新成虫における複眼の混濁

by えりー


先日ほぼ同時に羽化した2匹のDorcus antaeus (Laos)♀を見ているときに変なことに気づいた。良く見ると片方の♀は普通の目の色(透き通った黒)であるのに対して、もう片方の♀は少し白く濁っている。はじめてみるantaeusであったため「なるほど外国産にはそういうこともあるのか」と思ってしばらく前に羽化していた♂をみてみたり他のクワガタ虫をみてみると・・・黒い。どれもこれも黒い。この濁った目(cloudy eyes)は奇形の一種か?それとも病気か?
訳がわからなかったのであるが、とりあえずデジカメに収めクワ馬鹿に投稿することで諸兄の意見を仰ぎたいと思う。一体これはどういうことなのだろうか?

Figure1 左:正常な複眼、右:cloudy eyes

FIgure 2 ”濁った目”の個体を横から見た像
(注)解像度が悪いと色が綺麗にみえないことがあります。

なにも参考にするものがないなか、K-sugano氏から「クワガタ虫は死亡すると目の色が変わるものと変わらないものがある。これはなにか関係がないだろうか?」と示唆をいただいた。私はまさかそんなこととは関係がないだろうと思っていたが、その後1週間でこの♀は突然死亡した。口部、触覚、付節などに白い菌糸がはびこっていた。複眼の混濁は神経系が羽化後すでに壊死していたためなのかもしれない。
そして実は羽化間もない個体であるが、この個体の余命が残り僅かであることのサインだったのかもしれない。クワガタ虫が死亡するときに必ず目の色が変わるかどうかはまだ不明である。今後複眼の混濁と寿命の関係を追跡してみたいと思う。


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