マット裏情報
桑山虫太郎

4月になり選抜高校野球も終わり、いよいよクワガタシーズン到来!『春は選抜から!』ならぬ、『春はクワ馬鹿から!』と改めてもらいたい気がする今日この頃だ。今月は菌糸瓶の話からはじめよう。

ヒラタケ菌が菌糸瓶の主流となってから幼虫の死亡率も下がり、菌糸瓶を愛用する人も増えてきたようだ。すなわちマーケットが広がったわけで、そのため業者の菌糸瓶の改良には著しいものがある。値段も徐々に下がり、良質の菌糸瓶(ppボトル)が@650円位から入手可能である。@1000円以上の菌糸ppボトルは不当に高いと思って良い。
ガラス菌糸瓶はやはりガラス瓶の値段だけ高額だが、有名なHビンも@1500円が10本でまとめて買うと@1200円だか@1300円だかになるようだ。近日@1000円以下でヒラタケベースのガラス菌糸瓶が出るとの情報もあり、われわれ消費者にとって良い時代となってきた。

これだけ菌糸瓶飼育が一般的になると、自分で作ってみたいと考える人が出てくるのは当然である。
筆者宅にも先進的な飼育愛好者の手製のボトルが届いた。「しめじ」「ひらたけ」「かわらたけ」の3種である。時期が時期だけに適当な幼虫が手元になく、幼虫の孵化を待っている状態である。
また、今年の「月刊むし」クワガタ特集号には別の研究家の手による自家製菌糸瓶の作製の記事が掲載されるかもしれないという噂もある。この研究家の手による菌糸瓶は、既にいくつかが愛好家の手に渡りテストされているようだが、筆者の聞いた限りでは、残念ながら現在市販されているクワ業界の菌糸瓶には遠く及ばない内容らしい。しかしながら製造法を公開するという点では画期的である。
これからは優良な業者の菌糸瓶を使って巨大個体を育てる楽しみと、それには及ばないまでも自作菌糸瓶を改良していく、いわば従来の独自マット作製に似た楽しみとの二つの楽しみが菌糸瓶にはあるのではないだろうか。
オーディオの世界では真空管アンプの自作がハイエンドユーザーの間で大人気らしいが、クワガタの世界もハイエンド(大馬鹿者)飼育家の世界では似たようなことになるのだろうか。

次はマットウラ情報初の、海外採集旅行の噂だ。

すでに採集記もある(?)と思うが、某Hファミリーはパパの仕事のついでに家族での東南アジア採集旅行をおこなった。
ここのママは控えめに言っても、ちょいと変わった奥さんだが、パパが現地で仕事の打ち合せをしている間、T君と一所懸命採集やイキムシの買い付けに奔走していたらしい。
現地のブリーダー兼昆虫展示館の主から、本当はいけないことらしいが、いくつかイキムシを譲ってもらったそうだ。国内裏業界の(日本では法律では輸入禁止です・・(^^;)価格では5万円相当のものが1万円くらいだったとの噂もある。で、現地での価格だと、日本で大人気のDorcusよりなにより、オウゴンオニクワガタがずば抜けて価格の高い虫だそうだ。筆者もオウゴンオニの標本(勿論死んでいる標本)は所持しているが、なにやら生きているオウゴンオニはマットに潜るなどして湿気を帯びた状態では、ぜーんぜん「黄金」ではなくて黒っぽい虫だそうだ。ところが乾燥すると、あら不思議!あっという間に「黄金」に変わる。いったいどんな外殻の構造になっているのだろう?そのうちカルロスE氏が研究するのを待つか・・

さてこの一家はカブトムシも大好きで、めでたくコーカサスカブトのメスをGETしたとのこと。とある深夜、この家族の泊まっている部屋からギャーッ!という大声。パパの声である。びっくりしたママが飛び起きると、なんとコーカサスのメスが眠っているパパの脚の上を歩きまわっていたとのことだ。ちゃんと容器の蓋は閉めておくように!海外へ行っても大馬鹿者は大馬鹿者である。
ところで、このママの言によると採集販売商はメスを手に乗せただけで、既に産卵したメスか、これから産卵するメスかが重さで判るらしい。プロな人はたいしたものだ。

採集記にもあるが、たいした目的もなしに、ただただ超大量飼育を続けている某J氏と、あらゆる昆虫の飼育をひたすらおこなっている某S氏は、能勢にオオクワ採集に出かけ、ワイルドオオクワをゲットしたそうだ。二人とも『能勢詣で』は数年ぶりらしく、新しい道路が開通し、道路事情がよくなったことを知らずに出かけたため、危うく道を間違えるところだったらしい。
何しろ、持参している道路地図が10年前のものだったそうなので、それも仕方あるまいが、パソコンを買い換えるように地図も最新版に買い換えてもらいたい。10年前では80286の世界だ!

賛否両論あれど、朽ち木割採集の楽しさは宝探し的要素があって楽しいものだが、J氏はそれに飽きたらず削った朽ち木破片をひたすら拾いまくっていたらしい。
聞くところによると、破片を砕いてミキサーにかけマットを作るそうだが、土地の所有者があらわれたにも関わらず、平気で朽ち木破片を小脇に抱え喜々として山を降りてくるJ氏には、後ろめたさという感情がないのだろうか?
きっとこの人が歩いた後にはペンペン草も生えないであろう!
おまけに、拾い残した木があるのでまた取ってこようと考えていたらしいが、子供が風邪を引きやむなく中止したとのこと。天罰が下ったのだろう!当たり前だ!!

それにしてもいったいいくらマットを作れば気が済むと言うのだろう。噂では、すでに飼育業者から400リットル以上マットを購入していると聞いている。ゼリー2000個といい、いったいこの人を止める手段はあるのであろうか。私はクワガタの生態よりこの人を調べてみたい興味にかられる。まちがいなく希少種であると思うが、決して所持したくない。所持するとしても即酢エチ入りのタッパーにいれて標本にしてしまいたいものだ。

ところでこの季節、最も忙しいのは、紛れもないS氏であろう。
S氏はクワガタのみならず蝶の飼育も行っている筋金入りの飼育人なのであるが、この季節は一気に蝶々が孵化し、羽化へと移行するので、日々その世話に忙殺されているはずだ。にも関わらず、ご承知のようにクワガタ掲示板に登場する回数やメールを出す数は膨大なものだ!いったい、いつそのような時間がとれるのかと不思議に思う人が大勢いると思うが、誰もが予想している通り、それらは全て勤務時間中に処理される。そして、余った時間は体力温存のため寝ているらしい。しかも堂々と!それでも、業務に支障をきたさないのは、切れ者S氏の人並外れた能力もさることながら、有能な部下のおかげだ。しかし、それに気づかない(ふりをしているとも言う)のは、やはり桁外れの大馬鹿者としか言いようがない。部下が気の毒だ!!
そういえば、スマトラぼうやは最近元気にしているのだろうか?(元気にしていると陰の声)

話は変わるが、さる3月30日に近畿支部ミニオフミが梅田で開催された。
このオフミに都合が悪く出席出来なくなった、札付きの馬鹿者である某G氏と前述のJ氏は、こともあろうに近畿支部御用達のクワガタショップ『B』の店長をそそのかし、無理矢理オフミを画策して4月1日に強行実施したらしい。
集合場所である某JR大阪駅(どこが某か、さっぱりわからない!)には、30日のオフミにも参加された福井県在住の某E氏も駆けつけたらしいが、G氏、J氏とともに、公衆の面前にもかかわらず、幼虫、成虫は言うに及ばず、飼育材料まで交換する始末で、その怪しい雰囲気に周囲の人は見て見ぬ振りをしていたと聞いている。

採集についてはG氏があまりにも有名であるが、最近E氏はそれに勝るとも劣らぬ活躍ぶりだそうだ。大切な学会出張を翌日に控えているにもかかわらず、朝から採集に出かけていたと言うから半端ではない。テリトリーである地元の河川敷は言うに及ばず、残雪の山中にまで、自力でラッセルしながら突入したという.....まさに、人は見かけによらないものだ。
昨年夏はわずか数頭を飼育していただけなのに、いまではノコギリ、コクワ、ヒラタ、オオクワなど、300頭近く飼っているのではないかとの噂である。

このE氏の採集報告に刺激されたのか、G氏は奥さんがほんの数ヶ月で出産の身重であるにもかかわらず、採集ツアーなるものを計画中と聞いた。おそらく実行に移すことだろうと思うが、ここまで来ると、単なる大馬鹿者として片づけて良いかどうか疑問に感じる。まさに家庭破壊者と言ってもおかしくない。

現にG氏同様、奥さんが身重なる理由で、このオフミに参加しようとして直前で断念した人もいる。先月号にも登場した自転車で飼育材料を購入しに行く某M本氏がそうだ。M本氏は、ついこの前にも飼育ケース24個と産卵木等を『B』より入手したというエージングのかかった大馬鹿者であるが、奥さんを思い、オフミと言えども参加を断念したことに人間性と「愛」を感じるのは私だけだろうか。

それに比べてG氏の行動はいかがなものかと思っていた。が、しかし、大事なことを忘れてた。G氏は採集の神であった。そう、人間ではないのだ!『触らぬ神に祟りなし』だが、この神は非常に人間くさいので、やはり問題だ!

何だか混乱してきたので話題をもとに戻すが、4月1日のオフミは、元々E氏と店長の個人的な親交から企画されたもので、それにG氏とJ氏がのっかり、ふたりの追加参加で恐れをなした店長が、友人の某N森氏に助けを求め、二人で乗り込んで来る予定だったそうだ。
ところが、仕事の都合で店長達は集合時間より相当遅れることになったらしい。
待ちくたびれたE、G、Jの3人は一足先に居酒屋に入って飲みはじめ、E氏の緻密な採集記録や、G氏の豪快かつ、ちょっと怪しいクワ話に花が咲いたが、ラストオーダー間際になっても店長とN森氏が来ないので、心配したG氏が電話で連絡を取ったところ、何と信じられないことに、同名の系列店で2人で飲んでいたそうだ!!!
「連絡のつけようがなかったし、おかしいなと思いながらも、仕方がないのでそのまま飲んでいました」という...
しかも、「電話をもらって、初めて別の店があるのに気づきました。とりあえず、お店の人に地図を書いてもらったので、こうやって、ようやくたどり着けました!」とのこと。久しぶりにタイムリーなNULL話を聞くことができて、ほんとにうれしい限りだ。

聞くところによると、一同はその後近くの喫茶店に立ち寄り閉店まで粘ったらしいが、さすがにそこも追い出されるほど夜は更けてしまったので、仕方なく解散したものの、G氏とJ氏はN森氏の車で自宅まで送ってもらうという、これ以上ない厚かましい行為を『どうも、すみませんね。へへ!!』と言う一言で、平然とやってのけたそうだ。
酒を飲まない上、見るからに温厚で落ち着いた人という、N森氏の弱みにつけ込んだ計画的犯行であることに間違いないと思うが、後から聞いたところによると、喫茶店代を全額支払ったのもN森氏だったと言う。
開いた口がふさがらないのであるが、実はN森氏もそうとうのクワ馬鹿なのである。その実態は、今後徐々に明かされてゆくので、今回はパスしよう!

以上、いつもながら話題に事欠かない近畿支部だが、いよいよシーズン到来なので、さらなる展開を期待したいものだ。
ではみなさん、くれぐれもゼリーは切らさないように!

追伸
この原稿を書いている間にも、S氏はJ氏に舶来品の注文を代理でするように、メールを送りつけてきたらしい。この期に及んで!!!蝶で忙しいはずなのに・・・(T_T)
J氏の泣いている姿が目に浮かぶが、S氏の割り込み優先順位は、キーボードやマウスより上位に位置しているので、すべてをストップせざるを得ない。まことに、S氏の部下の方々の苦労を思うと胸が痛む!


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