オキナワマルバネクワガタの飼育(2)

k−sugano

ちょいと間が空いたが、オキナワマルバネクワガタの飼育Part2である。(前回は97年12月号に掲載)
第2回目は産卵のまとめと亜終令について記す。

 

(前回までのあらすじ)

10月4日、オキナワビートルズさんが大変苦労して採集したオキナワマルバネクワガタペアが到着した。24−25度に設定した温室で飼育開始。
大プラケースに現地のシイフレークとオオクワガタ食べ残しマットを半分づつ入れた。オスメスとも昆虫ゼリーを良く食べた。オスは常時餌にへばりついている。メスはマットに潜っていることが多い。交尾は確認しなかった。10月末にオスは死亡した。

11月7日、1回目の卵探しをした。ケース上部のフレーク部分のみを探したところ、1幼虫と3卵を確認した。
卵はフレークの中にバラバラと産む訳ではなく、直径2〜3cmほどの固まりとなったフレークの中に空間を作り、その中に産んでいた。
回収した幼虫の頭部は3mm程度だった。

12月6日、第2回目の卵回収を行った。5卵が見つかった。



第3回目の回収(12月7日)

今回は、ケースの底の固まった部分もすべて分解した。この時はケース底部からは初令幼虫と卵が続々と出てきた。
数は初令幼虫19頭に卵8個である。
幼虫は卵のあった空間を食べながら広げているようである。産卵された空間から移動したような形跡はみられない。
回収後、残ったフレークをプラケース大から小へ移し替え、その中へ♀を放した。

 

第4回目の回収(1月3日)

第4回目の回収結果は幼虫1頭、卵8個であった。残念ながら♀はバラバラとなって死亡していた。
このとき、孵化直後の幼虫がいたことから、前回12月17日の回収直後に産んだとすると、卵期間は2週間ということになる。(気温24度:温室)

この結果、回収状況は以下のようになる。
  幼虫
探した場所
備  考
11月7日
マット上部のみ  
12月6日
  同上  
12月17日
19
27
マット底部も含めた全体 幼虫・卵回収後♀とマットを小ケースへ移す
1月3日
  同上  
合計
21
25
46
   

4回に分けて回収した幼虫と卵は、約半数をシイフレークとオオクワガタ食べ残しマットを混ぜて詰めた小プラケース2個に入れた。
プラケース2個は混合割合を変えてみた。プラケースAは両者の混合割合を半々とし、プラケースBは食べ残しマットを7割と多めに入れた。
また、残る半分の幼虫と卵はプリンカップ小で一頭ごとの飼育にした。



亜終令

3月10日、温室に入れたままの幼虫と卵のその後を調べた。
プラケースをひっくり返すと亜終令(2令)となった幼虫が転がり出てきた。

亜終令幼虫はケースにほぼ均等な間隔で住みわけているようである。

 

 

亜終令幼虫の頭は薄いオレンジで幅は6mm強。体色が薄い白で腹部が大きいことを除けば、コクワガタの小型オス終令幼虫のサイズと思えば良い。

 

初令のものは1頭だけで、あとはすべて亜終令となっていた。

 脱皮直後の幼虫

糞は一個所にまとめる習性があるようだ。

黒い顆粒状のものが糞

さて、プラケースで飼育した個体は減少もなく順調であったが、プリンカップで個別飼育したグループは数が半減していた。
やや乾燥が進んでいたこととが理由だと考えられる。

またプラケースAでの飼育個体とプラケースBでの飼育個体の成長差は、明らかにBグループ(オオクワガタ食べ残しマットの割合が多い)のほうが大きく育っていた。このことから、人工飼育で餌として食べ残しマットを使用した場合、自然状態では3年とも4年ともいわれているマルバネクワガタの幼虫期間が短縮できる可能性がある。

さて、以上で第2回目の飼育経過報告を終わるが、前回もちょっと触れたマルバネ飼育のベテランで奈良にお住まいのしゃあげんさんが、このたびホームページを開設され、ヤエヤママルバネの飼育について触れられているので一度ホームページを訪れてみてはいかがだろうか。



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