No 104 細気管支炎

細気管支炎は、冬から早 春にかけて流行する2歳未 満の乳幼児、特に6か月前 後の小さな赤ちゃんに多く みられる病気です。冬の呼 吸器疾患による乳児入院の 最大の原因となっていま す。症状としては、鼻水、 くしゃみ、せきなどのかぜ 症状からはじまります。 熱はそれほど高くでない ですが、呼吸症状に特徴が あり、かぜ症状後しだいに 呼吸が浅く早くなり、さら に小鼻をひくひくさせ、胸 がペコペコとへっこむ(陥 没呼吸)など呼吸困難が強 くなります。酸素を受け取 る末梢気道(細気管支領域) の病気ですので、末梢気道 が閉塞しゼーゼー(喘鳴) を伴ったり、病状が進むと 体の中の酸素が不足して、 皮膚の色が悪くなったりし ます(チアノーゼの出現)。 原因の大部分はRS、アデ ノ、パラインフルエンザな どのウィルス感染で、RS ウィルスがその大半をしめ ています。治療はウィルス が原因ですので、これとい った特効薬はなく対症療法 が中心です。抗生剤は細菌 の混合感染には効果があり ます。大切なのは水分の補 給で脱水になると、ますま す痰がねばっこくなり、気 道閉塞、酸素の換気障害を ひきおこし、呼吸状態が急 速に悪くなり、酸素不足に おちいります。少量ずつで も回数を多くして水分補給 をこころがけて下さい。細 気管支炎は喘息と症状が似 ていますが、病変が末梢気 道にあるので平滑筋の発達 が悪く気管支を広げるお薬 も喘息ほど効果がありませ ん。このように特に薬はあ りませんが、ウィルス感染 症ですので、水分補給、酸 素投与などの対症療法を迅 速に適切に対応すれば、数 日問で軽快し、概して予後 は良好な疾患といわれてい ます。しかし、その対応が 遅れれば症状が急速に進行 し、短期問に呼吸不全にお ちいり重篤化しますので、 お母さんがたは特に1歳未 満の赤ちゃんでは、熱が高 くなくても多呼吸、ミルク の飲みがわるくなり、陥没 呼吸があれば、速やかに医 療機関を受診して下さい。 細気管支炎は乳児の呼吸器 疾患では入院の最大原因で あることをもう一度強調し ておきます。特に6か月未 満の赤ちゃんでは冬のせき、 鼻水は要注意です。