カブト馬鹿奮闘記/採卵と幼虫飼育

亀有カブト



梅雨真っ盛りでうっとうしい日が続いております。 まだ涼しけりゃいいのですが、暑い日ときたら...虫しか喜びませんわ。

先月号はやらなくてもいいかもしれない繁殖の促進をご紹介したが、 実は今月号もそこまでしなくてもいい内容であり、カブトをそんな に増やす必要のない人は読まなくてもいいかも?といった内容です。申し訳ない。


先月号からの流れで、交尾したメスカブトはまもなく産卵を始める。 だから、ちょっと大きめな容器にマットをそこそこ入れてやるとケースの底の方に産卵する。
野外より採取したメスカブトの場合は先ず間違いなく交尾しているので、 先月号のようなことは出来れば控えてあげてそのまま飼育してあげよう。 同様に産卵するはずだ。

こんな風にとっても簡単!ほんと結構いい加減でもカブトは勝手に産みまくるので 神経を使わなくて楽だ。全くずぼら向きな虫である。
ただ、あまりずぼらをやりすぎると、思ったより卵、幼虫が採れないし、 場合によっては産まないと言う状況にもなってしまう。
どうしてもたくさん増やしたい怖い物知らずな方の為に私の行っている次の方法をご紹介しよう。


上記にも述べたが、カブトはケースの底の方に産卵する。
産卵方法はあちこちにばらまかれるように卵が発見できることから、メスは移動 しながら適当に産んでいるように思われる。
私は、ある程度産んだと思われたらケースを横にしてそっと底からマットを剥がす ように取り出し、マットの固まりをやさしく手で崩しながら1卵ずつ採卵している。
マットを崩す際、産みたての卵なら、メスが卵を産む時に作った空間が観察できる。
採卵が終わったら取り出したマットを半分ほど入れてやや堅く詰め込み、残りの 半分はそのままどさっと入れて、メスも入れて続きの産卵をさせる。
しばらく経って又卵を産んだ頃に再度採卵する。
これを何度か繰り返し行って産まなくなるかメスがお亡くなりになるまでやり続けるのだ。


なぜこんな事をするのかとお考えの方もいらっしゃることだろう。
これにはちゃんと理由があるのだ。
先ず、カブトはあまりお利口さんでないことを頭に置いてもらおう。虫だから当然だが。
お利口さんでないやつが、移動しながら適当に産卵し続け、ケースの底を1周したら いったいどうなるだろうか?

答は簡単。2週目に入ったメスは卵も幼虫もお構いなしに削岩機のごとく足でひっかき 殺しながら突き進み続ける。
実際は、何度もマットの上に出て来ては潜るを繰り返しているので、卵や幼虫をつぶす 確率はもっと高くなるはずである。
つぶす前に取り出して避難させなきゃあまり卵や幼虫の数が採れないのは当然なのだ。
ケースに幼虫の姿がちらほらと見え始めたのになぜか居なくなってしまったと言う経験を お持ちの方も多いだろう。

また、増やそうと思って何匹かのメスを入れておくと実は卵をつぶす確率が更に 高くなる。たとえば、メスが1列になって産卵していったと仮定しよう。 どうなるかは目に見えている。ばかばかしくって考えたくもない。

メスがそれぞれ好き勝手に産みまくったらどうだろうか?
それも分かり切ったことだ。みんなで卵をつぶしまくるに違いない。
当然あまり増えない。


以上のことからカブトの場合、卵の状態で取り出す事が増やす為の秘訣なのである。


さて、採卵した卵の処理だが、私は次のようにまたまた大活躍のワンカップ瓶に マットを軽く詰め、焼き鳥の竹串などで瓶に沿って縦穴を作りそこに卵を入れる。
こうすると羽化の様子がばっちり見られるし、卵の殻も食わずにどこかに行ってしまうと いうのがよく観察できる。後はこのままほったらかしで手間いらずだ。
幼虫はたいてい羽化したらしばらく中に潜ってお目にかかれないので、 ほじくり返さない限り観察も出来ない。しかし、2齢になってしばらくすると サイズも大きくなる為、瓶の底とかで発見できる。


取り出した卵


こうやって穴を空ける


穴に卵を入れると、よく見える!




ある程度大きくなるまでワンカップで充分だが、餌交換が面倒だから 次は大きめのやつに入れよう。
我が家では過去に紹介したペットボトルで飼育をしているが、 面倒な人は大きめな容器にみんなぶち込んでまとめて飼育する事をお勧めする。
数は減るが確かに楽だ。


今回のことで予想以上に増やしてしまう人が今年は大発生するはずだから言っておく。
大変だから数頭残して後はまとめて飼育した方がいいですよ!







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