森林限界を越えると天狗ノ庭だった。霧で展望は得られなかった。ウメバチソウやアキノキリンソウを見ながら登ると船窪小屋に着いた。霧に覆われ、良い展望は得られなかった。宿泊は13人だった。
- 二日目は晴れだった。剱岳や槍ヶ岳を見ながら出発した。船窪岳第1ピークを過ぎると険しい下りになった。鉄パイプの手すりの着いた両側が切れ落ちた稜線を通った。ガレ場の縁をロープや梯子を便りに慎重に進んだ。所々に咲いているミヤマアキノキリンソウに少し緊張が和らいだ。
- 船窪岳第2ピークでいったん先行の青い服の女性単独行に追いついた。槍ヶ岳の展望が良かった。
- 少し下ると不動岳への長い登りが始まった。周囲はダケカンバの森だった。少し霧が出てきた。やがて単独行とすれ違った。この日唯一の逆コースを歩く登山者だった。
- やがてシャクナゲとハイマツの登りになり、最後に岩場を鎖で登ると不動岳山頂北端の岩に出た。霧が晴れ、なだらかな稜線の先に山頂が見えた。先行の女性単独行が山頂を出発して行くのが見えた。
- 花崗岩とハイマツに覆われた稜線を進むと不動岳山頂で、付近にはトウヤクリンドウが咲いていた。少し先の白い砂地にはコマクサがたくさん咲いていた。コマクサの先の谷間には青緑色の黒部湖が見えた。広々した山頂は今までの苦労と比べると別天地だった。
- ハクサンフウロを見ながら南沢乗越まで下り、ガレの縁を通って南沢岳へと登り返した。南沢岳も花崗岩が多かった。烏帽子岳が雲の中に少し見えた。南沢岳からは歩きやくなった。下りはじめではコマクサも咲いていた。途中で猿の群れがいた。
- 烏帽子田圃は小さな池が多く、虫が多かった。烏帽子岳への分岐付近にもコマクサが咲いていた。
- 最後に鎖の付いた岩をよじ登ると烏帽子岳山頂に着いた。あいにく霧に覆われていた。少し薄日が差すものの良い展望は得られなかった。烏帽子岳付近からは8人の登山者とすれ違った。
- 烏帽子小屋前のベンチに座りビールを飲みながら疲れを癒やした。小屋の宿泊は20人ほどだった。
- 最終日の朝の雨は、ブナ立尾根の途中でやみ、快適に下った。平地に出ると濁沢で、奥に泥の混ざった激流の滝が見えた。不動沢の吊り橋で「滝まで行く」と言う23人の団体観光客とすれ違った。高瀬ダムでは7-8台のタクシーが団体の帰りを待っていた。団体の待ち時間で七倉まで乗せてもらった。