k-suganoさんからの原稿依頼のメールは、私を奈落の底へ落とすには充分で、どう構成しようかなぁとの文字が頭の中をぐるぐると回っていました。 こんな中、この3連休は仕事なのです。よりによって仕事先は大阪。 始発に近い新幹線に乗りこみ、 「う〜ん、わたしはこーして馬鹿になったって?もとからだからなぁ〜果たしてどこから書き出そうか?う〜ん・う〜ん むにゃ〜むにゃGoo〜Goo〜!!」 ![]() ![]() ![]() ![]() 「おまえ達は浪人なんだろう、こんな夜遅くウロウロしてやがって!盗んだのは、西瓜だけじゃないだろう、ポケットのものを見せて見ろ!」
(ちょっと恐いおまわりさんの説教はこの後しばらく続く・・・・・・)
![]() 大学に落ちた翌年、一人で勉強するのもなんだからと、悪友3人組は集まって週に何回か勉強することに決めていた。
「お〜い原ちゃ〜ん!!今そこで見つけたんだけど、でっかいヒラタクワガタだぜ。どうだいいだろう〜懐かしいでしょ?」 井出の手にあったものは、小学校以来しばらく見ていなかったものだけに、衝撃を覚えた。 「そ〜か、昔は夢中になって採りに行ったもんなぁ〜。こんなのいたっけなぁ〜。渡辺にも見してやるか。・・・・・・・」 しばらくは渡辺の部屋で、受験勉強そっちのけでクワガタ談義をしていたが、そのうちちょっと見に行ってみるかということになってしまった。・・・・・
早速現地での採集は、”いる!いる!”の大合唱。
「馬鹿にしてたけど、夢中になる何かがあるよなぁ〜気分転換には最高だ!」 (この”気分転換には最高だ!”の一言で、これ以後勉強会の後は昆虫採集がおきまりとなってしまった。) だいぶ奥に来ていたものだから、途中西瓜畑を横切って舗装した道に出ると、デブの井出が両脇に何かを抱えている。”西瓜だ!!” 「おまえはど〜して、そういうものをもって来ちゃうわけ??」 遅れ気味についてくるデブの井出に、渡辺が切れた様に怒る。 「だって、ほとんどはもう取り入れられたみたいだから、残ってるのは大したことないと思ったし、それに美味そうだろぅ?。エサにもなるじゃないか!」 ゆっくり下っていくと、ポツンとある自販機の明かりだけが煌煌と照っている。
「どれもこれも大きいなぁ」
と、まぁ何が悲しくてエロ本の自販機前で、店を広げなければならないのか?相変わらず食い意地の張ったデブの井出は、トンチンカンな事を言っている。 と、突然赤色灯を点けたパトカーが、こちらめがけてえらいスピードで近寄ってくる。
「こらぁ〜待てぇ〜」 人間とはよくしたもので、追われれば追われるほど逃げたくなる。いつの間にか、デブの井出を二人とも追い抜いて林の近くまで来た。 「早く来〜い!こっちだこっちだ!!」
西瓜を離せばいいのに、暗い中でシルエットだけ見ると、本当に熊がこちらに向かって走って来るようで、その後ろを懐中電灯を持ったお巡りさんが追いかけてくる。 (こりゃえらいこっちゃ!) そのうち、我々の視野からデブの井出が消え、そのすぐ後に、お巡りさんも消えた。 「おい原ちゃん!!よく見えなかったけど消えなかったか?二人とも?・・」
300メートル先のパトカーからも、こちらに向かって懐中電灯の明かりが彼らを捜している様だ・・・・
(えらいこっちゃ!神隠しだ!!) 「う〜ん、ゴボッ!ゲボッ!死ぬぅ〜助けてくけぇ〜」
間違いない二人の声だ!!でも何か?おかしい。
「しょうがない覚悟を決めて様子を見に行くか」
声を頼りに近寄ると、なぁなぁなぁんと泥まみれになった二人が・・・・
えらい有様で、おまけに鼻がとれるかと思う臭さ、つかむ場所もなく、二人ともじたばたしているもんだから更にはまっていく。
誰も手を差しだそうとしない、私は近くにあった枝で救いだそうとするが、あわてている警官は手が滑ったり、後少しのところで枝が折れたりして思うようにいかない。
やっとの思いで救け出し、近くにあった畑用の水道で洗い流したが、あまりの臭さと汚さにパトカーに乗ることは許されず、結局コエダメ警官とクソデブと我々二人は、歩いて近くの派出所へ行くこととなった。 「事件にはならないが、おまえ達の顔は一生忘れない!!・・・・・」
説教喰らっているときに出したクワガタが、机の上でジタバタしている。
受験の不安や何となくもやもやしていた毎日が、この一件でふっと楽になり、デブの井出のおかげで運(ウン?)もつき、三人は翌年希望する大学へめでたく合格。
![]() ![]() ![]() ![]() ”ピンポンパポピポ〜ン” 目が覚めて気がつけば、新幹線の車内放送が、間もなく新大阪に着くことを告げている。ヒザの上にはシーラさんのオーラが付いている大図鑑が開きっぱなしに・・・・・・・・ 「え〜と、k-suganoさんから依頼の原稿の題は何だっけなぁ〜?」・・・・・・・・
「さぁ〜て、仕事・仕事・仕事でもすっか!!」
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