Z 指しゃぶりしていてよいか,またおしゃぶりをつかつてよいか?

 始めの数カ月間の指しゃぶりはほとんど生理的に近いものである.2一3歳の幼児の指しゃぶりはまったく治療を要しない. むしろ親の不安を除去するようにすることに留意する.すなわち,重大な永久的な口蓋の変形は生じないし、指しゃぶりをしない子供にくらべ,口内炎に罹り易いことはない.したがって指しゃぶりを強いて止めさせる必要はないが,そのやめさせる方法としては,指しゃぶりを見たならば,ちょっとした用事をいいつけたり,何か他のことに気をうつさせる.指をくわえたまま眠った時は,静かに離してやればよい.しかし,始終監視する態度をとるのはよくない.年長児の指しゃぶりは普通,情緒的社会的末熱の部分症状であるから生活環境を調ベてその指導をする.指しゃぶりは子供にとっては偶発的なことであって本質的な問題ではない.

おしゃぶりについては,外国では肯定的であり,わが国では否定的な傾向がある.特におしゃぶりをすすめる必要はないが,使う場合には口にくわえる部分に穴の無い,すなわち空気を誤燕しないもの,大きなツバがあったりして,口の中へ入りすぎないものを選ぶ必要がある.俗に「歯がため」と呼ばれる硬質のものの方がよい.また常に清潔なものを持たせなければならぬことは申すまでもない.指しゃぶりの癖のつよい乳児に,代わりにおしゃぶりを与えてもよい.