No100・・・手がぬけた

子どもが転びそうになり、お父さんやお母さんが、手を強く引っ張った時や、両手を持ってブランコ遊ぴをしている時に、子どもが 急に泣き出し、手を痛がり、まったく動かさなくなることがしばしぱあります。これが、手がぬけた一という状態です。医学的には、肘内 と言います。6歳以下の子ども、特に2〜4歳の幼児に多く、手を引っ張る以外に寝返りや転んだ時に起こることもあります。この肘内障は、肘の関節 の外傷です。肘の関節は、上腕骨(肩から肘までの骨)と橈骨、尺骨(肘から手首までの骨)の3つの骨からなり、屈伸運動と回旋運動 に関係しています。又、人体のほかの関節と同じように、脱臼を防止する靱帯によって補強されています。
ところが幼児期には、肘の
関節を構成している骨の一つである榛骨(肘から手首までの骨の親指側の骨)の骨頭(橈骨の先の部分)が頚部(骨頭のねもと)に比べそれほど大きくなく、さ らに、この骨頭と頚部を外から押さえている帯状の靱帯や周囲の筋肉も十分に発達していないため、肘の関節が伸びた状態で、引っ張 られると橈骨の骨頭が靱帯を越えてずれてしまう(亜脱臼)のです。これが肘内障です。症状は、急に泣き出し、肘の関節をやや曲げ、手の ひらをやや後ろの方向に向けて、手をまったく動かさず痛がることが多いです。痛がる場所は、肘の関節が中心ですが、よく泣くため 場所がはっきりしない時や、たまに手首を痛がる時もあります。
他の骨折と区別するためにレントゲン検査が必要な時もありますが、肘内障だけではレント
ゲン検査で、異常は認められません。整復は、自然に整復される事もあり、比較的容易に整復されます。しかし、親と遊んでいて原因がはっき りと分かる時は良いのですが、一人で遊んでいて、急に腕を痛がるような時は、他の外傷、例えば鎖骨骨折や橈骨骨折の時もあります ので、専門の医師(整形外科の医師)を受診された方が良いと思います