No108・・・カンジダ皮膚炎

皮膚、粘膜のカンジダ症 は真菌(カビ類)の一種で あるカンジダ(多くは Candida albicans)により 引き起こされる病変です。 カンジダは他の真菌(水虫 などの白癬菌)と異なって、 細菌とともに健康な人の消 化管に常在しています。そ れが全身的な要因だとえ ば、抗生物質の乱用により 腸内細菌が減少したり、ス テロイド剤・免疫抑制剤の 使用、糖尿病や免疫に関与 する疾患により抵抗力が低 下した時、また皮膚ではお むつによる”むれ”で皮膚バ リアーの破壊やステロイド 外用剤の多使用による局所 免疫の低下により発症しま す。 ここでは赤ちゃんによく 見られる皮膚、口腔カンジ ダ症について話します。 カンジダによるおむつか ぷれは、赤ちゃんの糞便中 のカンジダが原因となり、 おむつの当たる部位に発症 します。症状は鮮紅色の紅 斑で周辺部がふけのように はがれ点状発赤が衛星状に 散在します。他のおむつか ぷれと異なり、皮膚のくび れの深いところで病変が強 くなります。おむつによる ”むれ”ステロイド外用剤や パウダーの乱用、おむつラ イナー、柔軟剤の多使用な ども増悪因子として挙げら れています。 夏に赤ちゃんのよだれが 流れる頚部から背部にかけ て皮膚カンジダ症が発症 し、細かい小丘疹が密集し てみられることからアセモ と間違えられていることも あります。 一般に鵞口瘡といわれる 口腔カンジダ症は産道感 染、母親などの唾液、哺乳 瓶などから感染することも あり、乳児初期においては 感染防御が未発達のために 健康児にもみられます。症 状は口腔内粘膜や舌に白い ミルクかす様のものがつ き、無理に剥がすと浅いび らんを生じ、疼痛のために 哺乳量が少なくなることも あります。 その他、指の問や爪にも みられます。カンジダ症の 診断は皮膚や粘膜の病変部 位にカンジダを証明するこ とで、設備があれば外来で 簡単に検索することができ ます。適切な外用剤の使用 で治癒し予後は一般に良い 疾患です。好発部位を清潔 に保ち、おむつの当たる部 位やよく汗をかく部位を常 温の水でしぼったタオルで 清拭し、充分乾燥させると 感染予防、再発防止になり ます。