カブト馬鹿奮闘記

ワンカップ人工蛹室のすすめ

亀有カブト


 この記事が載る頃は、連休明けのはずだから、読者の方々も頭の中がすっかり休みボケでどうも今ひとつエンジンがかからないと言うことになっているに違いない。そんなときにこの「クワ馬鹿」の「カブト馬鹿」を読んでいるあなた!知りませんよ!

 先月お伝えした「ペットボトルの活用」の通り、我が家のカブト達のほとんどは縦置きペットボトルに1ペアずつ移され、すっかり落ち着き、比較的いじくり回した(と言っても手でいじったというわけではない)やつと、糞を食わせたやつらはさっそく蛹室を作り始めた。きちんと1ペア入っていたり、比較的管理されているボトルはいいが、またずぼらやって何匹か分からないが、とりあえずまとめてぶち込んだやつらのボトルはやはりちょっと問題が起こった。

 ちゃっかりボトルの四隅を確保した幼虫達はいい。出遅れた幼虫は蛹室作るスペースどころか居場所も無くとても困っていたので、(だと思う。たぶん)ワンカップ瓶にマットと一緒に入れてあげたりした。こうすると、幼虫はちゃんと蛹室は作れるし、確実にどこかは見えるので、観察には最高である。カブト、クワガタの変態は(と書いて誤解しないで欲しいものだが)蛹化、羽化が最も見応えがあり、最高のショーである。特に蛹化は、実にまざまざと生命の神秘さを見せつけられるようなもので、こいつを見逃す手はない。ガキ共には是非観察してもらいたいものだ。

 さて、今回のカブト馬鹿は、上記のワンカップを用いた方法より更に観察向きである、ワンカップ人工蛹室の作成について紹介する事にしよう。先ず、酒屋さんに行って、お酒を買ってくる。このときの注意点は、ワンカップであることを確認することで、間違っても一升瓶や真空パックなやつは買ってはいけない。又、ワンカップは、大関の日付の新しいやつがいろいろな意味でベストである。このほかの注意点としてはは、ガラス瓶であることを確認する。たまにガラスじゃないのがある。

 次に、不要な中身を取り除き、ラベルをはがす。この不要な中身、私はいつもナイター野球をテレビ観戦しながら自分の胃袋に捨てることにしているが、そういったことが体質や趣味、嗜好の違いなどの理由で出来ない方は、面倒だが、誰かからもらうか、どっかから恥を忍んで拾ってくるしかない。拾ったやつは、蓋がない場合がないのであまり勧められない。ラベルは、しばらく洗剤を入れた水につけておくと金ダワシで簡単にはがれる。

これが無くては始まらない。ワンカップ瓶。

結構でかいオスでも、ワンカップ瓶はちょっと蛹室には大きすぎる。ティッシュペーパーを適当に詰めて調整をする。

詰め方でその人の感性がわかる?ティッシュペーパーを適当に詰めたがこれだけでは表面がなめらかでないし、何となく壁が弱そうである。仕上げにキッチンペーパーを使ってみた。

こうやってたたんで、と。娘が手伝ってくれようとするのだが、邪魔だ。

コンパクトにたたんだキッチンペーパーを詰め込む。ここである程度、入れる幼虫のサイズに合わせて空間を決める。あんまり厳密でなくても何とかなるからここではラフに行く。

いい感じ?仕上げに中を少々湿らせて形を整える。あまり湿らさなくても大丈夫。ペンとか使って蛹室側、反対側を押さえるとやりやすい。あんまり気にしなくても平気。
要は、羽化して、羽とか固まるまで崩れなきゃ良いのだ。で、出来上がりはこんな感じ。

 

隙間があっても全然平気。

我が家のペットボトルカブト達は、だいぶ前にみんなすっかり前蛹になったので、その中で特に過密ボトルを分解し、そっと前蛹を取り出した。そこで人工蛹室にぶち込んでおいたらあっという間に蛹になり、羽化した。そりゃそうだ。完全な前蛹をぶち込んだから蛹化はすぐである。
未だ前蛹というより幼虫っぽいやつは、人工蛹室の中で暴れてティッシュをズタボロにするので入れちゃいけない。ほっといてもいずれ落ち着いて蛹化するが、醜い、いや、見にくいし、なによりせっかく綺麗に作った人工蛹室をぶち壊されたのでは腹が立つ。前蛹になったかな?と思ってから色が少々汚く(黒っぽく)なったら時期である。でも、あんまりぎりぎりもまずいと思いますが...
それから、幼虫入れてからも、焼き鳥なんかの竹串使えば簡単に調整が可能。私は今回、たまたま耳掃除の棒を使ってみた。上記の写真はペンを使っているように見えるがこれは撮影上の都合(やらせ)こうなった。耳掃除棒は、先の曲がり方といい、長さといい、非常に使いよかった。もちろん妻には一生内緒である。

 

残念ながら、前蛹は居なくなってしまった。

蛹化不全も救出すればこの通り無事羽化する。角曲がりカブトの一丁上がり。

さて、どうでしょう?はっきり言って見えすぎです。ワンカップ人工蛹室!
うちではテレビの上とかに置いて有り、丁度羽化している時に、長男の家庭訪問があってしっかり先生(男性)にも観察されてしまった。先生、何しに来たんだ。
そろそろ皆様のお宅のカブちゃんも蛹室作ってませんか?もし作っていたら酒屋に急げ!!





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