顎髭の重複を伴う奇形ミヤマクワガタを採集、飼育しているので報告する。
採集したときは単に舌がはみ出ているだけかと思っていた。(Figure1)
詳しく観察したところ、本来顎髭は左右1本ずつであるのだが(Figure2a)、この個体は左の顎髭が根本から分岐して2本でていた(Figure2b、赤矢印)のである。単に欠損、矮小化ならばその器官の分化・成長の過程で何らかの傷害が生じた、あるいは後天的に欠損したと言うことが考えられる。しかし、このケースではほぼ完全な顎髭が付加的に形成されていたことからその奇形原因は欠損奇形とは全く異なる可能性があって興味深い。
吻部の構造の変化をまとめると以下のようになる。
・頭盾左側欠損
・これに伴い舌が背側にのびたままで収納できなくなっている。
・舌の量が多くなったように見えるが正常の舌の量がわからないので不明。
・左顎髭重複
・口唇髭は1対(正常)
(Figure1)
(Figure2a)
(Figure2b)
先月号の本誌にてGo2氏により内歯を欠損する奇形ミヤマクワガタの報告がなされた。累代飼育では自然界に存在しない歯型はでたり、奇形が多い。また、天然個体でも他のクワガタ虫に比べて奇形が多いようだ。
今後も採集個体は注意して観察してゆきたい
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