X 睡眠

 新生児期は乳を飲む時以外は眠っているか, もうろうとした状態で過しているが,次第に眼ざめた状態が長くなってくる.生後3カ月ごろまでは2一8時間ずつの睡眠をはっきりした昼夜の別なくとっているが,3カ月をこえる頃から夜間に眼ざめずに眠るようになるのがふつうである.夜間に10一12時間,昼寝として4一6時間位は寝るが,1歳に達するころから昼寝の時間が減ってもすむようになる.

夜の睡眠時聞は学童期までを通じて少なくとも10時間 は確保したい. 以上は平均的な睡眠時聞であるが,乳児期にはその時聞が短かすぎるのではないかと訴えてくる母親も多い.原則としては健康な乳 児が睡眠不足になることはないので,生活環境が極端に悪い(はげしい騒音など)場合を除き心配のない旨説明して差し支えない. ただし幼児期,ことに幼稚園など集団生活をするようになれば,しつけの面を考慮して就寝,起床の時間をきめてやりたい.なお親と同じふとんに寝る(添寝)ことは,家庭の事情や主義にもよろうが,少なくとも生後3一6カ月までの幼若乳児期には窒息等の事故のおそれがあるのでやめさせたい.