X たべものの好き嫌いをする(偏食)

偏食は幼児をもつ母親にとって屡々脳みのたねになる.栄養学的には,全体としてバランスのとれた食事をしていればよいので,例えば,魚を食ベなくても肉や卵を食ベればよいし,またにんじんを食ベなくてもこれに相当する野菜を食ベれば良いわけである.しかし,食ベない食品が多かったり,日常よく用いる食品が食ベられなかったりすると栄養面にも影響が出てくるし,不経済なことにもなる.
偏食や少食になり易いのは離乳期3一4歳頃である.離乳期では離乳開始が9カ月以後にまで遅れたり,与える食物が偏っていた場合などに偏食のおこる子がある.離乳期 の食物は,最初は味に慣れさせるつもりで少量から始め,もし,いやがるようなら4一5日位待って好きな物と組み合わせたり,調理法を変えたりして,また試みるのであるが,この時期からなるベく多くの食物や色々な味,口あたりなどにならすように心掛けることが大切である.幼児期になると自我意識が発達し,気むずかしくなり,何事にも拒否の態度を示すようになるものである.また食欲も乳児期ほど,旺盛なものではなくなるし,自分の好みもはっきりしてくる.このような時に,親が子供の食事を気にしすぎたり,食ベたがらないのを無理に食ベさせようとしたりすると,子供はますます食ベたがらなくなる.また食ベないからと言って,がっかりした様子を見せたり,食ベないと大きくなれないなどと,やかましく言うと,子供は食事をするのが楽しくなくなってしまう.嫌いな物を食ベた時に褒美を与えたり,ほめたりするのも感心しないこうすると子供は親の関心を引こうとして、わだと食べないまた幼児にとってカフェイン等の刺激剤の入った飲食物も好ましくない.例えば,チョコレ一ト,コ一ヒ一,緑茶,紅茶,コ一ラ類 などは少量ずつ,または薄めて与え,夕方以後は与えないようにする. なお,健康児の食欲不振に対しanabolic steroid剤を与えることは避けなくてはならぬ.また卵はすぐれた栄養源の食物であるが,コレステロ一ル含量も高いため大量を長期間与えることは避けるベきであるともいわれ,1日2個 程度にとどめるのがよいと考えられる.小児が好きでも同じ食品ばかりをつづけると飽きて食ベなくなり,あとで因ることもある.