マット裏情報

桑山虫太郎

 

3月になり、寒さも峠を越したようで一安心だ。啓蟄も過ぎ、そろそろクワガタ狂の大馬鹿者もぞろぞろと動き出すころではなかろうか!

まずは東日本の今月の動きから始めよう。

関東にウルトラスーパーなクワ馬鹿おじいさんH氏があらわれた。
なんとこの方は70才を軽く超えたお歳の方だが、英語がペラペラで飛行機のライセンスもお持ちだそうである。このようなスーパーな方が何を思ったのかマット製作に乗り出した。ところで、H氏はお歳を召されているので体力勝負の原木の樹皮剥きや粉砕作業はつらいものがある。そこで、みなさんおなじみの某A.C氏と某He氏がこの作業の助っ人に駆けつけた。某He氏は産卵出産間近の奥さんをほったらかしにしてまで駆けつけたとのことで、見事クワ馬鹿の面目を施した。筆者もこのマットの恵与を受けたが、とても素晴らしい品質で樹皮など一切混入していない。ホダギの良い部分だけを使って作ったマットである。今後の展開を注視したい。それからHe氏であるがその後めでたくパパになったようだ。

3月号原稿締め切り間近に飛び込んできたニュースだが、クワガタ4大掲示版のひとつのオーナーの某T○wn氏が大阪に転勤となったようだ。某Ho○hiも広島へ転勤されるそうで、某T氏の大阪から東京への転勤といい、春の人事異動はクワ馬鹿たちにも多大の影響を与えている。だが、日本中にクワ馬鹿仲間はいるので、彼らと共にそれぞれの赴任先でなお一層のクワガタ道楽をして頂きたい。

出張で全国各地を飛び回り、各地で接待を受けているクワ界の巡察使某亀氏の情報では、クワガタとオートレースで有名な某G県のある町は、やはりクワ馬鹿指数の異常に高いところであったそうだ。通常の小麦粉添加のマット飼育で、平均71mmクラスのオオクワガタをバンバン作り出す人もいるそうでこのあたりのノウハウは今後この怪しげな月刊誌で順次公開して頂きたいものである。なお、PCを持っていない人も多いので、PCを買わせるのが先であるな。

次は中部地方の情報である。

中部地方では菌糸瓶の自作を始めた方が現れた。この方は非常に人脈の広い方で、化学者やらキノコ業者やら製薬メーカーやらに友人知己が多く、昆虫学者とも懇意な方である。この方は市販の商品を科学分析し、無害な食品添加物だけ使った菌糸瓶の作製を始めている。この菌糸瓶は販売目的ではなく、あくまでも趣味と研究用に作るようだがその製作数たるや尋常なものでなく1000本を軽くこえるとのこと。こちらも今後の展開に要注目である。

ここでいきなり海外からの情報である。

BBSでもクワガタプレゼントをした香港在住の日本人ビジネスマン某O氏だが、このたび大量のコレクションを整理処分することになったらしい。
この人からは既にこの怪しげな雑誌の愛読者多数がプレゼントを受領したようだが、非常に美しくパッキングされているそうで、種名こそないものの、産地と採集年月がきちんとタイプされたラベルがくっついているとのことだ。「大図鑑」を眺めながら種の同定をするのも、また楽しからずやである。
それでこの整理処分するコレクションだが、大枚を投じて収集したものだけにタダというわけにもいくまい。ひじょうに安価で譲るとのことなので、興味のある方は連絡してみてはいかがだろう。連絡先は こちらまでどうぞ。

最後は恒例の西日本馬鹿情報である

噂によると、某J氏はシーズンに備えゼリーを1500個注文したそうだ。最初はあるルートから600個仕入れ、その後別のルートから900個仕入れたと聞いている。これで昨年からの在庫300個を合わせると、トータル1800個にもなる。この数を多いと見るかどうかは主観の問題だが、半端な数ではないと思う。やはり馬鹿者に間違いないようだ。しかも、この期に及んでまだ400個ほど購入する予定らしい。
この人には、できるだけ関わり合いにならないようにするのが、唯一の対処法だと言える。

外国産飼育数では有数の神戸在住の某S氏は、今シーズンから菌糸瓶飼育を本格的に始めたらしいが、大量に菌糸瓶を購入しすぎたため、入れる幼虫がいなくなり、あわてて幼虫を仕入れに走ったそうだ。
ところが、菌糸瓶と幼虫の購入先が同じだったため、購入先から「計画性のない人だ!」と言われたとか言われなかったとか......... 十分あり得る話である!

菌糸瓶飼育では先達で東京転勤となる某T氏は、知る人ぞ知る京都在住クワガタ飼育家、某H氏特製菌糸瓶を愛用しているが、H氏に会って話をするのが目的で、直接勤務中出向くそうだ。
ところが、H氏は訪問者を待たせることで有名らしく、約束の時間より30分以上待つことはザラらしい。
聞くところによると、T氏は人を待ったり待たせたりするのが嫌いらしいが、それにも係わらず30分以上平気で待つことができるほどH氏は魅力的な人物らしい。
しかも、東京転勤が決まったことをH氏に話すと、「最後だから」と言って部屋まで入れてくれたそうで、T氏は感激にむせび泣いたと言う噂だ。 まさに、松竹新喜劇で演じられるような話だと思う。

採集の神として有名な某G氏は、2月にとうとう朽ち木割り採集に出かけたらしい。
そして、なにやらオオクワらしい幼虫をゲットしたにもかかわらず、人にあげてしまったという信じられない話が、このひとの周りにつきまとう。 まさしく伝説の人だ。
と思いきや、自宅でインターネットが使えないようになってからは、とあるクワガタショップに毎週のように通い詰め、お店の店長をさしおいて奥の席でふんぞり返り、電話での応対や持ち込まれたクワガタの鑑定をしているとのもっぱらの噂! 以外と人間くさいところもある神のようだ。

G氏が通い詰めているお店は、関西在住の大馬鹿者には有名なところで、あらゆる人がお世話になっているが、某Hファミリーは家族でタクシーをチャーターして乗り付けると聞いた。彼らはどこへ行くにも家族単位で、素敵な家族であるにちがいないが、欲を言えばリ瓶グの暖房温度をもう少し下げてほしい。そうでないと、成虫が冬眠できなくて気の毒である。省エネルギー月間が過ぎたとはいえ、限りある資源を大切に!

Hファミリーとは異なり、あらゆる材料で発酵マットを見事に作成する技術を持った某M本氏は、お店まで自転車で行くそうだ! 地理的に近いとは言え、省エネを実践するところにこの人の律儀さを感じるが、単にその方が行きやすいだけの安直な理由かもしれない。きっとそうだと思う。しかし、購入した大量のマット類を自転車の荷台にのせて疾走するところを見てみたいと思うのは、私だけではあるまい。

飼育マットを大量に購入すると、持って帰るのは自転車でも大変だと思うが、わざわざ両手に持ち、電車とバスを乗り継いで持って帰ると言う、信じられない人もいる。発酵マット研究家の某〇〇山氏がそうだ!
確かに、空いている電車やバスなら可能のように思われるが、何と800万大都市のターミナル駅を経由しているのだから、開いた口がふさがらない。側にいても、決して気がつかないふりをして通り過ぎたいと思う。
この人に怖いものはない! あるとしたら、嫌気性の腐敗菌ぐらいなものだろう。

そうそう、今思い出したのだが、昨年から本格的にクワガタ飼育に乗り出した某F本氏は、大馬鹿者の原稿を書くために、デジカメを購入したらしい。しかし、大蔵大臣の決裁を通す時の理由は、きっと別であったと思われる。クワガタ地獄にはまって行く見本を見るようで、懐かしくかつ気の毒に感じるが、むろん止める気はまったくない。
このように、クワガタ狂信者の動静を書きつづっていると、ほんとにきりがないというか、よくこれだけ活動していると、他人ごととは言え感心するばかりだ。 最初にも申し上げたが、啓蟄を過ぎたばかりで、まだまだ寒い季節であることに変わりはないはずなのに!

以上、書き足らないことだらけで、消化不良に終わってしまったが、もっと書くと収拾がつかなくなると思われるので、今回はこの辺で失礼したいと思う。 ではみなさん、春に向けてくれぐれも準備は怠りなきように

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