思い出しつつの後付け日記 1990〜 (4)

coelacanth



日記、1990と始めてしまったのは失敗だった。なんせ次の年もその次 も続いてしまったのだから。しょうがないからこっそり「〜」をタイトルに付け足 しておこう。というわけで今回は既に1991年始めの部分だ。例によって他の人 の部分は要約して掲載する。


1/11/91

(coelacanth)

 1月

1月は4、5日に一泊二日で山梨に採集に行ったのだが、結局大した収穫はなかっ た。
武川村から日の春、三の蔵、宮久保、敷島町一帯とさんざん探したが、とにかく手 のつけてない木はほとんどなく、やっぱり切り株の根などから中小のを計10程、 大がようやく1匹という成果だった。大は体重を計ったところ5.8g。これは今 までで最大なのだが本に出ているオオクワの14gなんかには遠く及ばない。こい つはルーペでよく見たら鼻毛は2本なので、ミヤマでないことは確か。その他の特 徴を見るとノコギリあたりかなって感じだがやっぱりよくわからん。ひょっとした らオオクワかもしれないけど。

でかい奴ら3匹は慣れるまでと思って、玄関ではなくて自室に置いてある。あまり 寒くないのでよく動き回っている。木をかじって穴を掘っているところばかりでな く、大アゴの下の本当の口のところで木をむしゃむしゃ食べているところも観察で きた。温度計を買い込み、玄関のラックのところにつけているが、朝は7、8℃、 昼以降で14℃といったところだ。寒くても意外によく動く個体もいれば全然動か ないのもいる。

みやざきさんとこのカミキリはどうしているだろう?

 coelacanth

1/16/91 (みやざき)さんから、むちゃくちゃ忙しくてここをさぼってたが、カミキリが元気 、等の報告。カブトやハナムグリアパートがカビだらけで心配とか。

1/21/91

(coelacanth)

カミキリが害虫なのは、生木をかじって傷つけるからですね。クワガタは腐った木 を食べて大きくなり、成虫も樹液を吸うだけですからね。益虫でも害虫でもないと いうのはなんとなくいいなぁ。でもそれだけにあんまり文献もないんだよね。

カミキリはやっぱり木屑を固めて飼っているんでしょ?

ところで、こないだ(15日)に弟が伊豆の八幡野ってとこへダイビングに行くっ てんでついでだから一緒に行って、そこらの木を崩してきました。もともとエサ不 足解消のために(こないだ山梨で採ってくりゃよかったのに、採集に夢中で忘れた )行ったので期待はしてなかったけど、まぁそこそこの幼虫がいた。けど、よくて ノコギリ、多分これもコクワだと思う。4匹ほどでかいのだけ捕獲。あと、メスの 成虫(コクワ)でなかなかでかいのが1匹。

あのへんはクヌギは少ないけど、サクラの立ち枯れが多く、誰も手をつけた形跡も ない。3、4mのすごくいい木があったのだが上の方の崩れたとこに太い食痕も見 えたけどどうしても届かなくて断念。今度いったら梯子で登ってでも崩したいなぁ 。

結局採集したのはそばのクヌギ倒木。きれいな腐り方だったのでたくさんチップを とった。で、最近、友人に不要になったコーヒーミルをもらっていたのだけど、こ れが抜群!木のチップが程よくおいしそうな粉にあっというまになってくれて最高 。

最近は幼虫の体重を計るようにしてんだけど、山梨の最大のが5.8g、今回の伊 豆のは最大のが4gだ。

 coelacanth

1/22/91 (みやざき)さん、やっとヒマができてカビたところをとりかえようとしたら、買っ たクヌギ袋の中がカビだらけ(今思うと菌糸だったのかも!)!カミキリは元気だ がカブトはもう動かない。

1/23/91

(coelacanth)

うちのクワガタも10月頃採った幼虫の中には元気にビッグサンダーマウンテンを 作ってた奴がいましたが、それも寒くなるとほとんど活動停止してます。しかしそ のお陰かこのビンの中なんかは全くカビていません。やはり本当は幼虫は新しい環 境にきたら元気に動きまわってまず防カビ処置なんかをするもんなのだろうと想像 します。で、環境入れ換えたときはしばらく暖かい部屋に置くようにしてます。

それでもカビは本当に深刻な悩みで、幼虫に無害で防カビになるものはないもんか と思います。意外と砂糖なんかは甘いお菓子がカビない原理で。。。とか考えてい るんですが、どうでしょね?専門家(?)はクワガタを大きくするために小麦粉な んかを混ぜるそうですが、砂糖だって大丈夫そうな。。。しかし半端に砂糖水につ けるくらいだとかえって絶好の培地になってしまうかな?専門家もカビには結構悩 まされているらしいのですが、ちょっと生えたからといって死ぬというもんでもな いらしいので、少々のはほっとくしかないみたいですね。うちも買ってきたクヌギ 粉に少しカビがついてたりして、「ゲゲ」って感じしました。腐った木にカビが生 える(ましてやそれに悩まされる)なんて、以前は考えてもみませんでしたねぇ。 伊豆で採ったチップは乾燥気味のままとってあり、カビが大量発生した場合には崩 して使うつもりです。全くの自然状態ではそれほどカビが発生しないのは神秘です ねぇ。粉にするからやっぱりダメなんですかね?今回の木は全然有害な肉食昆虫が いないようだったので、結構でかい塊をそのまま使い、回りを粉で詰めたりしまし た。

カブトはうちでもおとなしいです。死んではないようだけど。どれもこれも、10 ℃以下になるとほとんど活動を停止するようですね。あと、何週間に1つかくらい はどうしても真っ黒になってしにます(クワガタ)、カブトは全部健在。

 coelacanth

1/23/91

(W.Mouse)さん、自然界で朽ち木にカビがはえないのは椎茸菌麹菌等善玉のお陰で 云々。それはそうとcoelacanthやみやざきさんのやっている事は自然破壊ではない か?という事で今後ちょっとだけ良く考えて欲しいとのこと。

1/24/91

(coelacanth)

確かにいろんな専門書でも「朽ち木崩しは生育環境を破壊するからほどほどに」等 の記述は多く、私もそういう意識なしにしているわけではありません。しかし、必 要以上であるとか、自然破壊であるとまでは全く思っていません。もともとクワガ タ・カブトの類は人間が作ったかなり人工的な自然によって数が増えたことはよく 知られており、「何をもって自然と見なすか」という時点でそもそも評価がわかれ ます。私の実感としてはあの狭い山梨の絶好の繁殖地に3つもゴルフ場が作られた のがもっともすごい自然破壊で、次が住宅その他用になんであれ雑木林を伐採して いるものでしょう。伊豆では完全に人工的であるところの「ホダ木」の古くなった ものの集積からほとんど採集したわけだし、それらはまだ手のつけられない程沢山 残されています。基本的には「木を崩す採集」とはケタの違う林そのものの破壊は 影響があると考えます。ご指摘のような採集に際して死んだ幼虫などを取り上げる ことについては非常に疑問です。人間が採らなくても肉食昆虫からキツツキ、カビ などで死ぬ個体は極めて多く、採集によってこれらを保護できると考えることはそ れほど不自然ではありません。もっともここで「キツツキのエサを減らした」等も 考えられますが、実際にはその繁殖地たるクヌギ林そのものが人工の産物だったり するから事態は複雑です。野山の草木1本抜くことも自然破壊だという立場なら仕 方ありませんが(私はそう考えていません)、私はこうしてより深い自然というも のに思いを巡らせているわけで、無駄にしているわけではありません。いずれは採 集はやめて、養殖のみに専念しようと思っているのですが今は様々な経験も必要で す。

山梨の地は有名になったおかげで本当に手のついてない木がないくらいの状態です が、おそらく生の木の一部腐ったようなところにもかなり生息していると思われま す。生木の破壊はしたくないのでそういうものには手をつけていません。

標本集めとか、金儲けのためにしていることではなく、実際に飼育することによっ て自然木にカビがはえるのはえないのまで考えが及んだりしたことを見ても、これ は自然に親しみ研究しているのであって破壊しているのではないと言いきることが できます。

 coelacanth

1/24/91

(W.Mouse)さん、まぁそうかもしれないが、田舎の”山あらし”のような被害の例 や破壊の例がある。まぁcoelacanthやみやざきさんがそうだというわけでもないが ちょっと聞いてほいて欲しいとの事。

1/29/91

(みやざき)さんからかなりの長演説で、自然破壊や自然保護、教育といった事につ いてのレス。内容は大体coelacanthが日頃主張している事と似たような事。

1/29/91

(W.Mouse)さん、これ以上話を脱線させるつもりではなかったのでまた別の機会に しましょうとの事。話に水を差したようで申し訳ない。いつも子供の頃を思い出せ る話なので楽しみにしている、との事。サナギの頃は死亡率が高いから気を付けよ うとのアドバイス。

1/31/91

(coelacanth)

前蛹の時期には死亡率が高いので、動かしたり覗いたりしない方がいいというのは いろんな本にでてますね。特に専門書では、その時期は内部がぐちゃぐちゃになる ので動かすと当然まずいだろうとの推測がありました。できたての蛹なんかも動か すとまずいだろうと思います。羽化直前もそうか。といっても全く動かせないわけ でもなさそうで、移動したり、蛹室が壊れたのでティッシュペーパーで代用のを作 った話なんかもあります。

ところで死亡に関しては、たいへんに残念なことに、山梨産の小さ目のが2匹も死 んでしまいました。どうも最近大胆になってて油断したのですが入れ物があんまり 小さいと思って大きいのに5、6匹入れ換えたのです。で、しばらく暖かい部屋に おいといたら元気にもぐっていったので2、3日でもう大丈夫だろうと思って玄関 の方に移動したらしばらくして死んでしまいました。どうも容器内につめた木の質 が悪かったのではないかと思います。悪い菌が体内に入ったらしく頭の方から黒く なって死にました。冬の環境入れ替えは本当に要注意です。暖かくてもダメなとき はダメかもしれないけど活動がさかんな分まだよさそうに思えます。

あと、黒くはならないけどほとんどいつ見ても全く動かないのがいてこれは完全に 冬眠状態なのだろうかと思われるのもいます。

 coelacanth

1/31/91

(みやざき)さん、更に近況報告。大部屋雑居形式なので中はよくわからない。



3月号目次へ