美しい死体処理方法入門(3) 美顔パック 

k−sugano

前回、バラバラになった標本の復元法を載せるって書いてしまったが、作業過程を写真に取るのが面倒なのでなかなか原稿が書けない。(^^;; そこで、それはまた先延ばし(日本の落ち目の企業はみなこれだ)ってことにして、今回は「美顔パック」である。

クワガタムシには、ネブトクワガタやDorcus属の♀や小型♂個体など、鞘翅に溝があるものが結構ある。このような種では溝の中に泥が溜まりやすい。美しい標本を作るためにはこの溝に詰まったゴミを取らなければならない。また、種に関わらず、前胸や鞘翅にケンカ傷の凹などがあると、ここにも泥がこびりついていることがある。

このような時に威力を発揮するのが「美顔パック」である。美顔パックといっても相手は死んだ虫である。ホンモンの何千円もする化粧品を使うわけではない。そのような本物の美顔パックなど使おうものなら、只でさえ顰蹙をかっているのに、恐い「妻な人」に何を言われるかわからない。そこで虫屋は「木工ボンド」を使うのであった!

 図−1

Fig−1が今回の材料である。あーライヒの小型だな。

 図−2

爪楊枝の先に木工ボンドを着けて、汚れている部分にべたべた塗る。

 図−3

時間の経過と共に木工ボンドが乾いてきて透明になってきた。だいたい図−3くらいになればOKである。

 図−4

先の鋭いピンセットで、端のほうからボンドの被覆を丁寧にはがしていく。

 図−5

 図−6

 図−7

 図−8

図−8が全部むいたところである。

 図−9

全体の汚れが酷い場合はこのように大胆にボンドを着ける場合もある。


 図−10

パックをはいだところ。汚れがとれているのがわかるよね。(^^)

 図−11

ほら!ピッカピカになった(^^)


<注意>

1)鞘翅に毛の生えている種(ミヤマなど)にこのボンドパックをすると、体毛もパックと一緒にはがれてしまう!
  そのような種の汚れは、濡らした筆で取るなどすること。


2)ボンドを着けて余りに長い間放置すると、ボンドをはがすとき鞘翅自体がはがれることがある。
  ボンドを塗ったらこまめにチェックすること。