No 90 お風呂

「先生、今日、この子を お風呂に入れてもいいです か?」 診察が終ったあと、お母 さんからよく質問されま す。お風呂は、日本で昔から 大切にされている生活習慣 です。体を清潔にするだけ でなく、新陳代謝を刺激し、 寝つきをよくするなどの効 果があります。お風呂を大 切に思うお母さんが多く、 このような質問が多いので しよう。とくに「かぜをひいてい るとき」「熱があるとき」 「予防注射のあと」お風呂 に入れてよいかどうか、こ の3つが最も多い質問で す。かぜをひいて咳や鼻水が 出ていても、機嫌がよく元 気で、熱がなければ、お風 呂に入れてもよいでしょ う。予防注射のあとは、一 時間たてばお風呂に入れて よいことになっています。 しかし「熱があるときの お風呂」これは難しい質問 です。熱の高さや病気の種 類によっても違ってきま す。重い病気で熱が高い場 合は、もちろん安静が第一 であり、お風呂に入れては いけません。しかしかぜな どの軽い病気で、熱があっ ても微熱の場合には、決ま りはありません。この場合、 医師の中にも、病気が悪化 することはないので「お風 呂に入れてよい」という意 見と、体力の消耗や湯冷め を心配して「入れないほう がよい」という意見があり ます。病状によっても、医 師の判断は変わります。お 母さんの意向を尊重する場 合もあるでしよう。 このように、熱が高くな い場合はケース・バイ・ケ ースということになりま す。お子さんのふだんの体 調やお母さんの意向をよく 知っている、かかりつけの 小児科医にみてもらい、そ の指示に従いましょう。 お風呂に入れない場合 は、おしりが汚れたりかぷ れたりしやすいので、洗面 器に入れたぬるま湯におし りをつけて洗ってあげまし ょう。暖かい季節であれば、 シャワーを使うのもよいで しょう。首すじやわきの下 は、お湯でしぼったタオル でふきます。これらはお母 さんの判断でやってあげて ください。