No 87 麻しん(はしか)その2

合併症麻しんウイルス は、感染に対する抵抗性を 低下させ、細菌感染を起し やすくします。合併症はい ずれの時期にも起りますが、 特に発しん期以降に、また 幼若なものほど起りやすく なります。なかでも肺炎の 合併が最も多く、7%ぐら いあるといわれています。 経過中に発熱が長びいたo、 一旦下熱したのち再び発熱 し、同時に呼吸困難があれ ば、肺炎の合併が疑われま す。その他の気道合併症に は中耳炎、喉頭炎(クルー プ)などがあります。神経 系の合併症としては、麻し ん脳炎が1000〜200 0例に1人の割合で報告さ れており、発しん出現後2 57日の間に発症すること が多いようです。また特異 な合併症として予後の極め て悪い亜急性硬化性全脳炎 があります。自然麻しんに 罹患後では約10万人に1人、 ワクチン接種後では、10 0〜150万人に1人の割 合で発症します。 異常経過をとる麻しん (1)内攻型麻しん 中毒型の ( 麻しんで、普通に経過して いた発しんが突然消えたり、 褐色に変わり同時にショッ クに陥ります。この状態を 麻しんが内攻したと言い、 気管支肺炎や循環障害を合 併したときに起こり、死亡 することもあります。また 予後の悪いものに出血傾向 を示す重症出血性麻しんも あります。 ( 2)修飾麻しん(不全型) ( 潜伏期問中にガンマグロブ リンの投与をうけた場合や 母体中采の麻しん抗体が残 っている生後3〜6か月の 乳児が躍った場合、また最 近では生ワクチン接種を受 けた児にもみられます。全 体的に軽症で、発熱、力タ ル症状が軽く、コプリック 斑も認めないことも多く、 発しんが非定型的です。( 3)異型麻しん不活化ワク ( チンの接種者で、抗体が低 下した時期に麻しんに感染 した場合にみられます。高 熱、肺炎、四肢に好発する 多様な発しん、麻しん抗体 の異常高値を認めます。 予防と治療麻しん患者か らのウイルスの分離は、力 タル期の発熱時に始まり、 発しん出現時をピークとし て次第に減少し、第5〜6 発しん日以降は検出されな くなります。この事実は接 触感染をさける基準となり ます。麻しんと診断された 患者と直前まで同居または 接触のあった場合は、感染 4日目と診断し、ガンマグ ロブリンを注射すると発病 を防ぐことができます。生 ワクチンは勿論、最もすぐ れた予防法であり、今後接 種回数なども検討しなけれ ばなりません。日本では昔 から麻しんば冷やすと内攻 すると恐れられてきまし た。患児が疲れるほど暖め るのではなく、快適な環境 で、解熱するまで安静を守 らせ、十分な水分と消化の 良い食事を摂るようにしま す。治療は基本的には対症 療法ですが、二次感染の防 止も大切と思われます。