No113・・・言葉がつまって言えない子どもの問題(吃音)

「吃音(きつおん)=どもる」とは普通、語の最初をくり返して話す状態をさしますが、引き伸ばしたり、最初の音が出せないブ□ックといった症状もあります。発症時期は2〜3歳頃に集中しています。この年齢の子どもには多少こうした話し方が通常みられます。ですから、すぐに吃音だと判断せずに少し様子をみましょう。吃音の原因は決定的なものがなく、従って完全な治療法も未だ確立していません。複数の因子が重なり合っていると考えられています。かつて母親の育て方が問われることもありましたが、決して子育ての方法が主たる原因ではありません。最近では言語発達との関係が研究されており、吃症状だけではなく様々な要因を検討する必要があります。自然治癒率をみると、就学前に吃音が消失する割合は約5割という報告もあります。学童期以降も症状がある場合は、持ち続けていく割合は高くなります。対応方法については、まず吃症状だけに目を向けるのではなく、表現の豊かさや社会性といったコミュニケーションに関する能力を育てていくことを大切にして下さい。そして子どもの話を聞く場合には、話し方ではなく話の内容に注目するよう心がけます。「もう少しゆっくり言ってごらん、落ち着いて。」といった声がけは、話の内容ではなく話し方に注目するよう子どもに助言していることになります。子どもはますます話しづらくなり、話すことを避けようとします。子どもが少々どもっていても今の話し方を全面的に認めてあげましょう。そうすることで子どもは、親から十分愛されているんだと確信することができ、どもっても自信をもって他人と話していこうという力が育っていきます。この力が十分でないまま安易に矯正訓練を行えば、かえって症状を悪化させてしまうことが大変多いのです。しばらく様子をみて気になるようでしたら、当小児言語科など小児の吃音について経験豊富な専門家(スピーチセラピスト)のいる機関をおたずね下さい。