朽ち木割りは果たして悪か?

タカ


結論から言いますと、朽ち木割りは悪だと思います。 

朽ち木と言えど他人の持ち物、それを勝手に割ってしまうわけですので、やっぱり悪でしょう。 
それに、オオクワが生息するに必要な環境の一つである朽ち木を、再生不可能なまでに割ってしまうわけですので、オオクワを守る、と言う意味からも最悪の行為かも知れません。 

ここで、やはり悪と言われている、煙幕採集と比べてみましょう。煙幕をしたウロにはクワガタが数年戻らないと言われています。最近聞いた話では、青くなるくらいまでやらなければ、次の週には戻るとの話しもありますが、その辺を知らない素人がやる事の方が多いため、 数年戻らないと考えた方がよいでしょう。でも、朽ち木割りの場合、確実になくなってしまいますので、煙幕どころではありません。数年どころか、一生戻ってくるわけではないのです。 

見た目はどうでしょう。 
煙幕をやった後は、ウロがすっかり青くなってしまいます。その後を見ると、悲しくなるばかりか、見た目にも美しくありません。せっかく自然の美しい環境の中で、木が青くなっているなんて、とても許せる物ではありません。 
朽ち木割りの場合、もちろん青くなる事はありませんが、朽ち木の周りに割かすがたまり、やはり美しいとは言えません。しかも朽ち木も無くなる場合もありますが、時には鉛筆のようにとがって残される事もあります。この場合、煙幕の青よりはましなような気もしますが、やはり、あまりよいものではないでしょう。 

「人の物を」と言う観点から言えば、煙幕の場合はそこに残りますので、まだましかも知れません。まぁ、朽ち木の場合は、それほど利用価値がない(?)と言う点では、煙幕よりましなのかも知れませんが...いずれにしても、他人の物に手をくわえるという意味では、どちらにしても良い事とは思えませんね。本当は、所有者に断ってやりたい物だと思います。でも、残念ながら、所有者を断定する事って出来ないんですよね。何とかこの点だけでも解決できると良いのですが... 

最後に安全性に付いて比べます。 
朽ち木割りは刃物を使いますが、煙幕は火を使います。もちろんその刃物で喧嘩するなんて事になれば、話しはまったく異なりますが、そうでない限りは、火よりはよほどましだろうと考えます。と言うより、他人の山や林で火を使うなんて、もってのほかですね。万一山火事にでもなったら、とても責任の取り様なんてありません。火事にならなかったとしても、山で煙を発見した人の心配を考えると、煙幕を使うなんてとんでもない事であると思います。

山に暮らしている人にとって、火ほど恐い物はありません。自分は大丈夫だなんて考えず、そもそも火を使う事はやるべきではないと思います。従って、この点においてだけ、朽ち木割りは煙幕より遥かにましであるとσ(^^;)は考えています。

もっとも、やっぱりナタや斧をもっている人がうろうろしていれば、恐い物があると思いますので、誰かに会う事があったら、きちんと挨拶をして、場合によっては何をしているのか説明して、釈明した方が良いかも知れません。 

そんなわけで、朽ち木割りは煙幕採集よりはまだましかなぁとは思いますが、その山、林の所有者に断ってやるのではない限り、やっぱり悪でしょう。仮に断ってやったとしても、環境破壊という点で、余り好ましい事ではありません。将来の子供達のためにもクワガタを残してやりたい物だと思いますので、やっぱりやるべきではないでしょうね。 

が、しかし、σ(^^;)はやってしまうのです。m(_ _)m 
どうしてもワイルドのオオクワを採ってみたいから... 
コクワでも、カブトでもそうなんですけど、ワイルド物を発見、ゲットした時の喜びと言ったら、それはもう言葉で表せるような物ではありません。 

この辺、いつでも心の葛藤があります。 
仕方がないので、単なる言い訳ではあるのですが、次の点だけはいつも心に誓っています。 
すなわち、 

  万が一にも生木を削るような事はしない。 
  いつの日か増やしたオオクワを林に返してやる。 

朽ち木割りを行う他のみなさんも、少なくともこの辺くらいは実行して欲しい物だと考えます。 

                      クワガタに興味を持ち初めて1年ちょっとのタカでした。 



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