我が家のムシ部屋


by大石



はじめに

編集長より「ムシ部屋チェック」への投稿依頼メールをいただいたものの、実は我が家にムシ部屋は存在しない。
理由は簡単、嫁が屋内への持ち込みを一切認めないからである。
読者の皆さんも、多かれ少なかれ文句を言われながらの日々を過ごされていることと思うが、その点我が家は単刀直入・明朗会計、
「とにかく家の中で飼っちゃダメ!」の一言で片づけられてしまっている。
このレポートが、同じような境遇の方(さすがにここまでの人はいないと思うが)の参考にでもなれば幸いである。


1.涙・涙の屋外温室

私はクワガタの累代飼育を始めて、約1年の初心者である。
それでも、里子オオクワや各種ヒラタを初めDC・DAなど飼育ケースは20ケース以上に及び、菌糸瓶等も40本以上を保有するに至った。
この2月にはオオクワ2世が20頭程孵化し、現在も4ペアが産卵中である。
ムシ部屋を持たない私がどうやって飼育しているかというと、屋外に温室を設置しこの冬を乗り切ったのである。飼育当初は、
何とか玄関の下駄箱の下のスペースを確保できていたのだが、コバエの発生がバレた昨年10月末に屋外退去となってしまった。
これから益々寒くなっていくという季節に家を放り出されてしまった私たちは、温室に活路を見い出し、仕事から帰った夜中に寒空の下で
対面するという一冬を過ごしたのであった。





2.秘密の飼育スペース

ここで賢明な読者はお気づきかと思うが、すべてを温室に入れるということは一頭も冬眠させないということになってしまう。
まして里子をもらったりしていると、写真のサイズの温室に全てを収納することは不可能になってきた。
しかし、私は知っていた。下駄箱の最上段が使われていなかったことを。



そんな訳で、ご覧のように飼育ケースの一部と瓶(ケースの背面にある)を内緒で持ち込んでしまった。とはいえ、様子を見たり餌をやったり
するのは、家族が寝静まった夜中しかできないことには変わりなかった。
ところが、そんな平穏な(安易なともいう)日々は長続きしないものである。ある日息子(2才半)と留守番をしていた時、
つい気を許して秘密の飼育スペースを見せてしまったばかりに、こともあろうか嫁の前で下駄箱を指差して「オークワタ!」と
のたまってくれたのである。

このレポートを読んでいただいているころには、1頭残らず屋外退去となっているであろうことは、容易に想像できる。
秘密の飼育スペースはわずか約半年の命であった。(半年もよくばれなかったという事実には、未だ筆者は気付いていないようである。)



3.夢のようなムシ部屋

私は、いずれは実家(車でかっ飛ばして40分くらい)にムシ部屋をつくるつもりでいた。とはいえ餌をやりに行くのにも面倒な距離であり、
どちらかというと乗り気ではなかった。
ところが全面屋外退去命令が発令されてしまい、無視すると本当にバルサンでも買いに行きそうな状況であったため、そう悠長なことも言って
おれなくなった。
ところが、追いつめられると起死回生の作戦がひらめくものである。
今までは、嫁の実家=嫁の勢力範囲と解釈し考えもしなかったのだが、あくまでも命令は「我が家からの屋外全面退去」でしかない。
手土産付で交渉の結果、「屋外倉庫であれば使っても良い。」との許しが出た。
嫁も想像の範囲を超えていたらしく静観の構えであり、気が変らないうちに一部引越しを済ませてしまった。中を整理すれば、立派なムシ部屋
として使えそうだ。ウヒヒヒ...
あと、我が家の屋根裏に隠してある飼育材も持ち込もう。




おわりに

実はこの話には続きがあって、嫁はいずれこの部屋(小屋)に私のパソコンも送り込もう考えているようである。確かに電源もあるし。(回線が無い!と言っている場合ではない)
今は息子の部屋を間借りしているのだが、小学校に入るまでに私は追い出されるらしい。トホホ...

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