4月3日


女子バレーボール
世界最終予選抽選会
(東京体育館)

 シドニー五輪女子バレーボールの世界最終予選抽選会が3日、東京体育館で行われた。大会は6月17日から25日まで8か国総当たり戦で行われ、優勝国、アジア最上位、残る6チームのうち上位2チーム、の合計4か国が出場権を得る。

「超ホームゲームを生かせるか」

 女子バレーの抽選会は、FIVB(国際バレーボール連盟)から一任される恰好で行われた。今回は、8か国が1か所で集中的に開催することから、通常は開催国に2試合に限って与えられる既得権でもある「試合の指定システム」が3試合も与えられることになった。総当たり戦で、7試合のうち3試合の試合カードについて、どの日に入れるかを日本が決めていい、といういわば「ホーム・デシジョン」(ホームチームに有利な判定、はからいなどを総称して言う)システムである。
 この超優遇措置により、日本バレーボール協会は大会7日間で7試合のうち、初日にはアルゼンチン戦、6日目にクロアチア戦、そして注目の日韓戦は最終日に、と3つのカードの試合日を抽選の事前に指定することが出来た。
 その理由について抽選を終えた葛和伸元(くずわ・のぶちか)監督は「初戦がアルゼンチン(を指定した)の理由は、初戦はまず絶対に勝たねばならないし、昨年一度対戦しているので計算もいくらか立つからと考えた。また6日目のクロアチア戦は、クロアチアがベテラン揃いのこともあり、若干(年齢的なことから)疲労も出るなど集中力の点を考慮した。最終日の日韓戦は、五輪出場を(先の6試合で)決めてから思い切って戦う、という狙いからです」と説明した。
 シドニー五輪最終予選というある意味で死闘といえる舞台において、こうした既得権を持つことは選手にとってみれば何よりのサポートだろう。
 日韓戦が初戦だったら? あるいはベテラン揃いのクロアチアが初戦に来ていたら……、などと考えると想定はできないものの、やはり指定システムがかなり大きな力を持つことが伺える。
 葛和監督はこの日、代表が合宿する北海道・芦別から駆けつけた。
「選手からすると、前半の3日は絶対に落とせない試合で、言い換えれば後半4日はまったく気の抜けない状態になるということ。厳しいですが、全勝する気持ちに変わりはない」と、合宿中の若手の伸びを強調し、さらに今後も欧州遠征などで力をつけて大会に臨むことを明らかにした。
 バレーボールはここ何年かお家騒動が続き、4年前のアトランタ五輪直後には、深刻な財政難も経験した。協会・豊田専務理事は「全日本に関しては、現場からの要求通り、すべての強化日程を組んだ」と話し、財政難と存続をかけた危機の中でも前年度比プラスの強化費用、日程をつぎ込んできたと明かす。
 例えば役員はできる限り遠征に帯同したり、国内の試合でもホテルに宿泊することは止めるよう通達された。代わりに選手側の「しぼり屋」と呼ばれる、練習相手、スタッフを帯同できるように配慮もしたという。
 男子は欧州で代表権をかけた争いを行うが、女子は東京で、しかもTBSが日本戦をゴールデンタイムに放送するなど試合時間でも有利である。アルゼンチンが時差半日、40時間もかけたフライトで来日することを思うと、ホームの利を生かした最終予選のための舞台は揃ったといえる。
 女子はアトランタ五輪の過去最低の成績9位から上位へ復活するために出場権を狙う。スポーツおいて、おそらくこれ以上の「ホーム」はないという状況の中、どんな戦いを見せるのだろう。
 そしてバレーボールは、ここまで野球、ソフトボール、サッカーをのぞいて(五輪出場)全滅の「日本ボールゲーム」最後の砦でもある。 

    過去の対戦成績
    (93年から昨年まで、日本の世界ランキングは7位)
    アルゼンチン(世界ランク13位) 1勝0敗
    カナダ(14位) 8勝1敗
    中国(4位) 5勝34敗
    クロアチア(8位) 2勝2敗
    イタリア(6位) 5勝5敗
    韓国(5位) 2勝23敗
    オランダ(9位) 12勝10敗

初日
(6月17日)
2日目
(6月18日)
3日目
(6月19日)
4日
(6月21日)
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5日目
(6月22日)
6日目
(6月24日)
最終日
(6月25日)
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※最終予選出場8か国
オランダ、中国、日本、クロアチア
韓国、アルゼンチン、カナダ、イタリア
 すべての試合は東京体育館で行われるが、試合の順番は未定

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