No106・・・赤ちゃんの突然死

これまで元気に育ってきた子どもが、ある朝、布団の中で、亡くなっていた。このような病気は、乳幼児突然死症候群(SIDS)と呼ばれます。この病気は、生後2か月から4か月の時期に起こることが多く、死後に行われる解剖によってもその死因となるものが見出せないというやっかいな病気です。乳児の死亡原因の上位を占めています。SIDSは昔からあった病気で、旧約聖書にも記載が見られ、有名なソロモン王の判決の際に、最初に亡くなっていた赤ちゃんがSIDSによる死亡だといわれています。SIDSは、年々増加する病気ではありませんが、そのほかの病気による死亡がどんどん減ってきているため、特に注目されるようになっているのです。SIDSは、両親の不注意で起こった疾患や事故ではありません。毎年、日本では2000人の出生に対し、1人の割合でSIDSのために、赤ちゃんが亡くなっていると考えられています。SIDSは保育所における突然死などのときに責任が問われ、社会的にも大きな問題となっています。今年の6月、厚生省は、全国調査の結果、うつぶせ寝、人工乳保育、保護者の喫煙によりSIDSの発症のリスクが高まると発表しました。生まれてすぐに未熟児や口腔・背中の奇形などで、うつ伏せを医師から指示されている赤ちゃん以外は、仰向けの体位で育てた方がよいでしょう。最近はダイオキシンなどの関連で母乳保育の問題が指摘されてはいますがSIDSに関しては、人工乳保育の方が突然死のリスクが高いとされています。子育ての時期に両親が喫煙するのは子どものためにはよくないことです。又、赤ちゃんの着せ過ぎも突然死発症のリスクが高まります。生まれてから半年くらいまでの間は特に赤ちゃんを長い間、一人にしないように注意しましょう。母親でなくとも誰かが赤ちゃんと一緒にいるように心がけ、寝室も家族と一緒が望ましいことです。SIDSはその8割が生後6ヶ月以内に起こっているので、その時期は特に赤ちゃんとの接触が大事であるということです。