採取の極意(3)

がっちゃん


「オオクワガタは、何処にいますか? どうしたら姿を見られますか?」と よく質問されます。
今回は、その回答のひとつとして、採集地でのオオクワガタの生息している木の選別方法を考えてみたいと思います。

まずは、オオクワガタの生態をよく考えてみることから始めましょう。
すでに皆さんもご存じのように、一般に成虫は5月から9月にかけて出現し、主にクヌギ・コナラ・ブナ・ミズナラなどの広葉樹の樹液に夜間集まる習性を持っており、日中は木の洞などに潜んで、滅多に姿を表すことはありません。
この生態をもとに、まず手近な雑木林に足を運んで下さい。そして、その林の規模、生えている木の大きさや種類、風の流れ、さらには日の当たる時間帯など、推測を交えながら自分がオオクワガタになった気分になって、林を見渡して下さい。
もし、自分がオオクワガタだったら、どのような場所を住処として探し求めるでしょうか?
『日当たりや風通しがよく、手近に餌場があり、さらに隠れる洞(家)があるところ』 きっと、誰もがこのような条件を満たす場所を求めて、探し回るだろうと思います。

次に、採集地での木々の生育環境について考えてみましょう。
雑木林は、大きく分けて林縁、林内に大別することができると思います。
林縁は、陽当たりも良く、風通しも良いので、林を維持するために成長のよい若い木が育ちやすく、 必然的に樹液が出やすい環境になっております。
林内は、林縁よりも成長した背の高い木が生えているため、適度に風通しはありますが、日照時間は林縁より限られてくるので、樹液の出る場所が限定されてしまい、出方も少なくなる傾向があります。
このように、一口に雑木林と言っても、場所によって環境の差が生じており、まして洞ができる木となると、さらに条件が限られてくるので、見つけるのが難しいのが現状です。

以上をふまえた上で、私が初めて採集を行う場所で必ず実行することは、
『林内よりも林縁付近の木で、日がよく当たり、風通しがよい場所に生育している木を探すこと』です。
単純なことのように思われますが、これが予想以上に良い結果を出しています。
何故かと言いますと、先ほども説明しましたが、林縁付近の木の方が成長過程のものが多く、 樹液が出やすい木が生えており、かつ日照時間が長い分、樹液の養分濃度も高いと考えられ、また、風通しがよい場所をオオクワガタが好むように思われるからです。

これらを念頭に考察すれば、
『意外に細い木でも洞が出来やすく、そのような木にも、オオクワガタが生存できる環境が成立する』と言えるのではないでしょうか!
オオクワガタが生息する木の選別方法が、おぼろげながらにも見えてきたように思います。
あとは、見えてきた方もそうでない方も、何はともあれ行動あるのみ!



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