まちかねBBS山梨方面隊富士北麓小隊奮戦記

カズヒロ隊員


はじめに

以下の採集記録の中で、A・CとかB・Cとあるのは、敷島町内のポイント(A,B,C)を示す。
採集地の中の御坂は、河口湖から甲府盆地へ抜ける途中にあり、昨年ヒラタクワガタを採ったポイントがある。今年も韮崎への行き帰りに寄ってはみたものの、ヒラタは一匹も採れなかった。
ここは昨年に比べ明らかにムシが少なくなったと感じた。

また、20件の記録のうち17回が韮崎(明野含む)から敷島にかけての山梨県北巨摩方面での野外採集である。すべての採集は私(カズヒロ)と友人フルヤで行い、車を運転したのはすべて友人フルヤである(笑)
今となっては記録に書いてある事以外、ほとんど覚えていないのだが、思い出せる範囲で、今年の採集を簡単に振り返ってみたい。

記録は5月25日からとなっているが、韮崎初心者のわが「まちかねBBS山梨方面隊富士北麓小隊」(長いな?)は2月から5月初旬にかけて、3回にわたる入念?な偵察をおこない、ポイント開拓を実施した。
これにより、大小多数のポイントを発見し、特に双葉より明野にかけての約10ヶ所、敷島町内の3ヶ所のポイントを主なターゲットとする事に決定し、シーズンの到来を今や遅しと待った。

6月:大攻勢

そして、日中かなり気温の上がった5月25日に最後のポイント視察を行い、6月に突入するや、わが部隊(2名)は、韮崎・敷島方面に猛チャージを開始した。
6月は計8回、特に20日から29日にかけては2日に1回のハイペースで採集に出掛け、いかに隊員の士気が高かったかお分かり頂けるかと思う。神宮でヤクルト−広島を観たあと韮崎採集なんてこともあった。

さて、この期間の採集結果だが、士気の高さとは裏腹に、目立った成果を上げる事はできなかった。(この期間に限った事では無いが…)特に致命的なミスを犯したと思うのは、この時期に標高の高い敷島のポイントを中心に攻めたことだ。
樹液はほとんど出ておらず、コクワを見つけるのも困難であったが、優秀なわが隊が「このままではまずい!」と気付くのには時間がかかった。

それから6月の採集で忘れる事のできないのが、熊騒ぎだ。敷島での事だが、そこはかなり山奥のポイントであり、熊が出なくても十分怖い所だった。
時刻は多分9時頃だったと思うが、気味の悪いほど静かな中、やぶの奥でかなりデカイ生き物が「バキバキ!」と動いているのだ。
あの時間にあんな山奥に人がいるとしたら、クワ採り以外考えられないのだが、まず人ではないと思う。なにしろ懐中電灯の光は我々のもの以外なかったのだから・・・まさに冷や水をぶっかけられた気分だった。

これ以来、我々の脳裏には”熊の恐怖”が焼き付き、特に友人フルヤに与えた精神的ダメージは深刻なものであった。以降、わが部隊は積極的作戦を立てるのが困難となった。

5/25 敷島 樹液なし BC 夕方
6/1 敷島 樹液なし BC 夕方〜
6/7 敷島 樹液なし BC 夕方 捻挫
  金川 樹液わずか (コクワ)
6/14 敷島 樹液わずか(コクワ)AC
6/20 韮崎 樹液少し(カブト コクワ ノコ)♀が多い 台風一過 湿度高
6/21 敷島 樹液わずか(コクワ)ABC 湿度高 最高気温30度超
  御坂 樹液少し(コクワ ノコ)
6/24 韮崎 樹液少し(カブト コカブト コクワ)湿度低 最高気温30度超
  敷島 樹液わずか(コクワ コカブト)AC
  御坂 樹液少し(コクワ ノコ)
6/26 韮崎 樹液少し(カブト ノコ コクワ)最高気温30度超
  御坂 樹液少し(ノコ コクワ)
6/29 韮崎 樹液少し(カブト ノコ コクワ)台風一過
  双葉 樹液少し XXX
  御坂 樹液少し

7月:戦線膠着

7月は天候に恵まれず、思うような採集が出来なかった。と言うより、6月後半の猛アタックがたたってか肉体的疲労がピークに達し、雨が降ると何故か安堵すら覚えた。記録では3回となっているが、実際は4回行ったはずなので、1回つけ忘れているのだろう。
いずれにせよ、再三にわたるアタックにもかかわらずオオクワガタは見つからない。赤城山で徳川埋蔵金を掘ってばかにされていた糸井重里よりも自分の方が馬鹿のような気がしてくる。
また、6月当初「オオクワははしごが無いと採れないらしい」ということで脚立を持ち運んでいたのだが、この頃から持って行かなくなる。

7月20日の記録に”オオクワ67mm”とあるが、もちろん採った訳ではないので安心して欲しい(笑) なんのことはない、”他の採集者が採ったものを見せてもらった”というだけのことだ。
しかし、生まれて初めて見るオオクワは、それまでに私が見た、いかなるクワガタよりもでかく、また”黒い”のが印象的だった。

7/5 韮崎 樹液まずまず(カブト ノコ コクワ スジ)
  御坂 樹液まずまず(ノコ コクワ)
7/16 韮崎 樹液まずまず(カブト ノコ) 梅雨の晴れ間
  敷島 樹液少し むしなし C
  御坂 樹液少し むしなし
7/20 敷島 樹液少し B 梅雨明け オオクワ67mm 夕方

8月:新たな敵の出現

8月に入ると、我々の主戦場は当然の如くカブトムシ一色となった。クワガタはなかなか見つからない上、たまに気が向いて捕まえたカブトに小便などかけられると、怒りが爆発しそうだ。
2日の記録は場所を伏せてあるが、他県での採集である。もっとも計画性の無いわが部隊(2名)は、初めての場所であるにもかかわらず、いきなり夜そこを訪れたために適当な雑木林を発見する事すら出来ず退却した。こういったミスは過去幾度となく繰り返しており、わが隊の学習能力の低さを露呈している。

12日には先の”オオクワが採れた”という場所へ行った。本来ならばこのポイントを中心に採集を行えば良いのだろうが、何しろすげーぇ怖い所であり、どうしても夜間そこへ行こうという気にはなれなかったのだ。とは言え、山の中腹にあるそのポイントは、幾らか人の入った痕は認められるものの、韮崎などの有名ポイントに比べれば明らかに場荒れしておらず、しかも相当数の台場クヌギがあるためかなり有望だと思われた。そういうわけで、わが部隊(2名)は決死の昼間採集を決行した。

真夏の昼下がり、採集はし烈を極めた。予想通りのスズメバチの脅威、また、かなりヘビーなやぶがあるため完全武装で挑んだのだが、とにかく死ぬほど暑い。互いの顔を見れば10匹以上の蚊が飛び回っており、精神的また肉体的苦痛が頂点に達するのにそう時間はかからなかった。それでも黒光りするクワガタの尻を発見するや、一瞬「ぉお!!」と思ったが、アカアシクワガタであった。

わが隊はいつもどおり、成果をあげることなく撤退を余儀無くされるのだった。

8/1 韮崎 樹液まずまず(カブト ノコ コクワ スジ)湿度高
  双葉 樹液少し XXX(カブト コクワ)
  御坂 樹液少し むしなし
8/2 XX 適当な雑木林・発見出来ず
8/8 韮崎 樹液まずまず(カブト コクワ)
  双葉 樹液少し XXX(カブト)
  御坂 樹液少し むしなし
8/12 敷島 樹液わずか(アカアシ コクワ)B 昼間採集
8/23 韮崎 樹液少し(カブト ノコ スジ コクワ48mm)昼・夕
8/30 韮崎 樹液わずか (カブ、ノコ、コクワ、スジ) 昼・夕

10月:夏をあきらめて

10/25 朽ち木割り 約10分 ハチ まむし
11/23 朽ち木割り 約1時間

大惨敗から学んだ事

かくして、わが「まちかねBBS山梨方面隊富士北麓小隊」は未曾有の大攻勢もむなしく大惨敗を喫した。 失敗から学んだ事は、正直あまり無い(笑)のだが、最後に、むりやり2点程挙げてみようと思う。

まず、当初ほぼシーズンオフだと思っていた8月の終わりから9月はじめにかけての期間が意外と有望である事を実感した。 これは、掲示板でタカさんもおっしゃっていたが、どうもカブトムシが減るこの時期に”もうひと波”くるようだ。 ただ、この頃になると夜間かなり気温が下がることもあるので、採集は夕方がベストだと思う。

もう一点は、どうも私は台場クヌギにこだわり過ぎたような気がする。結果、まわりに生えている多数の普通の木がおざなりになっていたと思うのだ。 実際、韮崎周辺で最近オオクワガタを採ったという人に「台場クヌギではなく普通のクヌギの木にいた」と言う人は多い(ような気がする)
まあこんなところだが、「そんなの当たり前だ!」というつっこみが聞こえてきそうで少しこわい。

あとがき

以上は今年(1997年)のオオクワガタ採集における撃沈の記録である。日付、場所、樹液の出具合、観察できたクワガタ等をメモしてあるだけの、しょうもないものだが、これだけ採集に出かけて一匹もオオクワガタを採ることができなかった”馬鹿者がいる”と言う点で、「どうしてもオオクワガタを採集出来ない!」という人達に夢と希望、そして勇気を与えるものであることを願う。


− 了 −


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