採集の極意(1)

がっちゃん


 私が昆虫にはまったのは中学生の時で、ちょうどそのとき、担任で科学部の顧問でもあったY先生に出会ました。当時の私は、少々やんちゃな小僧であり、よく先生方にお世話になっておりましたが、そんな私に、ある日Y先生が「明日暇やろ!チョウチョ取りに行くか?」と、妙見山にスジボソヤマキチョウを取りに連れてってくれたのです。

 朝の早くに起き、にぎりめしを母に作ってもらい、電車で一時間半くらいでしたか、やっとの思いでポイントに到着。周りでは、捕虫網を持ってうろうろしている人が既に何人かいましたが、Y先生はいっこうに捕まえる様子が無く、たばこを吹かして道ばたの岩に座っています。私が「Y先生なんで捕まえへんのや?」と聞くと、「風がないとなかなか捕まらん。」と言って、またたばこを吹かしてしまいます。

そこうしているうちに一時間位たったでしょうか、私が落ち着かずうろうろしてチョウチョを探していましたら、「お〜い、見てみい。」とY先生が呼ぶので側に寄ってみると、たばこの煙を指さして言いました。「ええ風や!」。

見ると煙が山側から谷側にゆっくりと流れていきます。すると、いきなり網を持ってポイントに立つや否や、あっと言う間に7頭も捕まえてしまいました。

 あまりに突然でしたので、私が「何でチョウチョが来るのがわかったん?」と聞くと、「生き物は、どんなものでも自然の中で生きてるんやから、観察する生き物の習性をわからなあかん。」と言われました。そして、さらにこう続けられました。「要するに、目的とする生き物がどこにいてどのように行動し、どのような環境で生活してるかがわかると、目的とする生き物が向こうから姿を見せよる。」と。

 「おまえも、人も、同じや!」と言った言葉が、当時の私に印象深く残りました。この時から私の生き物に対して考え方が変わり、生息する環境を、そこに棲む生き物の気持ちになって観察すれば、比較的簡単に生き物を見つけだすことが出来る様になりました。

なによりも、あのころはむちゃくちゃ楽しかったのを、今でも昨日のように覚えています。三草山で、一晩で6頭もオオクワガタを捕まえたり、オオムラサキを捕まえたり、今では本当に昔話になりつつあります。非常に残念ですね。

せめて自分の子供達には、あの楽しい気持ちが体験できる環境を、末永く残して行ってあげることが大切ですが、さらに一歩進んで積極的に作っていかなければとも思っております。

内容に不明な点があれば、お許し下さい。

12月号目次へ