コラム「テレビに見るクワガタ」

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まぁいっぱしのクワガタマニアになれば大体の♂なら個体種別はつけれるもので、例えばテレビ等に一瞬映ったクワガタを見て「あ、ミヤマだ」とか「へぇオオクワじゃん」とかそう言った言葉を反射的に出したり、衆人の手前流石に口には出さないが心の中でこっそり「あ、ノコだ」とか思ったりしちゃったりなんちゃったりする(ここ広川太一郎風に読んで下さい)人も結構多いのではなかろうか。 

 筆者もそういう病気に取り付かれていて、先日NHKの大河ドラマ『毛利元就』で元就の孫に当たる輝元がクワガタで遊ぶシーンが出てきた折も、「あ、コクワだ」と反射的に判断してしまい(その後どうしようもない倦怠感に襲われたが(笑)、いよいよ末期症状かしらと思いつつも、何故コクワだったのだろうとふと考えた。 

 シーンの中でのクワガタの使われかたは紐を虫に括り付けてケンカし合うもので、別にコクワでなくても良かった筈である。しかも平和民族【(C)小島氏】として名高いコクワをケンカシーンに、というのが解せないのである。 

 で、考えてるうちにふと閃いた。あれは、輝元の比喩ではなかろうか、と。 

 輝元は関ヶ原の合戦で西軍総大将になりながら大坂城から一歩も出なかった事などに象徴されるように、積極的な決断力に欠ける武将である。重臣達が止めたこともあろうが、武将としては凡庸とはいかぬまでも名将とは言い難い。

 だからこそオオクワを使わず、コクワを使用したのではなかろうか。つまり輝元の虫遊びにはコクワ程度で十分・・・というNHK側の判断が・・・あるわけないですね。やっぱ。



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