「怪説・世界のクワガタ」 第4回 ヒラタクワガタ (3)

A.CHIBA




fig5

 fig5は Dorcus tityus ティティウスヒラタクワガタを三産地並べてみた。左は北インド Darjeeling産70o。大腮は真っ直ぐに伸びて先端ほど細くなり、上翅は多少赤みを帯びるものが多い。70oはほぼ最大型で超えるものは少ない。

 真ん中は北タイランド Doi Inthanon産。ここのものは大腮の内歯が大型になると先端に近づいていく。やはり上翅が赤みを帯びる個体が多い。載せた写真は中型で最大はやはり70o近くなると思われる。

 一番右は中華人民共和国四川省産だが、見たことがある標本はこの個体だけである。大腮の内歯は先端に有りヨツバヒラタクワガタに似たカタチをしていて、上翅は真っ黒で艶がない。中国産のティティウスヒラタは近年になり何ヶ所からか入って来ている様だが、まだ多くは見た事がなくサイズも良く知らない。産地によって差があるとも言われており興味が持たれる。


fig6

 fig6は Dorcus taurus 左の2頭はJava産の ssp.gypaetus、このクワガタはスマトラから、ボルネオ、パラワン、ルソンと近くの島々に分布していて、4亜種に分けられている。大腮の内側にブラシ状の毛が生えている。一番右はボルネオ産のssp.taurus この産地の個体は大腮が細く長くなり、体も細身。サイズはどの産地も最大で60oを少し超えるぐらいである。
「参考文献」
         世界のクワガタムシ大図鑑
            月刊むし No. 316 June 1997




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