思い出しつつの後付け日記 1990 (2)

coelacanth



紹介が後になってしまったが、このクワガタ・カブト日記まがいのものは私、ことcoelacanthが1990年の秋以来、アスキーネットが消滅してしまうまで延々数年間に亘ってそこに書き綴ったものである。従って全体は非常に膨大で、しかもやっかいな事に他の人のレスポンスを交えながら進行している。いっその事それも全て知らん顔して載せてもまぁ大丈夫だとは思うが、一応礼儀もあるし、分量的には私の書いたものがほとんどなので他の人の部分は要約して掲載する事にした。いちいち連絡して許可を取るのも煩雑すぎるし、そもそも連絡できないケースもありそうなのでそんな所でまぁ許して欲しい。


10/16/90

(kosuzume)さんから、いきなりの情熱的な記録のアップロードに感動した旨のレスポンスを頂く。

10/17/90

(みやざき)さんもかなりの虫好きで、自宅の今年の虫飼育に関する報告。

10/17/90

(coelacanth)

ふっふっふ。同志が確認できて嬉しい限りです。ではもうひとつ。

10月中頃

そういうわけで10月も半ばになってしまった。いろいろ本を読んでいると、最近は採集でも夏に限らず朽ち木崩しで幼虫や越冬中の成虫を取ることがさかんに行われているらしい。これだと生育環境を根こそぎにしてしまう可能性があるので、あまりすすめられないのだが、近年はそれ以上にゴルフ場開発等で雑木林が完全に破壊されるケースなどもあり、それならその前に徹底的に採集して、保護繁殖させた方がマシだと思えることもあるだろうなんてことも思う。なにせ悲しい話だ。うちの近所は、住宅建設のために林がほとんどなくなってしまった。そして、今は森で採集することそのものはあまり興味がわかない。むしろ子供達が取るべき分まで取ってしまうようで気が進まないのだが、繁殖の種をまずは確保したいので今度妻の実家(長野)に行くときはついでに朽ち木崩しというのもやってみようかと思っている。繁殖させてここらへんにまいて子供達に取らせるところまでいけたらなんだかすごく気分がいいが、そんなに簡単でもないかもしれない。

 coelacanth

10/25/90

(coelacanth)

10月終頃

このごろはかなり冷えこむ日も多くなってきたが、クワガタムシ共はまだ出現しているようだ。頻度はだいぶ減ったのだが、たまにみかけるしエサをやると見ない間に動かされている。カブトの幼虫の方はかなりよく移動していて、飼育ケースを覗くたびに違う位置にいる。

伊豆の友達はその後もぽちぽちと幼虫を見つけ、2匹、4匹と増えていたと連絡してきた。どうもモグラの穴が結構あって、もともといっぱいいたところでもかなり食われているようだとのこと。ところが先日自宅の裏の芝の腐ったのをつんでおいたところで大当たりを見つけてしまい、その日だけで41匹、次の日には大小併せて合計70匹程も捕まえ、すっかり飽きてしまったというとんでもない報告が来た。「まだいる?」なんてとぼけたことを聞いてきたがもちろんもうさすがにたくさんである。とりあえずかなりの分は送ってくる(11月頭に)予定だが、みやざきさんあたり何匹か飼ってみます?

私は妻の妹の結婚式で明日から長野だ。カブトは死ぬ程手に入ったのでできれば朽ち木くずしでクワガタの幼虫とか越冬成虫がいないものかと淡い期待をしている。

 coelacanth

10/25/90

(みやざき)さんから、よかったら分けてくださいとレスポンスをもらう。

10/31/90

(coelacanth)

長野で朽ち木崩ししたんだけど、そこらへんはもともとそれほどクワガタが豊富なわけでもないらしく、いくら捜しても見つかりませんでした。まぁいい運動になったし(連日)、もともとそれほど期待してたわけでもないし。なんていうかそもそも「これぞ!」って感じの太い朽ち木とか立ち枯れ木が見つからないんですよね。特に標高の高いとこでは木が細いし、腐り方が違う、なんとなく。やはり平野の林が一番。もっとも帰りに甲府あたりでもちょっとみたんだけど、やっぱりボウズ。カミキリムシの幼虫はいくつも見つけたんだけど。いるとこにはわんざかいるんだろうけどなぁ。

ということでじきに送ってくるカブトだけが楽しみ。水槽が増え過ぎちゃって困っているのでなければカブトの幼虫もどうぞ>みやざきさん。

 coelacanth

11/01/90

(W.Mouse)さんから、自分も子供の頃に伊豆でよく採った、というレスポンス。

11/01/90

(みやざき)さんから、「では幼虫を下さい」と。

11/06/90

(みやざき)さん、幼虫25匹を私からもらって喜ぶ。

11/06/90

(coelacanth)

11月始頃

さて、長野へ行ってきた。しかし同じ長野でも割と北の方であり、もともとそれ程期待もしていなかったがやはり幼虫も越冬成虫もいなかった。まだまだいろんな場所を探せばいたのかもしれないが、そのために行ったわけでもなく、限界がある。朽ち木割に関していえばとにかく「これぞ」という木が見つからないことにつきる。30cm以上の広葉樹で腐りきってなくて、さりとて新し過ぎて固いこともなく、アリなどにやられてなくて。。。などといわれてもそう簡単にはない。「ここは夏の夜なら成虫がいっぱいいそうだなぁ」というところはいくつも見つけたので来年夏には採りにくることにしよう。結局幼虫はカミキリはいくつもみつけたので1つだけ採り、あと得体の知れないすごく小さいのを2つ木の中から見つけて捕獲。どうせ小さなゴミムシかなにかの甲虫であろうが。

友人の幼虫が宅急便で届く。ところがあけてビックリ、こいつらは全部背中ではい回るのだ。これは紛れもなくハナムグリの幼虫の特徴だといろんな本に書いてあるではないか。1匹だけは別のがいたが、これはウマイ話に有頂天になっていた私としてはちょっとショックだった。ハナムグリなんか誰も貰ってくれないのでは。。。と危惧していたが、みやざきさんはなんと「なんでも大歓迎」とのことで60匹以上来た奴の中から25匹程さしあげた。「70匹のカブト」から見るとずいぶんグレードダウンした話ではあるが、とりあえずカブト飼育の練習みたいなもんにはなるかもしれない。まぁ羽化は楽しみではある。ハナムグリといってもシロテンハナムグリなのかアオカナブン、クロカナブンその他なんなのかはわからないので。友人のその後の連絡では今度は肛門が縦にさけた一回りでかい幼虫を見つけたとのこと。これはでかいクワガタではなかろうか?

家のクワガタは、相当気温も低くなりさすがに冬眠したか。。。と何度も思うがやっぱり暖かい日にはちゃっかり出てくる。

 coelacanth

11/07/90

(みやざき)ハナムグリにしては大きいような?図鑑で鑑定中とのこと。

11/07/90

(coelacanth)

そうなんですよ。これがハナムグリだとするともう春までこれ以上は成長しないのかって言いたくなるような大きさではあります。小指をまるごとちぎって丸めた(なんて表現だ)くらいのもいますからね。ただしあまりにみごとに背中ではいまわってくれるので本の識別法によれば疑問の余地がないわけなんですが。ただし「カブトは背中では絶対はわない」みたいな反証はどこにも書いてないので実際、カブトならどうはうのかってのは疑問なんですが。どっちも背中なんつったら詐欺だよなぁ。

 coelacanth

背中ですごい速さではい回る姿はユーモラスではある。しかし図鑑なんかいくらみても、コガネムシの幼虫の類は本当にドそっくり。これなんか頭のすぐ後ろの左右にある茶色の紋の形まで一緒ですから。。

11/10/90

(coelacanth)

エビやらクワガタやら幼虫やらをしっかり撮影しとこうと思ってただのマクロでは物足りないのでクロ−ズアップレンズってのを(弟に聞いたらえらく安いらしいので)買った。52mm用のでNo10(焦点距離10cm)で2000円だった。エビのどアップが撮れた。まだ現像してないけど。クワガタなんかもどアップで撮ってやる。

 coelacanth

11/13/90

(coelacanth)

11月中頃

整理も兼ねて、幼虫を全部掘って正確に数え観察し、移し換え、写真も撮ってみることにする。最初に来た2匹のうち片方は、ときどき容器の横から見えてはいたのだが掘ってみたらたまげた。とにかくとんでもなくでかくなっていた。こいつばかりはカブト虫に違いない。貰ったときは小指くらいだったのがもう太さも親指程度、長さも中指くらいになっていたのだ。形や模様は本当にハナムグリと見分けがつかない。若干毛が薄いような気はするが。さて前から少し疑問だった「ではカブトならどこではうのか?」というのの答は、実験してみたところ「あまりにノロノロしていてとてもはうといったようなもんではない」が正解だった。なるほど本にも「カブトならおなかではう」とも書いてないわけだ。どうしてもどちらか?というならやはりはらばいだったと思う。コンクリートの上においたのだが土にもぐろうとしてぐねぐねしているだけというのに近い。もう1匹の方はあとから大量に来た中の1匹だけ違っていた奴と全く同じだということがわかった。こいつは体が黄色みを帯びた白で、少し透けて黒いようなカブトやハナムグリとは違う。ところが肛門は横にさけていてクワガタでもないようだ。また、活発で明白にはら側ではう。コフキコガネとかドウガネブイブイとかそういう類のコガネムシではないだろうか?これが2匹になったわけだ。後はみやざきさんなどにあげた分を除いて、37匹のハナムグリだ。カミキリ1匹と不明のやたらに小さい2匹もいるがこいつらはとりあえず触らないでおいた。

友人にはその後の経過を(ハナムグリだったことや各幼虫の特徴など)報告すると、なんかハナムグリでは申し訳ないとばかりにさらに頑張ってくれてしまって今度は確実にクワガタらしいというのを何匹か見つけたという。友人も結構なんだかはまってきているような感じだ。そんなこんなで盛り上がってしまって、来週の23日の連休にはこちらから受取も兼ねて採集に伊豆までゆくということになった。

撮影も大量にやったが、No10のレンズというのは強烈だ。小さな幼虫も写真1枚目一杯に拡大されて写る。現像が楽しみだ。クワガタ成虫もついでに沢山撮影しておいた。

 coelacanth

11/18/90

(coelacanth)

11月17日に狭山湖周辺2箇所で、ちょっと朽ち木崩しなぞしてみたところ、あんまり期待はしてなかったのに、予想外にボロボロ幼虫がみつかり、さらには成虫も1匹発見した。

初めはクヌギの切株の腐ったのを崩すと、カミキリの幼虫ばかりボロボロ出てきたのだが、桜だかミズキだかケヤキだか(腐った木の同定というのは素人ではさっぱりわからんなぁ、クヌギではなかった)がほどよくさくさく白く腐ったの(直径10cmくらい)を崩すと、初めて明白にクワガタの幼虫(肛門の形から)が出てきた。その後も似たような木を崩して、小は5mmくらいから大は5cmくらいのまで発見。それでも小さいのでせいぜいコクワガタかなって気もするが、ひょっとしてまだまだでかくなるのかもしれない。回りのきくずもいっぱいもちかえる。

次の場所ではクヌギの切株を掘り起こして崩す。ノコやミヤマはこういう根の部分が好きらしいので。でもってなんだかはわからないがやはり最大5cmくらいのを始めに、3、4匹。おまけに越冬成虫雄1匹。これがまたえらく小さな(3cmもない)コクワかと思ったらよく特徴を見ると、スジクワガタってやつだ。

ナタで崩しているので特に木が堅いと(根の方は特に)どうしても幼虫を傷つけてしまうことがある。少しでも傷つくと確実に死んでしまう。一応連れて帰ったのも後でみたら傷が真っ黒になって死んでいた。合計6匹ほどのをそれぞれビンに木屑を堅くつめてから放してやるとすぐもぐっていった。写真も採れた現場でいろいろ撮った。

この分で捜せばいくらでも採れそうだったが、期待してなかったので採集用のフィルムケ−スなんかをあんまりもってってなかったので少しでやめた。どうせ小さいのが多かったし。次に伊豆で大量に採れたりしたら、本当にいっぱいになるな。すでに友人は20匹近く保管してるっていうし。

みやざきさん、クワガタの幼虫もいかがですか?なにクワガタかまではわかりませんが。

 coelacanth

11/20/90

(みやざき)さんから、なにクワガタであろうともらう、夏も終わって他の虫の入れ物も空いてきたことだし、モスラの幼虫や卵でない限り、、、いやモスラのでもいいか!?と。

11/20/90

(kosuzume)さん、みやざきさん同様、昔カマキリの卵を家に置いていて家中小さいカマキリに占領された話。

11/21/90

(coelacanth)

モスラはちょっとなぁ。。。南の島まで採りにいかないといないんでしょ?エサもたいへんそうだなぁ。

ソレハサテオキ

カマキリでもなんでも冬の暖房は大敵です。わが家ではかつて越冬サナギ(アゲハ)が暖房で12月末に羽化してしまい、気の毒だったことがあります。家の中で放し飼いにしてたけどさすがに1週間ももたなかった。クワガタでも成虫は下手に暖房でエネルギーを消耗すると短命になるし、幼虫は積算温度が早く達成されてしまい、小さなまんま成虫になってしまうのでつまらない。等など、ロクなことがないようです。

それもさておき

クワガタの幼虫というのはかなりやっかいな野郎のようです。文献が相当に集まったのですが、どれをみてもカブトやハナムグリよりは数段面倒な野郎達のようです。

1.カブトは腐った葉のようなものならおよそなんでも食うがクワガタは一般に朽ち木しか食わない。おまけに腐朽の度合い、湿り気など、かなり好みがうるさい。

2.自分の体内で発酵を行う(微生物を飼っているのね)ばかりでなく、排泄した糞のバクテリア等で体外の木を更に適当に腐朽させてから食う。従ってエサを頻繁に換えたりすることはよくないし、掘り出したりすることもできるだけ避けないと消耗して、小さな個体になるばかりか、甚だしい場合は死ぬ。

3.雑菌に弱く、手で触ることは避けなければならない。気門から雑菌が入るとあっというまに真っ黒になって死ぬ。傷もダメ。自分の排泄物中の成分でカビや雑菌の繁殖を防ぐことも(2の発酵の他にも)行っているらしく、環境を変えるとまずはこの糞のばらまきを始める。従って小さな幼虫はこの環境セットのための脱糞が十分できなくて死んだり、消耗したりする。大きな幼虫でも続けて環境を変えたりすると、連続の大量脱糞で消耗が激しい。採集すると最低1度はこの環境激変が起こるので、何度も変えずにすむように考えなくてはならない。

4.1つの容器で何匹も飼うと噛み合って死ぬ。500cc前後のインスタントコーヒーの空きビンに木屑を堅く詰めて(幼虫の坑道がつぶれないように堅くしなくてはならない)1匹づつ飼うのがよい。そうすれば観察もできる。しかしあまり明るいところで何度も覗くことはよくない。ふだんは暗いところに置くか布でもかけておく。特に蛹化の時期は細心の注意が必要。なるべく涼しいところに置かないと前述のように小さな個体になる可能性大。

等などいくらでもあります。道理でカブトほど安易に養殖されてないわけです。そういうわけなんで、適当なビンでもいくつか確保しといてください。エサはペットショップなどにあるクヌギチップを湿らせて、そこに採集現場から採った糞なんかをまぶしておくのがいいようです。できればクヌギチップを確保していただければ貴重な糞(なんかすごいなぁ)はこちらで確保しときます。

 coelacanth



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