採集記(4)

タカ  taka@kuwa.club.or.jp


プロローグ


1998.03.14、PM10時過ぎ、H氏から電話が入った。

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今日3/14は、お隣の掲示板「タウン掲示板」の家主さんであるタウンさんが大阪に転勤するため、送別会と言うことで、嵐山にバーベキューに行った。
何故嵐山かというのは、この採集記を読んでいる人なら思い当たることはあるだろう。
もちろん、バーベキューついでにかの虫研に行ってみようと言うことである。
幸いこれから出かけようと言う吉田氏と会うことが出来、記念写真まで撮らせていただいてしまった。
バーベキュー場となった、月川荘と言うキャンプ場(虫研のフェアがあることで有名?)では、ギンガマンの撮影があるなどのおまけもあり、なかなか楽しい一日であった。
更に、参加費用3,000円と言うバーベキューにも関わらず、大物ヒラタ1齢幼虫3匹や、別の大物ヒラタ♀成虫+♂3齢幼虫、オオクワ♀40mm、本土ヒラタ♀38mmなどももらってしまい、ホンットにラッキイな一日であった。
ショップに行ったとしたら、3,000円ではヒラタ♀が買えるかどうかなのではないだろうか?
ただ、ここのところ睡眠時間4〜5時間と言う日が続いており、体力的には結構きつかったかもしれない。
明日は日曜日なので、久しぶりにゆっくり寝てようと思いながら帰宅したのであった。

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電話の内容は、当然「韮崎に行こう!」と言うことである。
先日車をぶつけられ、現在代車と言うこともあり、体力的に限界が近いと言うこともあって、ちょっと躊躇した。
もう、2〜3日前に連絡をもらっていたら、クワ道の幼虫さんに連絡して、車を出してもらって同乗させてもらう手もあったのだが、さすがに前日の夜10時過ぎでは誘いにくい。
第一、今日も明日もクワガタオフでは家族に言い訳も立たない。
妻の人の顔色をうかがうと、
  「行ってもいいよ。」
  「お、おぉぉ!
なんと優しい良い妻の人だろう(^^)
ん〜、良い奥さんをもらったものだ(^^)/
第一、恐らくこの採集会は、広島に転勤のH氏の送別採集会の最終回になるであろうから、こうなるともう決まったような物である。
  「了解しました。談合坂8時集合ですね」
σ(^^;の返事は当然のごとくこうなっていた。

と言うことで、いよいよH氏と最後の韮崎採集会。
メンバーはH氏と、いつものM氏、あいあん氏、そしてσ(^^;。
σ(^^;も体力的には本当にきつかったのだが、あいあん氏は前日の睡眠時間2時間で、しかも、バーベキューは幹事。
更に、バーベキューの日の帰宅時間は午後11時過ぎと言うのだから、もっと凄い。
M氏だって、14日から当直で、仕事が終わるのが採集当日。
そのまま、電車に乗って午後12:30甲府駅到着という強者だ。
声掛けとなったH氏にしたって、金曜日までは泊まりがけで研修だったそうなので、本当にとんでもないクワ馬鹿達である。

この月刊誌のタイトルである「クワ馬鹿」と言う言葉に付いて、いろいろと問題が発生しているようだが、本当に「クワ馬鹿」であるのだ。(しかも強力な!
まぁ、H氏の転勤まで時間がなかったと言うこともあるが、この愛すべきクワ馬鹿達、こんな素敵な友人を持てたことに本当に感謝している。
σ(^^;は「クワ馬鹿」と言う言葉に誇りが持てるような気がするがどうであろうか...



午前の部


AM7:20待ち合わせ場所の談合坂に到着。
待ち合わせは8時なのでまだかなり余裕がある。
今日は朝食を食べてこなかったので、ここで朝食にする。
とりあえずホットドッグなどを買い、一口食べると...
ありゃ? H氏発見。
  「どうもぉ!」
  「あ、どうもどうも、あいあんさんも車でまってますよ」
なんと、既に全員集合してしまった。
なんだか、H氏と行った最初の韮崎朽ち木割を思い出す。
あの時は、二人とも双葉インターまでの所要時間が分からず、1時間前には合流してしまったっけ。
最後の採集会と最初の採集会で似たような感じになるなんて、なんとなく...

談合坂の建物の外に出ると、ぽつぽつと雨が...
確か天気予報では今日は晴れると行っていたはずだが...
まぁ、大丈夫だろうと言うことで、出発。韮崎に向かう。
しかぁ〜し、高速を降りると、そこは土砂降りであった(^^;ドッヒェ〜!
  「弱りましたねぇ、どうしましょうか?」
とは言ってもどうにもなるもんではない。
  「とりあえず、ポイント探しでもしましょう」
と言うことで、スタートする。

幸い、最初のポイントに着いた時には雨もほとんどあがっていた。
このポイントは、ほぼ町中で、林なんてほとんどない。
ただ、切り株は豊富にあり、朽ち木割には最適かもしれない。
  「一応やってみましょうか?」
と言うことで、σ(^^;とH氏は朽ち木割スタート。
しかし、あいあん氏は睡眠不足と花粉症のため、車の中で就寝。
ま、さすがのあいあん氏も鉄人ではないので仕方ないか。

実はこのポイントは、前回最後に発見したポイントである。
前回ここでは、ノコギリらしき幼虫のたこ採れをした。
が、今回は出てこない。
こうなると、σ(^^;の気力はとぎれ、うろうろと散歩に入ってしまう。

割り出した3齢幼虫
熱心に斧をふるうH氏を横目で眺めながら次のポイント探しをした。
最初のポイントから200mくらい離れたところであろうか。
やはり、切り株が沢山あり、そばには20本くらいの林があるポイントがあった。
ここと最初のポイントは元々は同じ林だったかもしれない。
しばらくすると、カワラタケの生えた倒木を発見。
一部割られているが、もしかするとH氏かもしれない。
気にせず斧をおろすと、
  「お、幼虫ゲット!」
例によって、何の幼虫だか分からないが、どうもコクワの3令らしい。
更に似たような幼虫を次々にゲットし、1令から3令までかれこれ8匹ほどゲットしたところで終了。
次のポイントに移ることにした。
ちなみに、あいあん氏はここでもダウン。
一度も車から出てこない。(^^;

M氏との待ち合わせ時間の関係もあり、あまり遠くへは行けないため、H氏と最初に来た時にE氏に教えてもらったポイントに移動することにする。
車に乗り込み、ポイントEを目指すが....無い!
どこだか分からなくなって、道に迷う。
まぁ、そうは言っても所詮は韮崎である。
何処にでもクヌギ林はいっぱいある。
  「その辺の林に入って、適当な朽ち木を探してもいいんじゃないかなぁ」
とか思い、H氏に伝えようとした頃H氏の車が停車。
どうやらH氏も同じ思いであったようである。
見ると林もけっこう行けそうな感じ。
今度はあいあん氏も車から降りてきた。
(もっとも、林を見てみただけで「たこ採れくん」は使うことがなかったが...)
ここには何本か切り株とかもあり、オオクワもいそうではあったが、あまり具合は良くなく、結局一匹も採れる前に時間となってしまった。



午後の部


M氏を迎えに行くため、甲府駅に向かう。
結構ぎりぎりの時間であったが、何とか電車が到着する前に甲府駅に到着。
無事合流を果たした。
いよいよ本命のポイントに向かうことにする。
目指すは、12/27にワイルド♂オオクワをゲットしたポイントである。
途中、車を一台にするために停まり、H氏の車に乗り込もうとしていると、H氏が車のトランクから何やらプラケを取り出している。
  「なにかな?」
とか思っていると、
  「タカさん、これ差し上げますよ」
見ると、前回ゲットしたワイルドオオクワ♂である。
  「私はもう一匹ワイルド♂持っていますから」
と言うことで、なんと、ワイルドオオクワをもらってしまった。(^^)/
今回は、H氏の送別オフである。
本来なら我々から何か記念品でも贈るべきはずなのに、逆にとんでもない物を戴いてしまった、σ(^^;っていったい...(^^;;;;

ちなみに、これはプレゼントというわけではないのだが、M氏もかのポイントで採れた幼虫が羽化したと言うことで持ってきてくれて、見せてくれた。
大きさは64mmくらいであろうか。
決して大きくはないかもしれないが、小歯が上を向き、なかなかかっこいいオオクワであった。
ん〜、こうなると燃えるぜ!
と言うことで、ポイントMに向かう。

カワラ朽ち木を割るあいあん氏とそれを眺めるM氏
んが、ポイントMは例の山登りポイントである。
若いM氏とH氏は平気で登ってゆくが、太っ腹(外見が)なσ(^^;とあいあん氏はふぅふぅ言いながら、やや遅れながら何とか付いてゆく。
σ(^^;はMポイントに到着する前に燃え尽きてしまった。(^^;;;
山登りの途中、σ(^^;の体力が尽きかけているのを見て取ったH氏は、σ(^^;の休憩をかねて近くの朽ち木を割り出した。
カワラがガンガンに生えている立ち枯れであったが、どうも幼虫はいないらしい。
やはり、山の中の木はクワガタ達もあまり寄りつかないようである。

ただ、この道の途中、ちょっと休憩していると突然、
  「バサバサバサ!」
目の前の木から鳥が飛び立った。
  「ん? 鷹かぁ?」
一瞬そう思った私であったが、どうやらフクロウだったらしい。
木の烏鷺に隠れていたようである。
後ろ姿とは言え、初めてワイルドのフクロウを見た。
さすが、山の中である。

ニクウスバがびっしり付いた台場の立ち枯れ
で、そうこうしているウチにポイントに付いたが、σ(^^;は5〜6本くらいは削って見たと思うが、その辺でダウン。
後は、H氏、M氏、あいあん氏に託した。
σ(^^;はその辺を散歩し、美人木でもないかと探した。
右の木はニクウスバがびっしりと付いた台場の立ち枯れである。
このポイントには、まだまだこのような手を付けていない立ち枯れが沢山あった。

あいあん氏は午前中の休憩が効いたか、ポイントに行く山登りではふうふう言っていたが、ポイントに付いてからはガンガン削り、コクワの成虫を割り出していた。
また、幼虫に関しては20gオーバーの太い奴を10匹以上割り出しており、唯一たこ採れしていた。
H氏、M氏も何匹かづつは割り出していたようだが、あまり、これという幼虫はいなかったようである。

(あいあん氏の割り出した20gオーバーの幼虫は、...カブトの幼虫である(^^;)



エピローグ


この頃天気はすっかり回復し、暖かい日差しなども差し込んでいたのであるが、何しろ風は冷たく、朽ち木割に汗を流しているはずのメンバーの体さえ冷え込んできてしまい、ついに最後の採集オフもこれで終了となった。
もちろん、残る我々はこれからも採集には来るであろうが、広島へ転勤のH氏は、しばらくはなかなか韮崎に来るチャンスはないと思われる。
この一年間で二桁に迫ろうと言う回数、H氏と韮崎採集オフを行ってきた。
残念ながら素人の我々にはトータルでオオクワ♂1匹ゲットしただけ(その前にH氏は1♂割り出しているが)であったが、とても充実して楽しい一年間であった。
H氏においては是非これからは広島方面で活躍して欲しいと思う。
いや、言うまでもなく、H氏のことであるので活躍してくれるだろう。
いつかここで、広島採集オフの採集記をお伝えすることもできるかもしれない。





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