オキナワマルバネクワガタの飼育(1)

k−sugano


 ひょんなことからオキナワマルバネクワガタペア(達人は「オキマル」と呼ぶらしい)を入手した。送られてきたのは10月4日だったので、発生初期の個体だろう。夜間の道路のルッキングで採集した個体だそうである。
 マルバネクワガタは♂が♀に先行して羽化し、♀の新成虫が発生木のウロのフレークから出てくるのを外で待ってるという話を良く聞く。交尾はその場で行われるということなので、道路をてくてく歩いてたこの♀は、交尾後産卵場所を探していた個体かもしれない。
 結局このペアが交尾している光景には出会わなかった。マルバネクワガタに詳しいひとの話では強制的に交尾させたいときは♀の背中に♂を置くのだそうである。ちょうどカブトムシのような交尾をするらしい。形もカブトムシに良く似ている。

図1
無関心を装うふたり・・・

 飼育環境は温室飼育で温度は22度〜25度の間である。飼育容器にはプラケース大を用い、現地のフレーク(スダジイ?)半分とオオクワガタ幼虫の食べ残しマット半分を、混ぜずに左側は現地フレーク、右側は食べ残しマットというぐあいにセットした。後述する産卵はどちらでも見られたので、混ぜてしまっても良いと思うし食べ残しマット100%でも良いいだろう。

 ものの本によると、マルバネクワガタは後食(成虫になってから餌を食べること)しないとなっているが、オキマルは♂♀共にたいへんゼリーを好み、まるでヒラタクワガタなみの餌の減りようである。♂は常時餌の前にいるが、♀はマットに潜っていることが多く余り姿をみせない。たまに見たときはゼリーを食べていた。A.CHIBAさんが入手されたペアもよく食べたそうなので後食するのは確実だが自然界ではどうしているのだろう。

図2
樹皮に隠れて
ゼリーを食べている
図3
樹皮をとっても
そのまま食べている。
図4
いつも食べている
図5
頭を突っ込んで
食べている・・・

10月末に♂は死亡した。♀は元気だったのでそのままにしておいたが、産卵状況が気になり11月7日に飼育ケースを暴いた。
ケースの底の方で固まったフレークはそのままにしておき、上部のフレークだけ新聞紙に広げて探したところ、1幼虫と3卵を確認した。
 卵はフレークの中にバラバラと産む訳ではなく、【図6】に示すように直径2〜3cmほどの固まりとなったフレークの中に卵室とでも呼ぶのか空間を作り、その中に産んでいた。回収した幼虫の頭部は3mm程度でオオクワより明らかに大きくて色は薄い。卵の表皮は極めて薄くオオクワガタのような固い卵ではない。充分気をつけて作業したが1卵を潰してしまった。過去、クワガタの卵を潰したことはないのに・・・・(T_T)。色は純白でオオクワやヒラタなどとは随分ちがった印象である。ケースから出てこなかった下半分の固まった部分には、まだ卵があるような気がした。

図6
球状の塊の中に産卵

 12月6日「第2回:飼育ケース暴き卵探し会」を実施した。♀は依然元気である。今回もマット(フレーク)上半分のぱらぱらした部分だけ取り出して探した。結果5卵を回収した。前回と同様に卵は小さなボール状の塊の中に産んでいる。充分成熟した卵と産卵直後と思われるまだ膨らみきっていない卵双方が回収されたことで、オキナワマルバネの産卵期間は相当長期間に渡ることが想像できる。

 以上が12月6日までのええかげんな飼育記録である。・・・・・・期待をもって続報を待て!

 最後に、しゃあげんさんというヤエヤママルバネの飼育をされている方の飼育記録はたいへん参考となった。ニフティーのFPETANYにこの方の飼育記録がある。

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