西表島軟弱採集記1996

k-sugano


以下は1996年8月5日から8月9日まで南西諸島(石垣島・西表島)へ家族旅行したときの記録である。
メモは取ってないのでうろ覚えであるから、いっぱい間違いがあると思うがご容赦くださいm(_ _)m
8月5日
関西国際空港11:00発、石垣空港13:30着の日本トランスオーシャン航空B737に搭乗する。
下の娘(佐和子:当時小4)は物心ついてから初めて飛行機に載るのではしゃいでいたが、2時間半ものフライトで退屈したのか空港で買ったマンガを読み終えると眠ってしまった。

台風一過の好天に恵まれ、B737は順調に飛行を続ける。奄美大島、宮古島など上空から見る風景はいつも美しい。
機は定刻に石垣空港にタッチダウンした。本土の主要空港から比べると長閑な飛行場である。空港ビルがまた南国情緒一杯というかなんというか・・・素敵である(^^;;

手荷物を受け取ってタクシーに乗る。今夜は石垣島で一泊。タクシーは海老茶色のブルーバードで料金が異常に安い!たしか初乗り運賃が300円代だった。 タクシーの運転手さんに宿泊場所のホテルミヤヒラを告げ、蝶の情報を尋ねるが八重山を台風が直撃した直後だけに蝶影は少ないようである。がっかり。
10分もかからないでホテルに着いた。さっそくチェックインをすませ部屋に荷物を置く。娘達(加奈子:当時中1&佐和子)はホテルのプールへとさっそく急ぐのであった。水遊びさえできればウォーターギャルズはご機嫌である。
ガキどもが遊んでいる間にプールサイドのデッキチェアに転がってシークワサーのジュースを飲む。このあと、シークワサーは八重山滞在中オニのように飲んだ。
転がったままホテルにあった八重山新聞と琉球タイムスを読む。流石に本土の新聞とはネタが違うのだ。石垣島にある唯一のパイナップル缶詰工場が閉鎖になるらしく、今回のような台風のあとはパイナップルの実が一斉に熟するので、閉鎖になって加工する場所がなくなれば捨てるより道はない。一体どーしたものか。とか、宮古島の沿岸でサメに襲われたと思われる女性の死体が発見されたが手がかりは水着だけなので身元が依然不明であるとか。。。。

水遊びにも飽きたようなので、観光&虫さがしにいくことにする。
タクシーを呼んで、バンナ岳を告げると、運転手さんは川平湾を見てくれなきゃというので、見に行くことにする。
名蔵湾沿いの道を走るが、右側に続くサトウキビは台風の影響で軒並み倒れている。左の海側にはマングローブの幼木が生えてたりする。
川平湾は噂通りに奇麗であった。うちのウォーターギャルズはまた水遊びを始める。


川平湾

水遊びを切り上げ、バンナ岳へ向かう。
名蔵側から林道に入る。時々蝶影が見えるが数は少ない。エメラルドの海の見える展望台に寄る。もう結構遅い時間だがなかなか日が落ちない。展望台から石垣市内へ下る途中で秋にマルバネクワガタの採れる松林に立ち寄る。当然時期はずれの今はいない。松林の中には避暑のためかカバマダラが少なからずいた。約3時間タクシーに乗っていたが6000円くらいだったか?安い!





(画像:http://iriomote.com/index.htm)
8月6日
石垣港から安栄丸という高速艇に乗って西表島へ渡る。
西表島の海の玄関は船浦港である。30分ほどで船浦港へ着いた。港には旅館やペンションの送迎バスなどが来ている。私たちの宿泊するのは船浦港のやや北にある上原集落の「ペンションわいるどふぁー夢 」というところで、有名なロビンソン小屋のすぐ傍である。送迎バスににのって場所を告げるとそこでおろしてくれる。乗ったのは別の旅館のバスのようだったが流石に八重山の人は親切でおおらかである。

八重山で観光&昆虫採集するにはレンタカーをチャーターするのが必須である。西表島では「やまねこレンタカー」が有名であるが、わいるどふぁー夢内に夏の間駐在している兄ちゃんがやってるレンタカーを3日間借りた。車種はシャレード5ドアだった。エンジンの吹き上がりは良いが、さてエアコンは効くのか!?早速試運転がてら白浜林道へと向かう。 突然オオゴマダラが道路に飛び出た!優雅で大きい蝶である!さっそくトランクからネットを出すが、組み立てる前に悠々と飛び去った。

白浜林道へ行く途中、浦内で小休止。「スーパー採集ガイド(1)八重山編」(蝶研出版)によるとタイワンキマダラのポイントらしい。そんな珍品系より、とにかく普通種でよいから南国の蝶を採らねば!幹線道路から脇道に入る。民家の植え込みにリュウキュウアサギマダラがいた。この後、この蝶はいやになるほど見るが、まあそれはあとの話。ちょうど取り易い位置に止まったのでその前にいた娘に「おーい!採れっ!」と叫ぶ。佐和子が慎重にネットを振るが初体験の蝶なので緊張したのか取り逃がす。「バッカモーン!!」と家族全員から非難を受ける。それで涙ぐんでるのが次の写真だ。

後ろの民家に注目!情緒たっぷり。

その直後、ミカドアゲハを見る。これはめでたくネットインしたがボロであった。
ここにも海岸があって海の家風の店があった。おやじはさっそくビールを飲む。ビールはもちろんオリオン・ビール。内地で飲むこのビールはさほどでもないが、なぜか八重山では美味であった。

浦内のTシャツやらなんやら売ってる店の花に多数の蝶が来ていた。リュウキュウアサギマダラやカバマダラなど。
嫁さんが迷蝶のツマムラサキマダラをネットイン!よっしゃよっしゃ。
そんなこんなでふらふら寄り道をしていると、実家が神戸の東京の大学生に話しかけられた。

学生:「クワガタはとれますか?」
k−s:「いやー、蝶を採ってるんですわ(^^;; クワガタはどーですか?」
学生:「そこのアカメガシワでこれがいました」
と、毒ビンを見せる。中くらいの大きさのサキシマヒラタが数頭。
k−s:「ほうほう、足場のいいとこで、お気軽採集できるとこはないですかい?・・・(実はハブが恐い)」
学生:「船浦の先の琉球大の亜熱帯研究所に夜行けば、明かりに誘われて落ちてますよ。場所は・・・・(略)・・」
よし。夜に行ってみることにしよう。

白浜林道は台風の直撃の後だけに、倒木やらなんやらで奥まで行ける雰囲気ではない。colliasの類を少々採った。
その後、星砂の海岸などで遊んでペンションへ戻った。

8月6日夜
食事を終えて昼間学生に教えてもらったところへ行くことにする。
西表は島の周回道路に夜間照明がほとんどなく車のヘッドライトだけが頼りである。そのかわり満天の星が素晴らしい!

琉球大の施設は流石に国立大学だけあって費用の心配が無いのか夜間照明が煌煌としている。
前庭の芝を照らす照明にはカナブンの類が沢山来ている。目が慣れてきた頃ノコギリクワガタを発見!が、チビである。
建物の裏側に廻ると、室内の明かりに誘われたカナブンが網戸にビッシリ!!少々気持ちの悪い光景であった。
懐中電灯で暗がりを探すとサキシマヒラタのメスがポツポツ落ちている。おっ!♂もいた!65mm位だ。

(本日の最終結果:クワガタ関係 サキシマヒラタ1♂4♀♀ ヤエヤマノコ1♂ )



8月7日
今日は午前中にピナイ川をカヌーでのぼって滝を見に行くことにした。これらの手配はすべてロビンソン小屋の兄ちゃんがやってくれる。当日我々のほかに家族連れと女子大生の2グループがいた。カヌーを漕ぐのは初めてだが、川に入るまでは潮の関係か膝下までの深さなので安心安心。ところがカヌーはなかなか進まない。他のグループは大人だけで2人乗りだが、こっちはガキがいるので4人のりのブタカヌーである。やおら3艘のカヌーはレースの趣を呈してきた!下は、負けじと頑張るおやじの苦労も知らず、能天気なポーズをとってる馬鹿娘の写真である、



川を上って(勝負はどうだったかって?勿論勝利にきまってるでしょ(^^)v)カヌーを木にもやい、ジャングルを歩いていくが滝までは結構な上りなのでさっそく佐和子がぶーぶーいいだす。ったくもうー(- -)
そこで途中にあったきれいな川辺で遊ぶことにした。と、そのとき頭上に怪しげな影!!!
ふっと気づくとなにもいない。よく見るとコノハチョウであった。はねを閉じると完全に木の葉である。驚かしても飛び立たない。飛ぶとかえって目立つのをしっているのかな?

しばらく遊んだ後、カヌーを返して今度は仲間川林道方面へいくことにする。高那のあたりだろうか林の中を道路が走るあたりでオオゴマダラの完品を採った。



蝶が見えると車を止めを繰り返しながら進んでいると、突然「由布島」という看板が見えた。そしてまた突然家内が「寄ってみよう!(^^)」と言い出す。「えーっ!こんなとこ寄ってたら仲間川に行けなくなるよー」と言い出せるはずもなく、車は左折するのであった。

由布島へは牛で渡る。乗車券いや乗牛券を購入する。しばらく待っていると「雪ちゃん」だったか?そんな名前の水牛が戻ってきて、それが引っ張る牛車に乗る。運転手?いや牛使いのおじさんは蛇味線弾いて民謡を唄うのだが客の都会者は照れて唄わないのだこれがまた。

雪ちゃん

こういうときこそ馬鹿娘達の出番である。さっそくウオーターギャルは民謡ギャルズに変身して、牛使いのおじさんに合わせて唄い出す。他の人もそれにあわせる。
由布島は普段はハイビスカスの花が咲いてそれはそれは美しいとのことだが、台風のあとで花は1輪もなく。変な鳥が歩いてたりするだけでたいしたことはなかった。しばらくぶらぶらして帰りの牛車の出発を待つ。

ホントは歩いても渡れるくらい浅い。

またぞろ雪ちゃん号に乗り込み由布島をあとにする。が、なんと!海を農家のおばちゃん風のひとがじゃぶじゃぶ歩いて渡っているではないか!・・まあ、いいか。

てなことで、仲間川林道へは行けずじまいであった。

8月7日夜
この夜も琉球大のポイントと船浦から上原方面へいく途中にあるガソリンスタンドの夜間照明でクワガタを探した。結果はサキシマヒラタ3♂♂5♀♀、ノコ1♂である。ナナホシキンカメムシもメインターゲットだがこの年はこの時期少なく、後で聞くと石垣島では豊作だったとのこと。とりあえず7頭拾う。

8月8日

この日は浦内川を遊覧船でのぼってミカドアゲハのオニ採りの予定であったが、同じペンションに宿泊していた神戸から来てた家族(典型的な八重山リピーターで年に延べ30日ほど滞在しているらしい)と仲良くなって、一緒にシュノーケリングに行くことになった。これもまたロビンソン小屋の兄ちゃんが手配してくれる。

白浜まで車で行き、そこで船に乗る。サンゴのきれいなところまで行って潜るわけだ。さっそく民謡ギャルズはウオーターギャルズに戻って泳ぐ泳ぐ。深さは30mはあると思うがそんなことお構いなしで海から上がらない。恐くないのか怖さを感じる脳の部分が壊れているのか。

3個所ほどで4時間ほど遊び、最後に船で川を溯る。両岸のマングローブの林の樹冠をミカドアゲハとイシガキチョウが乱舞する。さっそくリュックからネットを取り出しボートの上のデッキで網を振る。イシガキチョウ2頭GET!
船からチョウを採ったのは私くらいなものか?

8月8日夜
ペンションの庭に特大のヤシガニが現れた!さっそくロビンソン小屋の兄ちゃんが現れる!うーんスーパーマンだね!
ヤシガニは乾電池を切るほどハサミが強力で、与えた板を挟んだすきに紐でぐるぐる巻きにされてしまった。体長30cmはゆうにある。このあたりでもまれに見る大物らしい。

この夜もまたまた琉球大のポイントとガソリンスタンドの夜間照明でクワガタを探した。結果はサキシマヒラタ2♂♂4♀♀である。
2♂♂ は琉球大のところの道路の側溝で死んでいる個体である。

8月9日

最終日である。午前9時に車を返すまでにチョウを採りに行く。ベニモンアゲハが初めて採れた。あとはいつものリュウキュウアサギマダラとスジグロカバマダラである。例の高那のポイントではオオゴマダラがオニ採れである。家内や馬鹿娘たちがあっというまに完品を10頭以上採った。朝は採りやすい。

ゼフ竿伸ばして頑張るおとうさん

午前10時頃の船で石垣島に渡り、石垣空港から関西空港へとまた長いフライトがあって、疲れ果てて神戸に帰った。


こういう感じで1996年夏・西表島家族旅行は終わったのである。小さい子供や「妻」と呼ばれる人種を帯同する際は、「へび!へび!」とわめくので、クワガタ採集は軟弱なものとなってしまった。あー、ついでに言っとくと、滞在中にハブは一頭も見なかった。イリオモテヤマネコらしき猫は、クワガタ夜間拾いで何度も見た。
後日談
西表島で採集した蝶とクワガタ♂はすべて現地で殺して持ち帰り、佐和子の夏休みの課題の標本になったのは勿論である。そしてまた、毎度のことながら神戸市立森林植物園に展示された。
クワガタ♀は生かしたまま持ち帰りさっそく産卵を始めた。いま我が家に巣食うサキシマヒラタはその子孫である。