「怪説・世界のクワガタ」第2回 オオクワガタ(3)


A.CHIBA


fig 5


fig5の左は、スラワシ(セレベス)産のDorcus parryi parryi 69o。写真ではよく判らないが頭の小突起はcurvidens系よりもparryi系の方が中央寄りであり、産地によってはあまり尖らないモノもいる。

真ん中はDorcus parryi ritsemae 東ジャワMt. Argopuro採集71o。この地のモノは大腮が激しく湾曲し、体の幅は広くなり独特の雰囲気を持っていて非常に良い。70oを越える個体はとても少なく手に入れるのは困難。また、西ジャワには、大腮のカタチが日本産と良く似た個体を産し、頭部の小突起もparryi系のように中央には寄っておらず、一見するとcurvidensに見える。まだ多くの個体は見ていないのだがcurvidens系だとすると非常におもしろい分布をしている事になる。

一番右は、Dorcus parryi volscens 南スマトラ産73o。この亜種が parryi系の中では日本に一番多くの標本が入って来ている。その為か70oオ−バ−も比較的見るが、やはり100頭に1頭程度しか70oオ−バ−はいないそうである。 


fig 6


次にfig6、左はフイリッピン・ミンダナオ産のDorcus parryi setsuroi 64oこの産地のモノは大型になると内歯が前方に向くが、中には比較的大型になっても内歯が前方に向かない個体もいる。

真ん中は、フイリッピン・パラワン産のDorcus parryi curvus 63o、大腮の湾曲が凄く、大型個体は迫力が有るが70o近い大型のモノは非常に少ない。

写真右はタイランドKhao Yai 産のDorcus parryi volscensタイ産のモノは大型になると大腮は比較的細く真っ直ぐにのびる。日本に入って来ている数は少く大きな個体はあまり見たことが無い。タイランドには、curvidens系とparryi系が同所的に産する場所も有るらしく、興味有る分布をしているが、parryi系は少ないようで手に入れる事は困難である。

[参考文献] 世界のクワガタムシ大図鑑
月刊むし No.233 July 1990
月刊むし No.292 June 1995
昆虫と自然1989 Vol.24 No.10


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