1995年6月某日
私が仕事の帰り、飲んだくれおやじのなかじーといつものお食事を済ませて志木駅から歩いて15分の2DKの我が家に帰ってくると、ドアの下に何か黒い3cm程の虫がうごめいていた。「何だ?ゴキブリか?」と思いよく観察してみると、それはクワの小さい♀にも見えるコクワガタの♂であった。約20年ぶりの再会であった。もともとクワガタが子供の頃から好きであった私は、すぐに未使用のタッパに近所の畑より腐葉土をかき集め、バナナを餌として与えてやった。そのコクワガタはバナナの匂いに誘われてうまそうに食い始めた。そして何度も私にお礼をするのであった。(そう見えただけだが…)これがきっかけで今度は自然の林から採りたいと思うのにはそんなに時間はかからなかった。 *なかじーはお友達です。
実はクワガタが好きであるが、子供の頃にいっぱい嫌になるほど採ったことは無いのであった。そして、その経験をこの日から実践していくのである。私はとてもラッキーであった。飲み友達の某サイトーさんという方が「そんなに採りたければ案内してやるぞっ」と言ってくれたのである。 場所は山形県某所。河川敷にある雑木林である。お昼過ぎから行動開始。昔の記憶を頼りに林の中を進んでいく。しかし、全然いない。2時間位たって如何にもクワガタがいそうな木を見つけた。そっと木を覗いてみると、 ブ−−−−−−−ン、プチッ、プチッ、プチッ あっというまの出来事であった。足長蜂4匹に頭を刺されてしまった。「何じゃ、サイアクやんけっ。」心にはこんな言葉が浮かんだけれどもすぐ消えた。なぜならば、この林にはクワガタがいるはずだからである。 それから2時間ほどたち、あたりが夕暮れに差し掛かった。おもむろに20m先程度林に入っていたサイトーさんが叫んだ。 「いたーっ。でけーっ。俺さわれねーよぉっ!!」 それを聞いた私はあっというまにその場所まで来ていた。そこで目にしたものは当に夢のような光景であった。2m足らずの細い1本のであった。不思議であった。柳の木などにクワガタがいるということを初めて知った。しかしもうそんな事はどうでも良かった。ひたすら採りまくった。それからは柳の木を重点的に採って採って採りまくった。 気が付けば、ノコギリクワガタ20匹、カブトムシ20匹ほど採れていた。気分は爽快である。明日朝にもう一度来る事をサイトーさんと約束しその場を後にした。
サイトーさんの実家に泊めていただいた。小茄子の漬物、芋煮は絶品であった。お土産に漬物をいただいてしまったぐらいである。
さて本題に戻る。目指すはノコギリの木である。(勝手に命名してある。その他にはコクワの木、カブトの木がある。)当然のようにノコギリクワガタがいるのである。採ったクワガタ達は、大人げないがすべて埼玉まで持って帰った。全ては飼育出来ないので近所のクソガキにおしげもなくあげたり、社内の子供持ちにもらっていただいた。みんなの喜ぶ顔が印象的である。最終的にノコギリクワガタ♂♀1匹ずつ、カブトムシ♂♀1匹ずつだけを残しただけであった。しかし彼らは天寿をまっとうして子供らも山ほど残してくれたのであった。 *某サイトーさん、タケチャンはお友達です。 ______________________________
会社内でクワガタ隊を勝手に発足させまして
1996年8月10日〜11日 「やってまいりました第二回山形でクワガタ採集しよう!!」の会を開催した。
目指せっ!ノコギリの木っ!!ひたすら東北道、山形道を走り抜けた。理事長としては採集に向けて体調を調えなければいけない。と、いうことで、運転は隊員1号に託してゆっくり寝ることにした。 程なく朝10時ごろノコギリの木のあるポイントに着いた。実は山形支部長から「道路工事の為、採れるかどうかわからないですよ」と調査結果を報告されていた。とはいうものの大丈夫だろうとは思っていた。が、山形とはいえども(「ウルセェッ」との非難轟轟が聞こえてきそうだ)開発の波の速さはすさまじい。高さ5m程、幅50m、長さ300mの砂利の道が出来ていた。やばいなぁ〜と皆が思った。が、そこはクワガタ隊である。残った林の中をずんずん進んでいった。
そこには交尾しまくりノコギリクワガタの宝庫。ひたすら採りまくった。木をゆすってクワガタを拾いまくった。そして採集も絶頂に達したときである。サイトーさんが木を3回蹴った。
その瞬間である。ボトッ!!!チクッ!!!!!ブゥゥ?ン… 「いってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ〜」 サイトーさんの背中にトックリ蜂が落ちてきたと同時に刺したのであった。みるみる刺された所が腫れてきた。いかにも痛そうである。
理事長としては残念であるが、隊員の安全を守る事を優先して負傷者1名でその場を後にする事にした。とっさの機転が利き、この後は誰も名誉の負傷をする者は現れなかった。
次の日、東北地方では珍しい地震に遭遇した。震度3である。かなり揺れたので目が覚めた。サイトーさん、隊員1号は地震でも起きていなかった。かなり疲れているらしい。疲れているので起きなくてよかったなっ、と、理事長としては思うのであった。おもむろに時計を見た。4時である。………。ん?4時? 「採集の時間ですよぉ〜、起きないとぉ〜」 理事長としては時間厳守にうるさいのである。眠い二人をさわやかに起こしてあげると、さぁ採集である。寝起きの二人は始めはいやいやだったが、いざポイントに着くとサッサと林の中へ。しかし、地震の影響であろう。ちっちゃいのが数匹いただけであった。二人の声が心に訴えかけてきた。 「もっと寝かせろや〜っ、ヤマモトッ」
成果 ノコギリクワガタ♂♀で20匹ほど、コクワガタ♂5匹、カブト♂♀で20匹ほど
今日は新規採集場所開拓の日である。やはりクワガタ隊としてはを攻めないわけにはいかないのである。何故かというと……オオクワガタのメッカであるらしいからである。オオクワガタよっ待っていろっ!! 本日のクワガタ隊メンバーは新規加入を目指している若き二人、バッシーとブーチャンである。まだまだ実績の無い二人にとっては今回の働きによって正規隊員になれるかどうかのテストもかねている。多分正規隊員になってくれると期待しながら車は中央道をひたすら走った。 今回は初めての採集地なので、採集案内地図という物を密かに入手していた。が、それは十数年前のものであり、更にアバウトすぎた。いざ韮崎に着いたのはいいが場所が全くといっていいほど分からない。仕方が無いので地元の衆に聞き込みを始めるが、我々をうさんくさい目で見て全然教えてくれはしない。準隊員の二人もほんとに採れるのかと疑いの目で理事長の方をみている。 「やばいなぁ〜」
「いた〜、ゲッ、違ったぁ〜、ゴキブリやぁ〜」
「コクワおったでぇ〜」
「いた〜コクワッ」
「あっ、あそこっ、でっけぇぇぇ〜」 バッシーも叫んだ。 「うわっ、ほんまやっ、でっけぇ〜」 理事長も続いた。 「どこどこどこどこどこっ、どこやねぇ?ん」
号令とともに準隊員、もとい!もう正規隊員の二人は足元のやぶを踏み均した。
「飛んだぞ?追いかけろ〜」
優に70mmを超えるノコギリクワガタであった。
今日の成果はノコギリクワガタ♂1匹、コクワガタ♂♀多数。そしてバッシーはクワガタ隊隊長を拝命、ブーチャンはクワガタ隊副隊長兼名誉ドライバーを拝命することとなった。
今日も新規採集場所の発掘決行である。前々から調査依頼をしていたツルからの報告があった為、青梅に向かう事になった。晴れてツルはクワガタ隊のメンバーに加わることが出来たのである。嬉し涙を浮かべているのがわかったが、そこは気付かない振りをしておいた。 新規採集場所には朝6時半頃に着いた。そこは立派なクヌギのある公園である。少々遅い時間帯であるが、クワガタ隊はずんずん林の部分を突き進む。理事長は1本のクヌギを蹴った。 ボトッ カブト♂が落ちてきた。この調子でいけばクワガタがいるのでは。気持ちは否応無しに高ぶってくる。
「何か採れましたか?」
自慢げに子供に見せられた虫かごの中には6cm程度のヒラタクワガタが入っていた。
「カブトがほしかったんですが、採れないですねぇ?」
子供が喜んでくれたので気持ちはだいぶ治まってきた。立派なクワガタ好きおやじに育つんだよっと心の中でつぶやいて子供連れとは別れた。その後はさっぱりボウズであった。 ツル、また行こうなっ!! |