]V いうことをきかない(反抗),これに対する罰

小児の発達の段階で,自我に目覚めてくる時期に「いうことをきかなくなる」のは当然である.通常1歳半一2歳、6歳前後、13一15歳頃 に目立っていうことをきかなくなる時期があり,反抗期と呼ばれるが,小児はすベて反抗期にあると考えてもよい.しかし親のしつけの仕方によってその程度は左右される.なぜ言うことをきかないかを考えてみる.しつけのしかたが原因であることもある.必要以上にこまかいことまで,うるさく守るよう強制したり,逆に何でもしたい放題にさせたり,親のその時の気分によって,あるいは両親の間でしつけの方針が違うような場合が原因となる一方,子供の欲求や心の発達の段階についても理解を持つ必要がある.例えば,壁に落書きするような場合,禁止するだけでなく,黒板とか紙とかの代わりのものを与える.ことばで言うよりも両親が子供の良い手本になるよう心がけ,子供がよいことをした場合にはほめ,また励ましてやるというような方法で,叱る必要を出来るだけ少なくするのが得策であろう.しかし,危険から身を守るため,あるいは将来の社会生活の準備のためにしつける必要がある.言うことを守らない場合,通常は語調を強めて叱るので充分であるが,効果のない時は1歳以上になれば罰を与えるのも止むを得ないことであろう.例えば,危険なことをして止めない時は軽くその手をたたいたり,いうことをきかぬ時に尻をたたくなどである.また,罰は直ちに与え,自分のしたことと罰の関係が子供によく判るようにしなければならない.