マット裏情報

桑山虫太郎


 7月の声を聞いたとたん、急に蒸し暑くなってきた。この蒸し暑さがクワガタフリークにはたまらない。採集の達人には、その日の気温と湿度でクワガタの出具合がわかるとのことだが、その域まで到達するには最低でも10年はかかるらしい。この世界も修行が必要かと考えるとイヤになるが、できればそのような達人に、桜だよりならぬクワガタだよりを提供してほしいと思う。
『韮崎:ちらほら、檜枝岐:満開、三草山:散り染め..』などあれば、個人的にとてもうれしい。

 話は変わるが、ワールドカップもいよいよ大詰めだ。この原稿を書いている時点では、ベスト4が出そろったところだが、クワ馬鹿が出る頃には準決勝が行われて、決勝の2チームが選出されていることであろう。私は個人的にイングランドを応援していたのであるが、アルゼンチンごときに敗れてしまった。退場者さえ出なければ、明らかにイングランドが勝っていたと思うのだが、役者揃いのアルゼンチンのパフォーマンスにやられた感じがする。しかしながら、そのアルゼンチンもオランダに見事に敗れてしまった。 今度は、役におぼれてしまったようだが、自然な倒れ方を練習するには、吉本新喜劇に入門するのが一番だろう! オルテガに、誰か教えてあげてほしい。

さて、今月の裏情報は二ヶ月分で、かなりボリュームがあるから心して読むようにしてほしい!
トイレに行きたい人は、先に済ませておくことをお奨めする。

 まずは、このところにぎやかな東北方面の情報である。
有名な福島のAD氏が、ミクラミヤマを採りに御蔵島まで行った話は既にご承知の通りである。ミヤマといえば、仙台に有名なミヤマバカBS氏がいる。BS氏はAD氏に刺激されたのか、突如御蔵島へと旅立った。船便が少なく天候によっては簡単に欠航になるので、御蔵島は遠い遠い島である。
BS氏は休みを有効に利用するためヘリをチャーターしたという噂まであるが、クワ馬鹿の馬鹿さ加減には切りがない。

AD氏が台湾へ採集旅行へ行った話には、馬鹿慣れしているみなさんもさすがに驚いた事だと思う。充分な下調べと、現地の受入態勢の確保など見習う点ばかりだ。AD氏が大戦果をあげた事で「台湾へ行きたい!」と思ってる人も多いと思うが、前述のBS氏と近畿の総帥S氏はあわや採集へ行く事になっていたとの噂を聞いた。香港の某DR氏から『いけへん?』と誘われたふたりは、『行く!行く!』と大騒ぎをしたそうだが、双方とも妻な人からの非難を浴びて断念したそうである。
が、これで引き下がる二人ではない! そのうち行くことになるのは、幼虫が蛹となるが如く必定である。きっとそのうち、台湾から強制送還される2人の写真が新聞に載る日も近いだろう!
ああ、待ち遠しい!

 次に関東支部の馬鹿者情報である。
まずは《採集の鉄人》と言われるIあん氏の話題からだ。
何でもこの人には”病気“と言う二文字とは全く無縁と考えられていたが、今回信じられない事が起こった。
何と、採集のし過ぎで肺炎になってしまい、しかも入院する程重症だったそうだ。体調の不調を自覚してからも、桧枝岐採集や○研ツアーを計画していたそうだから開いた口が塞がらない。
看護婦さんから得たマル秘情報だが、ある夜、見回りの時に『Iあん氏病室からなにやら不気味な声が聞こえる!』との連絡で、早速医師達が駆け付けたところ、『檜枝岐!、韮崎!、ヒメオオ!』と熱でうなされて、寝言を発しているIあん氏を発見したそうだ!
高熱にうなされながらも、クワガタのことが頭から離れないとは、まったく呆れるばかりであるが、その執念には敬服するものがある。
しかも、寝言は毎夜のように続き、『あーっ!チェーンソーの燃料が無くなるぅー!』などと、意味不明の言葉を発するようになったため、その場に居合わせた医師、看護婦達は、『担当医を変更した方が良いかも?』と真剣に検討したらしい。考えようによっては、賢明な判断かもしれないと思う!
皆さん、Iあん氏のようにならないために、採集のし過ぎには十分気を付けるように!

 続いては、6月5日にCら邸で行われた、近畿支部の総帥S氏歓迎オフミの話題だ!
翌日がお子さんの運動会というお忙しい最中にも関わらず、気持ちよく接して頂いた奥さんや、一生懸命お手伝いをしてくれていたお子さん達、本当に申し訳なく思う。
オフミが終了したのは午後9時を過ぎていて、さぞご迷惑だったはずだ。桑山虫太郎が代表して御礼申し上げる次第である。お陰様で我々馬鹿者達は楽しく飲んだくれて、気持ちよく帰路に就くことができた。
せっかく出して頂いた料理も結構残ってしまったが、Hっと氏が帰る間際に随分と口の中に放り込んでいたのを、私はしっかりと目撃した。がっちりした体格の持ち主であるHっと氏ならではの、なせる技であろう! 何事も身体が資本だ!!

 ところで、今回のオフミで《世界七不思議》の中に絶対入る事実を発見した!
オフミに参加された人は既に気づかれていると思うが、皆さんおなじみの、あのゴーマン男のCら氏が、なぜあの様な素晴らしい奥さんと夫婦(めおと)になることが出来たのだろうか?
けしからん! あってはいけないことだが、事実だからしようがない。
人は見かけによらないと言うが、彼は見かけ通り、そのままである。
願うならば、お子さんには奥さんの血が100%流れていてほしいと思っていたが、幸い会った印象からすると、大丈夫のようだ!これで、社会に迷惑がかからずに済むので、ひとまず安心と言える!
機会があれば、馴れ初めなどをご両人に直接聞いてみたいものだが、追求の価値は十分あると思う。そこに隠された秘密とは、果たして何だろう?
謎だ! 知りたい気持ちもあるが、知らない方が身のためかもしれない!

 話は変わって、ここで我が大馬鹿者連中にも、クワに対し素晴らしく優しい気持ちを持った男がいることをご紹介する。ご存じ、音量調整器の壊れた大酒豪のH氏(超外産通の異名を持つ酔っぱらい男)である!
当日も、例によって持参した強烈なウォッカにトマトジュースを混ぜ、一人でグイグイ飲みまくり、友人であり、かつ尊敬するAC氏にもしきりに勧めていた。(心やさしいAC氏は勧められるままに一杯作ってもらっていたが最後まで残っていたそうである)
AC氏にとっては、きっと、酔っぱらいに絡まれている心境だったに違いないが、人徳のあるAC氏はびくともしなかったそうだ。 さすがだ!!
(単に酩酊状態で、意識が薄れていたのかもしれないが、本人のみぞ知るである。)

本題に戻るが、H氏の話はこうだ!
家族で、とあるデパートに買い物に行った時、いつものように屋上のペットショップコーナーに顔を出してみると、貧粗なオオクワが1ペアだけ売っていたらしい。しかも25,000円と言う、今時驚くべき価格だったとのこと(@@)
店員に訪ねてみると、昨年からの売れ残りだったそうだが、よほど管理が悪かったのだろう、ヨレヨレの状態だったらしい。これを見て、優しいH氏はすっかりこのオオクワが可哀想になり、自分のところで引き取ってあげたそうだ。なんとも、ただの大馬鹿者には真似の出来ないことを、ズバッとやってくれるH氏に、大きな拍手をお送りしたいと思う! やはり、クワガタを飼育する人は、これぐらいの度量がないといけない。ただ、当日現場にいた奥さんのお気持ちは、察するにあまりある。
気の毒だが、大なり小なり、クワ馬鹿の奥様連中は、このような思いを日々されておられるのであろうし、今後も続くのであろう。我々は、絶対に改心しないつもりなので、ぜひ今後とも、末永くよろしくおつき合い申し上げる次第だ!!
とは言え、H氏には罪滅ぼしとして、奥さんや小さいお子さん達に、是非何か買ってやって頂きたいことを付け加えさせていただく!
ちなみに、ヨレヨレオオクワは、購入後2週間でお亡くなりになられたとのこと!一同黙祷!(_ _)

 そうそう、遠方より駆けつけたまちかね掲示板家主のMかね氏は、他のクワ馬鹿連中と同様、とんでもなく酒が好きであることが判明した。もう一人の酒豪、K.カブト氏が参加していたら大変な状況になっていたに違いない。何しろ、『ノコギリのアゴにハシをつけると挟む、指1本だと挟まない』を180回は言っていた。当日、紙と鉛筆で『正』の字で、言った回数を数えていたヤツがいたとか! 学級委員選挙ではあるまいに、たいへんな暇人もいるものだが、帰りの方向が途中まで一緒だったA.C氏は、車中でも120回程聞かされていたらしい。これでは、間違いなく拷問だ!
単純計算すると300回は言ったことになるが、こうなれば、単なる酔っぱらいとして片付けられる話でないことは言うまでもない。 いつか、被害届が出されるであろう!

Mかね氏の名誉のために付け加えれば、単なる酔っ払いだけでなく、非常に心優しい人である。
Cら氏の虫部屋(オウム貝や化石や「タイムマシンの作り方」などの怪しげな書籍がここかしこにある、簡単にいうと「ガキ部屋」の大人版だ)を、クワ馬鹿連中が探索している間、CらJr.の相手を飽きる事無くしていたそうである。

 近畿支部総帥のS氏は、前日から出張と称して上京していたらしく、公認会計士をたいした用事もないのに無理矢理東京まで連行したあげく、カラ仕事を押しつけたとのうわさだ。全くこの人ほど会社を私物化している人間はいないだろう!うーん、わからん会社、いや人物だ。
鬼神か奇人か、どちらなのだろうか! 本人は神童と言っているが、私はたんなる奥様のペットだと思う!(その後の情報では奥様はS氏のことを「うちの長男」と近所の人に言ってるようだ)
やっぱり。
S氏は当日、T氏とJR中野駅で待ち合わせし、むし社に行ったらしい。相変わらずたんまりと標本を購入して行ったとのこと。『ええい、このお金持ちめ!』
一体全体、小遣いはいくらもらっているのだろうか?T氏は聞きたかったに違いないが、聞くと悲しくなるのでやめたらしい。
(その後の情報ではS氏の小遣いはボーナス全部だそうだ・・・羨ましい・・(T_T))

オフミ終了後、S氏は菌糸ビン飼育に力を入れているT氏邸に、当初の予定通り拉致され、強制宿泊を余儀なくされたらしいが、そこで起きたT氏邸に着くまでの、なんとも締まらない企画倒れな話を紹介しよう。
S氏はユーミン(と言っても荒井由実時代がメイン。年がバレバレだ!)の曲がお気に入りで、中でも《中央フリーウェイ》が大好きだとのこと。それを聞いたT氏は気を利かせて早速、『帰り道は中央高速を使おう』と考えたらしい。(この時間なら、下を走ってもさほど変わらないのだが...)
そして、BGMでこの曲を流し、遠くネオンに浮かぶ街並みを見て、雰囲気を演出しようと思いついた。ここまでは、素敵な企画である。
しかしながら、運転しながら目的のテープを探し、頭出しをして何とか曲がかかった時、既に車は国立、府中の出口を通りすぎ、何とファッションホテル街を走っていたそうだ。この時車内では、暫く沈黙が続いたと聞いている。 う〜ん! おバカ!!

 ついでに、T氏のマヌケ話をもう一つ紹介しよう!
彼はオオクワに限らず、クワ達の体調の善し悪しを判断するのに、なんと!わざわざ指を挟ませているそうだ!!まさに『良い子のみんなは絶対にマネをしないようにしましょう!』などのテロップが、無条件に流れてしまうようなバカ話だが、これを読まれている人にとっては、さほど驚くべきことではないかもしれない。先日も、72ミリのオオクワに手を挟ませていたら、たまたま挟ませる位置がズレてしまい、完全に内歯が指に食い込み、離れなくなってしまったそうだ。早速家族に助けを求め、奥さんにアゴを広げるよう指示したが、オオクワのアゴの力の方が強く、全然開かせる事が出来ず失敗に終わったとのこと。
(これは、実に多くの方が、一度は経験していることだろう。思い出しただけでも痛い。)
T氏はあまりの痛さに我慢できず、ついにライターの火で、下から攻撃をかけようと考えたが、大切なオオクワにやけどをさせることは忍びなく、その後10分近く我慢したらしい。結局、解放された指からは、止めどもなく血が流れていたそうだ。そう、ブッチャーの額から噴き出る血のように..

一見、気の毒にも見えるが、聞きようによっては、「同情の余地は一切無い!」と言いたくなる話であるし、我々にとっては日常茶飯事なのかもしれない!
そんなT氏にも救いの神がいた。奥さんとその長女だ。何でも、父の日に思い掛けないプレゼントを貰ったらしい。ネクタイかハンカチだろうと思いつつ、包みを開けてみると、なんとそれはデジタルクッキングスケールだったとのこと!奥さん曰く、『毎回料理用に使用している計り(針表示タイプ)を幼虫の体重測定に使われるのは、我慢できないから!』と言う理由だそうだ。
お調子づいたT氏は、『次は電子レンジだ!』と叫んだそうだが、すぐさま2人から『喝!』を入れられたとか! 至極当然である。T氏曰く、『電子レンジのゲットは、75ミリのオオクワを出す以上に難しい』これもまた、聞いただけ損した気分になるような話であった。

 まだまだ紹介したいバカ話は沢山あるが、関東編はこの辺りでお開きにしたい。またの機会に今回以上の情報提供が出来ることを願っている。みんな期待していてほしい!

 次は中部地方の情報である。S県一の大馬鹿者で最近はルパン4世を自称しているGH氏だが、先日キープしていた椎茸のホダ木でマット製作を思い立ち、樹皮・芯を除いて一所懸命粉砕機にかけていたところ、ふと気がつくとなんと!3立方メートルもつくってしまったらしい。この人は菌糸瓶も凄い量を自作した実績があり「トテツモナイバカ」と呼ばれている。このひとのやることはスケールが違うという伝説に、また新たな1頁が追加された。
この記事が読者の目に触れる頃には、中米あたりでまた馬鹿をしでかしているかもしれない。『一応仕事で・・』と本人は話しているそうだが。アメリカからマレーシアに寄って帰るビジネスマンがいるのだろうか! なにやら、いろいろと引き連れて帰ってくるような気がする。

 引き続いて二ヶ月ぶりの西日本馬鹿情報であるが、今年は関西方面在住のクワ馬鹿達に、おめでたが相次いでいる。
4月にはM本氏に息子さんが産まれ、6月には採集の神G氏に、これまた息子さんが産まれた。立派な跡継ぎに恵まれ、2人ともますますクワ馬鹿に磨きが掛かるものと思われる。
先の2人に続き、間もなく京都在住のT谷氏、続いて神戸在住のK氏にもベビーが誕生する予定。おめでた続きで関西方面は大忙し!!これで、クワガタ採集どころではなくなったはずだが、しかし、ここで皆さんに聞いていただきたい問題がある。感の鋭い人なら、もう予想がついていると思うが、聞くところによると、現人神で有らせられるG氏は、奥様の陣痛が始まる直前まで採集に出かけていたそうで、帰宅と同時に産気づく奥様の様子を見てオロオロしたそうだ。
しかも、そのような最中であるにも関わらず、取り逃がした獲物のことが頭から離れなくて、何としても狙った獲物をゲットしたいあまり、己の神通力によって奥様の陣痛を止めてしまったそうだ。なんたることだろう。こんなことが許されてよいものだろうか!もちろん、G氏はその後再び採集に出かけたのは言うまでもない。

 ところで、関西支部の総帥であるS氏は6月某日、はるばるE氏の住むF県まで灯火採集に出かけたようだ。S氏の本当のねらいはシジミであったらしいが、それは言い訳で、温泉に入りに行くのが本音だったと容易に想像される。最近は、キーボートの叩きすぎで腱鞘炎気味らしいので、湯治に行く大義名分がほしかったのであろうが、お供に連れられて行った神戸のK氏は、大好きなワールドカップの試合が見られなくて泣いていたそうだ。気の毒に......
灯火採集では、K氏の鋭い眼力に皆の注目が集まったそうで、遙か遠くから飛んでくるクワガタをいち早くキャッチし、いとも簡単にゲットするらしい。私が思うには、これは日頃のまじめな仕事ぶりの賜物ではないだろうか。K氏の職業を知る人には、すぐに理解できると思うが、ここでは割愛させていただくとしよう。

採集の帰り、彼らはE氏宅にお邪魔したそうだが、これがとてつもないクワガタ屋敷で、大阪在住のJ氏に勝るとも劣らぬ数を飼育していたそうだ。そう言えば、J氏はかつて、近畿支部御用達のクワガタショップ、《B》からゼリー900個を仕入れようとしたところ、タッチの差でE氏に予約品を先取りされてしまい、呆然となったらしい。それを、見かねた《B》の店長であるN氏は、お店で使う分を恵んであげたそうだが、なんとも痛ましいというか、悲惨なゼリー争奪合戦が繰り広げられていたようである。
ちなみに、J氏はゼリーのフタの剥きすぎで指がよく痙攣するらしく、最近は奥さんに剥くのを手伝ってもらっているとの噂である。

 このような内助の功で、クワガタ飼育を継続できている人は多いと思われるが、関東支部の馬鹿者情報でも紹介した東京在住の《飲んべえ》ことH氏も、ご多分にもれず積極的な教育指導の結果、奥様を重要な戦力に仕立て上げた一人である。
H氏はきれい好きで有名で、餌交換時にはゴミ袋をはじめ、ウェットティッシュ(ノンアルコール仕様)や下に引く新聞紙はおろか、空中に飛散するマットやコバエをキャッチするために、掃除機まであらかじめ準備してから始めると聞いている。もちろん作業終了後、床にマットのかけらひとつ落ちていないらしい。ここまで徹底するのは難しいかもしれないが、ぜひ見習いたいものである。
しかしながら、私以上に見習ってほしいのは、これまた神戸在住の某SB氏だ。(誰かすぐにわかってしまうので、某を付ける意味がないぞ)
かつて一度、私はSB氏宅を訪問させてもらったことがあるが、立派な高層マンションとそこに住んでおられる奥様に反比例して、飼育部屋は確かに美しいとは言えない(言うと嘘になる)風景であった!
飼育部屋に入るにはスリッパが必需品だが、神経質な人であれば、それすら二の足を踏むかも知れないだろう。(もちろん、わたしは平気だが!)

SB氏宅を再三訪問しているS氏によれば、さらに凄い『開かずの部屋』があるそうで、ここはさすがに、私もご遠慮しようと思っているのだが、最近入手した情報によると、前述のE氏宅はそれを上回るらしく、畳の上にマットが大量にこぼれ落ち、そこで発酵しているそうだ。もしかしたら、そのうち部屋がまさしく飼育部屋になるかもしれない。
いい加減、寛大な奥様も切れる寸前と聞くが、万一のことがあれば、E氏に里子を送った人たちは同罪だから、賠償金を一部負担しなければならないと思うので、今から心の準備をしておくように。

言うまでもなく、G氏、SB氏、E氏ともワイルド物の捕獲にかけては突出したものがあり、三者三様の独自技術をお持ちのようであるが、ただ一つ共通することは、飼育部屋が汚いということだろう。こちらにかけても、他の追従を許さないところはさすがだ!飼育部屋がきれいな人に採集の達人はいないという法則もあるらしいが、賢明な読者のみなさんは、決してまねをしないように!

 さて、悲惨なゼリー戦争に破れたJ氏は、東京に転勤になったT氏から、思い出の品として、菌糸ビン入りオオクワ幼虫をもらい、これまたT氏お奨めの菌糸ビンを購入して大切に育てていたが、その甲斐あって大きくなり、めでたく蛹化したと思いきや、どうも様子がおかしい。そこで、懐中電灯でじっくりと観察したところ、大顎がオオクワにしては恐ろしく湾曲していることに気づいた。
さすがにヒラタばかり飼育しているJ氏でも、これがオオクワでないことに気づくのに、さほど時間はかからなかったらしいが、それにしても、今の今までオオクワとノコギリの幼虫の違いに気づかないあたりに、J氏の実力が伺い知れる。念のため、J氏に言い訳を聞いてみたところ、これまでノコギリの幼虫を一度も見たことがなかったそうだ。まあ、私に言わせれば、見ていても区別できなかったと思うが、それにしても大笑いであることに違いはない。このゴージャスなノコギリにかかった飼育費用は、2人がかりで4000円は下らないだろう。J氏はこのことを、すぐにT氏に報告する事ができず、ひとまずS氏に報告したところ、『菌糸ビンでも育つんだなあ! これはおもしろい!! 裏情報ネタに最適!』と、一人で喜んでいたそうだ。うーん、鬼である。
確かに、菌糸ビンでノコギリを育てた最初で最後の記録になるのではないかと思う。この幻の菌糸ビンノコギリクワガタは、J氏宅で優雅に独身生活を送っているらしい。

 話は変わり、本格的な採集シーズンになったこともあって、各地で採集ツアーなるものが開催されているようであるが、様々なトラブルをよく聞く。採集の神のG氏のところには、いろんな人から「ぜひ、オオクワの採れるポイントを教えてほしい」とのメールが、ひっきりなしに舞い込んで来るようだ。
親切なG氏は、誰にも平等に教えてあげたいそうだが、かつてそのような件でトラブルに巻き込まれ、イヤな思いをしたらしく、滅多なことでは教えてくれないようになったと聞いている。G氏に神頼みをする気持ちはわからないでもないが、日頃の信心もなく、都合の良い時にお参りするぐらいでは、効き目もないだろう。G氏は、何もかもお見通しだ!!! 気をつけよう!
人によっては、「来るものは拒まず」で、誰にも訳隔てなく教えてくれる採集の達人もいれば、誰にも絶対に教えないと言う人もいる。それぞれ、その人なりの考えがあってのことだと思うが、教えてもらうよりも採集に誘ってもらうように、日頃から心がけることが大切なのではなかろうか。
ついでに云うと、メールでいろいろと聞いてくるのに本名を明かさない不埒な輩が最近現れたらしい。クワ馬鹿と言えども、最低のモラルは守りたいものだ。

 ところで、最初にワールドカップの話が出たと思うが、にわかサッカーファンのJ氏は、何を思ったか、全試合を見るつもりでいたらしい。しかしながら、すでに皆さんもご存じのように、BSが受信できないとダメだと言うことがわかって愕然としたそうだ。
J氏の住むマンションは古いため、BSの共同アンテナがないばかりか、南西方向に面していないため、自力でベランダにアンテナを取り付けることも出来ないという不幸な境遇にある。どうしても、生放送で試合を見たいJ氏は、考え抜いた末に自転車を購入したそうだ。なんでも、実家が3キロほどの距離にあり、そこではBSを見ることが出来るため、是が非でも見たい試合がある日には、自宅から自転車に乗って、実家で見ようと誰の相談もなしに決めたらしい。
ワールドカップを見るためにBSアンテナを購入した人は多いと聞くが、自転車を買った人は聞いたことがない。きっと、日本中探してもJ氏一人ではないだろうか。
午前0時から始まる試合はもちろん、早朝4時から始まる試合も見に行ったと言うから、形容する言葉が次に出てこないのが、正直な感想である。まったくこの人のやることは、常軌を逸しているとしか思えない。
早く終わってくれないと、飼育だけでも忙しいはずだから、きっと身が持たないだろう。ご愁傷さまだ!

 ああ〜、さすがに二ヶ月ぶりに書くと、いろいろな出来事があってスペースが全然足りない。これまで、西日本馬鹿情報は関西地区が中心だったが、最近は中国、九州地区がとても熱くなっているので、そのことについても触れたかったのだが、間に合わなくなった。
九州地区を熱くさせている張本人は、クワガタ掲示板にも時折出て来られる福岡の某Hの鉄人氏だが、この話題については来月たっぷりご紹介したいと思う。ご期待いただきたい!!
ではみなさん、クワガタシーズン真っ盛り! 思い残すことのないように!!


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