No 89 父親の役割

父親になった時、健康な よい子に育って欲しいと願 います。しかし、家庭の中 で、父親の存在あるいは役 割が、どうも曖昧なものに なってきています。子ども に問題が起こったとき、ど うにも頼りにならないと責 められ、世の中の父親よ 「しっかりしろ」といわれ ます。子どもが育つ間、喜 び、希望、不安、怒り、諦 めなどがない交ぜ状態で長年続 きます。大多数の父親は諦 観という安定状態を得て子 育てを卒業するものと思わ れます。 昔と違い男性が大人にな り父親になることが難しい 時代です。女性は初潮、妊 娠、出産、子育てと明らか な身体的変化と育児により 大人になり母親になりま す。男性は何時大人になっ たのかも定かでありませ ん。子どもを身近に見て、 私が父親であると認識する だけです。難しいことです が父親になるには父親にな る努力が必要です。「子育 てはおまえにまかす」と奥 さんに絶対に言わないで下 さい。何年か後の父親の苦 悩が目に見えます。 子どもは日々刻々と発達 し成長しています。1歳半 まで母と子は一体となって いる時で、父親はおむつを 替えたり母親の育児の援助 をする時期です。1歳半か ら4〜5歳までは行動範囲 が広がり、家庭の一員とな る時で、本格的な父親の出 番が始まります。仕事が忙 しいと言い訳せず、家族の ために時間を作る必要があ ります。4〜5歳以降は家 庭から社会ヘデビューする 時で、子どもの運動会で父 親は普段の運動不足を省み ず、一生懸命走ります。12 歳頃から難問の多い思春期 に入oます。 母親は子どもを慈しみ育 てる面とともに子どものす べてを支配し、呑み込んで しまう一面があるといわれ ます。父親はあたたかく見 守りながらも冷徹な目で観 察し、子どもの「悪」に対 して、自分の判断と責任に おいて、「ノー」と言わね ばなりません。元より子育 ての教科書はありません。 時々、父親の役割に思い巡 らし、振り返っていただき たい。
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