△▽ 各パーツの塗分け ▽△

 

1.レイヤーって何?
 まずはこの疑問から。
 レイヤーとはすなわち、透明のシートのこと。透明のシートに色をのせていけば、各々の
シートごとにあらゆる修正が効くということです。
 また、シートが複数枚に及ぶ場合は、その
重なり順を把握しなければなりません
 例えば、左記のとおり。
 この場合一番上が「主線レイヤー」で、その下が「服レイヤー」、そして「肌レイヤー」と続き一番下は「背景レイヤー」となります。

 背景レイヤーが一番上にあったりすると、人物が背景に隠れてしまう……ということになりますね。


 レイヤーは、描き手によって枚数が変わってきます。自分のやりやすいようにレイヤーを増やして塗分けると良いでしょう。
 ただし、レイヤーがあまり多くなると
動作が鈍くなり、ヘタをするとフリーズという事もありますので要注意

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2.新しいレイヤーを作成する

 塗分けように、新しいレイヤーを作成します。
 まずは背景レイヤーを作ってみましょう。

 前回の「レイヤーに名前を付ける」というところでレイヤーウィンドウは表示させているかとは思いますが、出ていない場合は[表示]-[モードレスダイアログ]-[レイヤー]ですよ。

 さて、このレイヤーウィンドウ下部の
[作成]ボタンをぽちっと押しましょう。主線レイヤーの上に新たに「レイヤー1」といレイヤーが作成されたと思います。
 新しく作成された「レイヤー1」は、名前を「背景」に変更しておきましょう。

 次に「背景レイヤー」を「主線レイヤー」の下に移動します。
 レイヤーウィンドウの「背景」と書かれているあたりをシングル・クリックします。すると左図のように青く反転します。
以後の動作は、青く反転しているレイヤーに対してのみ有効ということになります。
 その後レイヤーウィンドウ右下の「↓」をクリックすると、「背景レイヤー」が「主線レイヤー」の下に移動したと思います。
 逆に、「主線レイヤー」を選択して「↑」でも同じ効果が得られます。

 後は「肌」「髪」「服」(今回の場合は「シャツ」と「上着」)の各々のレイヤーを作り、下図のように並び替えました。

 ウィンドウが狭くて全てのレイヤーが表示されていませんが、

   [主線]
   [髪]
   [上着]
   [シャツ]
   [肌]
   [背景]

 という順番になっています。

 この順序は特にこれという決まりはないのですが、
主線レイヤーは一番上背景レイヤーは一番下というのはほぼ確定かと思います。

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3.各パーツにベース色を塗る

 次に、先ほどパーツごとに作成したレイヤーにベースの色を塗っていきます。[ブラシ]や[エアブラシ]を使います。
 細かいところはを使って拡大して塗ると良いかもしれません。

 とりあえず こんな感じで塗りあがりました。
 主線を省いてみるとこんな感じ。


 また、各パーツごとに見てみると下のとおりです。


【髪】レイヤー


【肌】レイヤー


【上着】レイヤー


【シャツ】レイヤー



 これで塗分け完了です。
 
 それと、もしも透明部分のチェックがチカチカして見づらいという場合は、レイヤーウィンドウの一番下[背景]のチェックボックスをチェックしておきましょう。


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追記.選択ツールを使って塗りつぶし

 質問がありましたので、説明させていただきます。
 本当は、私もこの「選択ツール」を使って塗りつぶしをしていました。けれども、この方法を行うためにはある程度主線に条件ががありますのでよくよく読んで実践してみてください。

 まず、[選択ツール]には
[範囲選択ツール]  [自由選択ツール]  [自動選択ツール]の三種類があります。
 今回は
[自動選択ツール]のみ使いますので、他の選択ツールの説明は今回は割愛させていただきます。

 
[自動選択ツール]とは、クリックした部分と同じ色の部分を選択する(但し、途中別の色がある場合そこは避けて選択)という機能があります。

 例えば、こんな線画を[自動選択ツール]を使って塗りつぶしをしてみましょう。

 因みに、レイヤーの順序はこんな風になってます。
 まずは
主線レイヤー(ここでは"へのへのもへじ"レイヤー)を青く反転して選択しておいて下さい。

 先ほどの[自動選択ツール]を装備(笑)しておいて、左図のように塗りつぶしたい部分をクリックします。
 すると、点線で選択範囲が囲まれます。

 その後、「塗り」レイヤーを青く反転し選択してから、塗りたい色をパレットから選び、[編集]-[塗りつぶし]を実行します。


 塗りつぶす時に、ちゃんと「塗り」レイヤーを青く反転選択しておかないと、主線レイヤーに色を塗ってしまう事になるので注意!
 レイヤーウィンドウは、左図のようになっているかと思います。

 この時に、「ツールオプション」を使って選択範囲を微妙に変更することが出来ます。ツールオプション・ウィンドウは、[表示]-[モードレスダイアログ]-[ツールオプション]で表示されます。

 左図の赤○で囲んだ部分の数値が0だと、クリックした部分と全く同じ色の部分しか選択しません。
 この数字が大きければ大きいほどクリックした部分と似た色の部分を選択範囲と認識するようになります。
 例えば、0の場合は白のみを選択し、20くらいならば白と白に近い灰色も同一選択範囲として選択する……と言った具合です。


 左図は、「の」の部分を拡大した様子です。
 よくよく見てみると、黒と灰色の集合体である事が分かります。
 選択範囲の数値を「0」にして選択してみました。これですと、本当に透明の部分しか塗りつぶせない事になります。

 下図は実際に塗りつぶした様子です。
 「の」の穴の部分が塗りつぶせていません。また、縁取りが白く見えてしまいます。


 今度は選択範囲「100」で塗りつぶしてみました。
 多少灰色の部分に侵食している様子がわかります。
 これを塗りつぶすと、下図のようになります。

 ある程度、「の」の縁取りに白い部分がなくなりました。
 相変わらず内部は塗りつぶせませんが、これくらいならペンツールで塗ってもいいでしょう。


 因みに、選択範囲「254(最大)」で選択してみたものです。
 点線で囲まれている細い部分が恐らく「真っ黒」な部分です。それ以外の灰色部分を選択した状態になっているかと思います。このまま塗りつぶすと、数のようになります。


 

 こうする事で、広範囲部分はある程度簡単に塗りつぶす事が出来ますが、スキャンした線画は描き手によって濃さがマチマチなので、選択範囲の数値は人によって異なります。数値は自分で研究しながら……ということで。
 また、例えば選択範囲数値「0」で選択しておいてから
[選択範囲]-[選択範囲の変更]-[拡張]で選択範囲を"2ピクセル"程拡張してから塗りつぶすという方法もあります(私は結構この方法を使います)。こうすれば、周囲に白い塗り残しが出ないである程度綺麗に塗りつぶせると思います。

 

 ところが、この方法は線画に隙間があったりするとうまく[自動選択ツール]が範囲を選択してくれません。


 左記のような線画を自動選択ツールを使って塗りつぶしてみたいと思います。

 髪を塗りつぶす場合、髪の透明部分を自動選択ツールでクリックします。

 ところが、選択してみると髪の片側は選択できていないし、顔の部分に選択範囲が及んでしまったりで、このまま塗りつぶすと髪以外のところも塗りつぶしてしまう事になります。
 なぜならば……

 このように、前髪の部分に隙間があったり、サイドの部分が線で塞がれていたりすると、自動選択ツールは正しく選択してくれません。

 そういった場合は、「主線レイヤー」を少々いじります。隙間の部分を薄い色で埋めてみたり繋がってしまっているところは少し消してみたりして、髪の部分のみ独立させます。(但し、繋がっているところは無理に消さなくても、もう一度そちらを選択しなおして塗りなおせば同じことです)

 こうすれば、塗りつぶした時に色が顔に漏れ出したりしません。

 因みに、左図のように前髪の主線部分を埋めるときに薄い色を使用すれば、境目があまり目立ちません。

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 この方法は、特に塗る範囲が広い部分のみ使用するといいでしょう。細かい部分はいちいち選択していると面倒くさいので、ブラシなどで丹念に塗りつぶしていく事をオススメします。
 塗り残しがあると白くゴミのように目立ってしまうので、出来るだけ丁寧に……。

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