No94・・・急性虫垂炎

一般に盲腸といわれてい る急性虫垂炎は子どもにも あり、虫垂が化膿する病気 で、時間がたつと穿孔とい って化膿した虫垂が破れ て、虫垂の中にたまった膿 が腹腔内に流れ出し腹膜炎 が広がります。穿孔は発症 後24〜48時問後に起ること が多く、24時間以内に穿孔 するのはわずかに10%程度 といわれています。穿孔す るまえに手術が行なわれま すと治療期問は短くですみ ますが、穿孔後に手術をし ますと、広がった腹膜炎の 治療にかなりの日数を要す ることになります。それゆ え発症後早い時期に診断し て、手術することが望まし いのです。虫垂は右下腹部 に位置しているため、この 部分の痛みと嘔吐や発熱が 主な症状です。子どもの腹 痛の訴えかたは年令により 異なり、2歳までの乳幼児 では痛みを言えないため両 足を曲げたり、機嫌や顔色 が悪く泣いたりして腹痛を 表現します。5歳頃になる と大人のように腹痛をはっ きりと訴え、痛いところも 手で示すことができるよう になります。子どもではお へそのあたりに痛みを訴え ることがしばしばあり、こ の場合普通に遊んだり歩い たりして、食事も食べるよ うならば心配はありません。しかしおへそから離れ たところの痛みや、2〜3 時間つづく痛みには注意す る必要があります。このよ うに子どもの腹痛の訴えは 不確実であり、病気の進行 が早く、そのうえ大人と黒 となり急性虫垂炎と早期に 診断することが難しいこと もあり、穿孔して症状が強 くなって初めて診断される ことも多いようです。私た ちの病院の小児外科では、 4年間に2515歳の41人に 急性虫垂炎の手術が行わ れ、この中に子どもの虫垂 炎の特徴がよく現れていま すので書いてみます。9歳 以上が22人(54%)と年長 児に多く、3歳以下は少な く4人(10%)のみでした。 41人のうち17人(42%)に 穿孔がみられ、特に3歳以 下の幼児では腹痛らしき症 状に引き続き、発熱、下痢、 嘔吐、食欲低下などの腸炎 にも似た症状を呈し、4人 のうち3人はすでに穿孔し ていました。また穿孔して ない場合の平均入院日数は 7.8日でしたが、穿孔してい ると22.4日と長くなっていま す。